昨今、冷却関連の技術はほぼ出尽くしてしまった感があり、新製品の傾向としては、LEDを使っていかに派手にするか、という流れになってきている。この背景には、CPUやGPUの省電力化が進み、以前ほどの冷却性能が求められていないという事情もあるだろう。本レポートでは、展示されていたCPUクーラーやファンについてまとめてみる。

注目の新技術「3DLV」とは?

Cooler Masterブースで注目度が高いのは、CPUクーラー「MasterAir Maker」シリーズの「3DLV」コンセプトモデルだ。この3DLVというのは、"3D Loop Vaper"の略。従来の3DVC(3D Vapor Chamber)と違い、ヒートパイプの端が上部で繋がってループ状になっており、これにより、従来より冷却性能は30%程度向上するという。発売は2018年の見込み。

ツインタワーにトリプルファンという大型クーラーになる

普通は上で終わっているヒートパイプ4本が繋がっている

またもう1つ、トップフロー型のコンセプトモデル「Heat Column」も紹介されていた。フィンが花のように広がっており、上からの見た目はまるでジェットエンジンのよう。デザインもユニークだが、性能も期待できそうだ。こちらの発売は2017年Q4を予定しているとのこと。

トップフロー型のコンセプトモデル。LEDを内蔵する

ベース部分は細いが、そこから広がるスタイル

あのRiingファンに上位版が登場

Thermaltakeは、リング状に光る人気のLEDファン「Riing」に、上位版となる「Riing Plus」を追加。従来の256色から1680万色へと発光色が増えたほか、12個のLEDの個別制御が可能になった。製品としては、12cmファンと14cmファンがあり、それぞれ、コントローラが同梱する3個セットと5個セットを用意する。発売は8~9月の予定。

「Riing Plus」の制御ソフト。LEDごとに発光色を指定できる

その結果、こんなグラデーション表現が可能になった

また、ロープロファイルのCPUクーラー「Engine」シリーズとしては、現在、高さ27mmの「Engine 27」のみ発売されているが、より薄い17mm版とより厚い37mm版が登場する。Engineは、ファン部分もアルミ製というちょっと変わったCPUクーラーだ。厚さが17mm、27mm、37mmと揃うことで、冷却能力は45W、70W、100Wとなる。

「Engine」シリーズ。各モデルは高さのみ異なる

全ラインで銅バージョンを計画中

CRYORIGは、CPUクーラーの新モデルとして「R5」を出展。これは、シングルタワーのヒートシンクにデュアル14cmファンを搭載したもので、既存の「R1」(ツインタワー+デュアルファン)と「H5」(シングルタワー+シングルファン)の間を埋めるようなポジションになる。奥行きはスリムなため、メモリとの干渉を避けることができる。

CPUクーラー「R5」。TDPは200Wまで対応

奥行きはスリム。厚さはH5と同等に見える

また、フィンまで銅製となる全銅クーラー「Cu」シリーズも計画中。銅の価格が急騰して以降、近年はあまり全銅クーラーは見かけなくなったが、冷却性能は確実に向上する。Cu版はR1/H5/H7/C1/C7/M9の各ラインで検討しているが、重すぎるため、まずは最も小さいC7から発売し、それ以外については軽量化を図る必要があるという。

全銅バージョンの試作機。冷却性能は20%ほどアップするという

ただし重いのが難点。R1などはダンベルかと思うような重さだった