THECOO インフルエンサー事業部 執行役員の中山顕作氏は「YouTuberタイアップ動画は2014年は前年比3倍、2015年には8倍まで成長した」と、動画数の推移を述べたうえで「ユーザーが求めているのはリアル。SEO対策されているGoogleのサーチエンジンで検索するよりも、リアリティのある情報が手に入る媒体にアクセスするようになってきている」と、現状を分析する。

実際に動画広告を始める場合、「15秒バージョン、30秒バージョンなど複数の動画を作ったり、キャッチーなコピーを埋め込んだりすることは簡単なことではない。そのため自社だけで製作するよりも外部に発注したほうが効率的である。また、YouTubeを見ている人は商品を探しているわけではないので、YouTuberが作った動画クリエイティブをアクセスする可能性が高い」とYouTuberを起用する価値について中山氏は自身の考えを述べた。

THECOO インフルエンサー事業部 執行役員の中山顕作氏

YouTuberタイアップ動画数の推移

YouTuber活用の失敗から見た共通点

では、どのようにYouTuberを活用すれば成功するのか。中山氏は「残念ながら、こうすれば確実に成功するというものはない。個々のサービスやプロダクトに合わせてキャスティングや企画内容を検討する必要がある」としたうえで「しかし、失敗例には共通点が多いと感じている」と、その共通点を指摘した。

まず、ありがちな失敗として挙げたのが「動画タイトルに商品名やブランド名を入れること」だ。中山氏は「タイトルで広告だと判断された場合、視聴されずにユーザーが離脱してしまうケースが多い。内容がおもしろいのに見られないのは、非常にもったいないことだ」と述べた。

次に「YouTuberのリテラシーとのミスマッチ」を指摘。「商品を紹介する際に、YouTuberがそのジャンルへの理解が浅いと、どうしてもリアクションが薄くなってしまったり、あえて触れる必要のないポイントで感動したりするため、視聴者が違和感を覚えることがある」と、適切な知識を持ったYouTuberを選ぶ重要性を語った。

また、「チャンネル登録者数や平均再生回数だけでYouTuberを選ぶ」ことも失敗につながりやすいという。その理由としては「YouTubeではチャンネルに訪れなくなったからといってフォローを外すということをしない。そのため、登録者数が多くても、最近は動画を見に来ていないというケースはよくある。再生回数についても、特定のコンテンツ紹介のみ再生回数が多いYouTuberも多いので、回数だけでなく動画の内容も把握する必要がある」と中山氏は指摘する。

失敗例に見られる共通点として、中山氏は最後に「YouTuberのファン層を決めつける」ことを挙げた。企業が想定しているターゲットに動画を見てもらうことができるのか、しっかりと調べる必要があるのだという。「チャンネル保有者であれば詳細を調べることができるので、事前に問い合わせるとよいだろう」と、中山氏はアドバイスした。

YouTuber活用の成功例

具体的にどのようなシーンでYouTuberの活用に成功したのか。中山氏はいくつかの事例を紹介した。

まず、強力な吸盤がウリのスマートフォン車載ホルダーの事例を紹介した。テキストや画像ではイマイチ魅力が伝わりづらいという問題がある場合、CMなどを作成しても説得力に欠ける場合が少なくないという。同事例では吸盤の強力さを伝えるために、自動車内に吸盤を貼り付けて砂利道を走るという動画を作成。ガタガタ揺れても吸盤が取れなかったという内容をレビュー動画で訴求できたため、アマゾンの売上ランキングでは1000位以下から200位近くまで急上昇したという。

また、フリマアプリ「メルカリ」では、アプリの新規ユーザー獲得のためにインフルエンサーの紹介動画を投稿。動画で本人の私物を同サービスへ出品することを告知したことで、アプリのダウンロード数が爆発的に増加したという。

最後に、中山氏はYouTuberを活用するにあたって、「ファンの反応を一番知っているのはYouTuber。動画広告を企画する際は彼らの意見をしっかりくみ取ることが大事である。一方で、YouTuberはマーケティングのプロではないため、リサーチなどは事前にしっかりとしておき、YouTuberはおもしろい動画の制作に専念できるようにするなどの工夫が必要だ」と、注意すべきポイントを語った。

若年層への影響力を高めるYouTuber。インフルエンサーとして彼らのポテンシャルを最大限に発揮できれば、リアルを求めるユーザーに対して効果的に情報を拡散することができるかもしれない。