週刊少年ジャンプにて2003年から連載開始、以降絶大な人気を誇り、累計発行部数5,100万部を超えアニメ化も好調な漫画『銀魂』。パラレルワールドの江戸を舞台に、"天人"と呼ばれる宇宙人が登場し、攘夷戦争で白夜叉と恐れられた銀時が主人公として活躍する。とにかく「なんでもあり」で、関係者も「こんな漫画はなかなかない」という同作が、最終章に入った今、満を持して実写映画化される。

マイナビニュースでは『銀魂』に関わる男性たちへの連続インタビュー企画「男達の銀魂道」を実施。今回は松橋真三プロデューサーに、人気作でありながら、その独特な世界観からこれまで実写化されることはなかったが、なぜ今『銀魂』なのか。そして、撮影の苦労について話を伺った。

■松橋真三
映画プロデューサー。早稲田大学法学部卒業後、WOWOW入社、後に独立。映画『バトル・ロワイアル』の協力プロデューサーから始まり、『ただ、君を愛してる』『パラダイス・キス』『るろうに剣心』『黒執事』『オオカミ少女と黒王子』など20本以上の映画、ドラマを企画・プロデュース。現在もワーナー・ブラザース映画とプロデューサー契約をしている。

福田雄一のファンによって動いた

――『銀魂』映画化の企画については、いつ頃から考えられていたんですか?

もちろんこれだけ売れている漫画なので、映画をやっている人間であれば、いろんな人がやりたい企画だと思いますが、この独特の世界観から手を出しづらい原作だと思っていたので、私から積極的に映画化を提案しようという思いは当初はありませんでした。いろいろなプロデューサーが提案しているという話はチラチラ聞いたりはしましたが、実現した話は聞かなかったので「どうなっているんだろう?」とは気になっていましたね。

――それが今回、福田雄一監督で実現することに。

福田雄一監督が『勇者ヨシヒコ』を作った時に、Twitterに「『銀魂』をやってほしい」というコメントがたくさん寄せられたそうなんです。福田さんはその時『銀魂』のことを知らず「そんな風に言われるんだったら、意地でも読まない」と思っていたらしいんです。ところが、息子さんから「『銀魂』面白いよ」と言われて、読んじゃったらすごく面白くて、「これは面白く作れるんじゃないか」と思ったらしい。そういう話を知って、僕も「脚本・監督が福田雄一ならあるな」と思い、福田さんと話して企画書を集英社に持って行きました。

集英社に持って行った時も「実写化はなかなか難しいんじゃないですか」とは言われました。でも後日連絡が来て「なくはないです」と。実写化の企画が空知先生のところに行った時に「福田監督ならできるかもしれませんね」 とおっしゃったらしい(笑)。「じゃあ、台本を作りますよ」と言って、福田さんと台本作ってお持ちして、何回かやりとりをして、正式に決定しました。

――福田監督が動いたというのが、一番大きかったんですね。台本時点で妖刀・紅桜が登場するというのは、決まっていたんですか?

決まっていました。連載初期の話で、人気のあるエピソードでなければならないし、縦軸の話として紅桜があって、そこに福田さんのギャグがいっぱい散りばめられた作品になるのだったら面白いんじゃないかなというアプローチです。

――アニメも紅桜篇が映画化されていますが、そこは合わせようと意識されたんですか?

意識しているわけではないですが、前半で一番面白かったのがやっぱり紅桜篇だったということだと思います。