ソフトバンクグループが21日に開催した株主総会では、孫正義代表の後継者問題に多くの質問が集まった。現在、孫氏は自身の後継者についてどう考えているのか。

ソフトバンクグループ、株主総会での孫正義代表(画像:ソフトバンクグループ第37回定時株主総会オンデマンド配信より)

やる気オーラ

孫氏の後継者とされていたニケシュ・アローラ氏。同氏がソフトバンクグループの副社長から退任することが正式決定したのは、ちょうど1年前の株主総会のこと。これを機に孫氏の後継者問題は完全に白紙に戻ってしまった。

以降、昨年7月には3.3兆円に上るARMの買収を公表し、総額10兆円超の世界最大規模のファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の発足にまい進。ソフトバンクグループ自体も2017年3月期決算で、連結業績が営業利益、純利益ともに1兆円を突破するなど、数々の偉業を成し遂げている。

こうした新たなトピックスが増えていくたびに、孫氏から見えるのは"やる気オーラ"ばかりだ。5月の決算説明会の場で、1兆円達成の感想について聞かれても、「(ARMの買収で)本当のゴールドラッシュがこれからくるときに、引退を考えること自体が、早すぎたなと」「自分自身の反省点は60年近く人生を過ごしてまだ何も自分で誇れるものを達成できていない」「"ここから、本当に俺の人生がはじまるんだ"という思いでいっぱい」などと語っている。

こんな発言をされては、「後継者問題についてはどう考えていますか?」などと、とてもじゃないが質問できない。まだまだ現役を続行し、ソフトバンクの使命となる"情報革命の推進役"となろうとしていることは明白だ。

しかし、見逃さなかったのは、株主である。21日開催の株主総会では、風邪を引き、咳き込む孫氏の姿を見てか、後継者問題に多数の質問が集まったのだ。そして、質問によって、後継者に対する考え方も明らかになった。