【レポート】

メーカーと販売店のコミュニケーションを活性化するPepper活用術とは?

資生堂100%出資の化粧品メーカー 株式会社 エテュセは、全国で約1,200のバラエティストア、ドラッグストアなどで自社ブランドコスメを販売している。百貨店などでの美容部員による対面販売やマス広告を打たないセルフコスメを展開する同社では、販売店でのサンプル配布といった店頭販促イベントがお客様との接点拡大につながる重要な施策となっている。

そこで販売店と協力し2017年1月から3月の間に4つの店舗でPepperを活用した販促イベントを行った。具体的にはPepper for Bizの標準機能であるBizPackの基本アプリ「レコメンド」を使って作成した肌悩みアンケートを作成。Pepperが肌悩みのタイプと下地かパウダーかといった欲しいアイテムタイプを質問し最後にオススメ商品を紹介するもので、来店客とエテュセ商品の接点を創出する。実施4店舗のうち3店舗(渋谷店・新宿店・池袋店)を提供した東急ハンズでは、3店舗で計7日間実施した結果Pepperが300人以上に接客し180人の肌悩みアンケート回答を取得。同社は今回の施策でプロモーション効果のみならず、販売店との関係性向上も図っている。

Pepperの胸のタブレットで肌悩みのアンケートを実施。その結果はクラウド上に蓄積される

アンケートの後は年齢当てを実施。女性の気になるコンテンツを盛り込み接客数増加に貢献

店頭でのファーストコンタクトとブランドの化粧体験が大切

株式会社 エテュセ 代表取締役社長 溜谷真司氏

「多くのメーカーが独自ブランドを展開する化粧品業界では、自社ブランドのアイテムを知ってもらうファーストコンタクトの機会創出が大きな課題です」と語るのは、同社代表取締役社長の溜谷氏。またセルフコスメ特有の課題として溜谷氏はこう続ける。

「WEBやSNSで簡単に情報が入手でき、店頭では多数の商品が並ぶ中、消費者は自分に合った商品を提案してくれることを求めています。化粧品メーカーとして、そこまでをサービスとして提供できないと、消費者に満足してもらえないのではないかと考えています。そうなると店舗の情報訴求ツールでは限界があり、ブランドの化粧体験を広げられません」

そこで各化粧品メーカーが利用するのが、商品が陳列されている定番棚ではなく、メイン通路やエスカレーター脇などにある人目に付きやすいイベントスペースである。そこでサンプル配布や、ヘアメイキャップアーティストを招き自社ブランドコスメを使ったメイク講座を開くといった施策を展開し販促へと繋げている。しかし、イベントスペースは多くの化粧品メーカーが利用するため、希望する時に必ず利用できるわけではないうえ、施策内容も店舗側にメリットがあるような集客力の高いものを提案しなければならない。

株式会社 エテュセ マーケティング部 マーケティンググループ 旗本 祐子氏

「Pepperを活用することでイベントスペースの利用もしやすくなりました」と語るのは本施策を企画した旗本氏。通常はイベントスペースの利用に併せCM・雑誌広告・キャンペーンといったプラスアルファの施策が必要だが、Pepperを活用することでイベントスペースが確保できたという。

店舗スタッフを巻き込んだイベントへ

Pepperを活用した施策では実施前から店舗スタッフも積極的に参加。

「今までは店舗スタッフを巻き込んで施策を実施するのは困難でしたが、Pepperを介して店舗側とディスカッションしながらイベントを実施でき深い関係性が築けたと思います。特に入店した東急ハンズ3店舗のTwitterで今回の施策をご紹介いただき集客にご協力いただきました」(旗本氏)

さらに、肌悩みアンケートの結果を共有できることも店舗との関係性向上に役立った。

東急ハンズ池袋店のtwitterに投稿された同社のPepper

「今までの施策では販売数やサンプル配布数といった数字しか共有できませんでしたが、今回は接客数やお客様の悩みといった数値化が困難なところまで共有できるようになったので、次回の施策について、一番多かった肌悩みとそれにマッチした商品は何か、それをアピールするにはPepperにどんな呼び込みをしてもらえばいいかといったことを店舗側と一緒に考える、という動きがとれるようになりました」(旗本氏)

また、今後Pepperの機能がさらに進化していけば、同社スタッフが常駐する必要なくPepperが人の代わりとなりイベント運用を一任できる存在になるだろうと、旗本氏は大きな期待を寄せている。

店舗スタッフの反応

店舗スタッフも積極的に参加した今回の施策だが、店舗側の反応はどうだったのだろうか。施策後、同社が店舗スタッフにアンケートを行ったところ「普段エテュセブランドコスメを手にしない人もPepperをきっかけに興味をもってもらうという効果が感じられた」「サンプル配布や商品案内が普段より多くできた」といった声が寄せられ概ね好評だったようだ。

東急ハンズ池袋店 加来 俊幸氏

また東急ハンズ池袋店でビューティフロアを担当する加来氏は今回の施策をこう評価する。

「Pepperを店舗に設置するにあたり店舗スタッフへPepperの基本操作講習をしてもらいエテュセさんの社員がいない時でも安心して対応できる体制で運用することができました」

実施前の店舗側の不安要素を同社がしっかりケアしたことも本施策成功の要因と言えるだろう。

小売店舗でのPepper活用は集客や商品紹介を目的として利用されることが多い。本施策もそれにあたるだろう。しかしメーカーが販売店で活用するという今回のケースは、Pepper設置前と設置後で販売店・メーカー間に新たなコミュニケーションをもたらし、販促・集客・売上向上のために両者で議論をする機会を創出した。それは小売業界におけるPepper活用の新たな価値といえるのではないだろうか。

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