説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『Apple Payの個人間送金、どういうしくみ?』という質問に答えます。

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iOS 11では、Apple Payを利用した個人間送金が可能になります。従来お金のやり取りといえば、現金か銀行を通すかの二者択一ですが、海外ではここ数年でVenmoやWeChat Payなどスマートフォンを利用した小口の個人間送金サービスが普及しました。日本でも、LINE PayやYahoo! ウォレットといったサービスがすでに始まっています。

WWDCの発表によれば、今秋リリースされるiOS 11に「Apple Pay Cash」というアカウントを用意すると、『メッセージ』アプリやSiriを利用することで、Walletアプリ/Apple Payに登録済のクレジットカードやデビットカードを介した金銭のやり取りが可能になります。Apple Payの基盤を利用した一種の個人間資金移動サービスで、曜日や時間に関係なく一瞬で金銭をやり取りできます。

ここで重要な役割を果たすのが、Apple Pay Cashです。金銭を送るにしても受け取るにしても、ここにチャージされる形となります。支払いするときはここから出金し、受けとるときはここへ入金するというわけです。その意味でApple Pay Cashは、Walletアプリ内に存在する一種の電子マネーといえるでしょう。

手数料についてAppleから発表はありませんが、クレジットカードからApple Pay Cashにチャージするときは手数料が発生する可能性があります。VenmoやSquare Cashといった先行するサービスでは、デビットカードからのチャージは無料ですが、クレジットカードからのチャージは3%の手数料がかかりますから、Apple Pay Cashが例外とは考えにくいからです。

なお、個人間で金銭をやり取りするサービスを提供する場合、日本では資金決済法にかなう「資金移動業者」として認可を受けなければなりません。買い物枠の現金化につながるとして、金券類など換金性の高い商品はクレジットカード決済を認めないという共通ルールもありますから、クレジットカード会社側の体制を整える必要もあるでしょう。アメリカと同時にサービスを開始することは、なかなか難しいかもしれません。

Apple Payの個人間金銭授受は「Apple Pay Cash」にチャージする形で行われます