食中毒を防ぐ、離乳食の調理・保存方法は? - 保存期間の目安や解凍方法も(写真はイメージ)

ジメジメした梅雨に入り、食中毒が気になる時期になりました。特に免疫力が低い赤ちゃんは菌に弱く、ミルクや離乳食を作る時には、細心の注意が必要です。

今回は食中毒対策について、2人の子どもを育てながら予防医療の普及活動を行っている管理栄養士の宇野薫さんに聞きました。

Q.まずは食中毒予防の基本を教えてください。

細菌による食中毒を予防するためには「菌をつけない、増やさない、殺す」ことが原則です。そのために、まずは手指や器具を清潔に保ち、手洗いも念入りに行う必要があります。爪の間や手のひらのしわの部分、手首までしっかりとハンドソープを使って洗いましょう。

その後は、乾燥した清潔なタオルか、使い捨てができるキッチンペーパーなどを使用して水分を拭き取ってください。その後、器具も含めてアルコール消毒を行っておくと安心です。

また、菌は30~40℃の温度を好み、その環境下で増殖しやすいため、できるだけ、食品は涼しい場所に保管しましょう。春から夏にかけては特に食中毒が増える時期なので、食品を常温に置いたままにするのは避けてください。

Q.赤ちゃんが食中毒になると、どのような症状が出ますか?

赤ちゃんの胃腸は大人に比べて小さく、形や機能も十分に成熟していません。そのため、嘔吐や下痢の後、脱水状態になって衰弱してしまったり、体の小ささから、症状が出てすぐにぐったりしてしまったりすることもあります。

Q.赤ちゃんのミルクを作る時には、どんなことに気をつけたらいいですか?

赤ちゃんの粉ミルクに入っている栄養分は菌の大好物でもあります。すぐに増殖してしまうので、注意が必要です。

使い終わった哺乳瓶や乳首などの器具は、常に清潔にして、消毒をしっかり行いましょう。消毒方法は、加熱したり、薬品に浸けたりと、さまざまな選択肢があるので、取り組みやすい方法で構いません。ミルクは与えるたびに新しいものを作り、飲み残しは処分することが大切です。

Q.赤ちゃんの離乳食を作る時に気を付けるポイントを教えてください。

菌が多く含まれている生ものは、離乳食に使わないようにしましょう。そして、肉や魚などを調理する際には、清潔なまな板を使用してほしいと思います。

生ものは、そのまま与えなくても調理過程で菌が付着してしまうことがあります。生ものを扱うまな板と、調理後の食品を扱うまな板を分けて使ったり、生ものを扱った手指や器具をしっかりと洗ったりするなどの工夫が必要です。

Q.離乳食の作り置きはしても大丈夫ですか? 適切な保存期間の目安、保存方法はありますか?

離乳食の作り置きは、清潔な容器、清潔な冷蔵庫で行うことがまずは大前提です。その上で、冷蔵庫保存であれば3日程度、冷凍庫保存の場合は2週間をメドに使い切ることをお勧めします。冷凍する場合は、一度冷ましてから、劣化を防ぐためにできるだけ空気を抜き、密閉容器や蓋付きの製氷皿、冷凍用ジッパー付き袋などを用いるなどして、保存するようにしてください。

解凍する際は、常温の時間が長くなってしまう自然解凍は避け、冷蔵庫内で解凍するか、加熱して解凍するかのいずれかにした方がいいでしょう。

Q.ご自身の離乳食作りで、工夫されていたことがあれば教えてください。
実は私自身は、味付けする前の大人の食事を取り分けて、離乳食として与えていました。離乳食用に冷凍保存していたのは、じゃがいも、さつまいも、かぼちゃを潰したものや、野菜スープくらいです。その方が、新鮮なものを子どもに食べさせてあげられるし、ママの負担も少ないですよね。

離乳食用に食材を買ってきて、大人とは別に離乳食を作っていると、どうしても食材のムダが出てしまいがちです。結果として、新鮮ではないものを子どもに与えることにもつながりかねません。

食中毒予防の観点からも、大人のごはんの取り分けは、お勧めできると思います。離乳食を作る時は、最低限の食の安全を一番に重視してもらいたいですね。

管理栄養士 宇野薫

看護師の母、糖尿病の祖父の影響で食事の重要性を痛感。予防医療に貢献したいと管理栄養士を志す。女子栄養大学卒業後、病院、高齢者施設での経験をもとに、疾病予防、アンチエイジングなど、なりたい自分になるための栄養指導に従事している。現在、「子どもの食と栄養」についての講義や、妊婦・女性を対象にした栄養教育に関する研究をする傍ら、聖マリアンナ医科大学東横病院で栄養カウンセリングを担当しているほか、一般社団法人Luvtelliのメンバーとしても活躍。予防医療の中でも、特に"母子健康"に貢献することで、元気な赤ちゃんを1人でも増やせるよう取り組んでいる。2児の母。