――人によって"幸せ"の形は違っているわけですね。

いろいろな人に"幸せの色"について聞いてみたんですけど、"青い鳥"から"青"を思い浮かべる人もいれば、"黄色いハンカチ"だったり"白い鳩"だったり。"緑"の人もいれば、"ピンク"の人もいる。寒色・暖色問わず、本当にいろいろな色が出てくる。これが悲しみの色だったら、だいたい寒色になると思うんですよ。人によって色が異なるというのは、幸せの形が人によって異なるというのに通ずるところがあるなって。人によって幸せの形が違うことはもちろん当たり前のことではあるのですが、それをあらためて認識することでもっともっと自分自身も強くなれるし、もっともっと幸せになれるんじゃないか。そんな想いで今回の詞を書きました。

――詞を書く上で、特に悩んだところはありますか?

今回TV-Sizeを作るのにあたり、すごく迷った部分があって。TV-Sizeでは1番の歌詞を使っていただいているのですが、そうなると「私が私を独りにする」というフレーズで終わってしまう。はたしてこれで終わった場合の救いようのなさってどんなもんだろうって。葛藤を言葉で表している部分ではあるのですが、ラストの一文をどうするのがベストなのか、そこはすごく考えました。

――ちなみに、作品に寄り添うという意味では、『サクラダリセット』全体というよりも、特に2クール目のストーリーを意識したりはしているのですか?

……意識はしています。ネタバレになったりするのが怖かったのと、作品は作品として楽しんでほしいというのがあったので、あえてガッツリ寄り添うのはやめているのですが、意外と推測しきれない部分で、多少のゆとりを持たせているところもあったりします。ただ、実際にはどういうスピード感でストーリーが展開されていくのか、すべてわかった上で書いたわけではなく、ある意味山を掛けている感じでもあったので、収録の時に台本を読んで少し胸をなでおろすところもあったりします(笑)。

――そのあたりも注目しながら、アニメを観るのも面白いかもしれませんね。

作品の葛藤感やグルグル感を曲でも表現したくて、サビのところではたくさんの声を重ねているんですけど、男の人みたいにすごく低い声もすべて私が歌っています。

――ちなみに何本くらい重ねていますか?

主線だけで3本あって、下で2本。ハモが2本ずつはいって……9本くらいは重なっていますね。そのムワっとした感じが、考えが頭の中をグルグルしているときの八方塞がり感にもなっているんですけど、それが抜ける瞬間がサビの後半にあるので、聴覚的にもすごく楽しんでもらえると思います。ぜひ密閉された空間で聴いていただきたいですね。ヘッドホンなんかで聴いていただくと、『サクラダリセット』のウウ……っていう感じをより味わっていただけるのではないかと思います。

――そんな「Reset」と「Colors of Happiness」が収録されたニューシングルが6月7日にリリースされますが、それにあわせてリリースイベントなどが行われます。

リリースの前から特典お渡し会などのイベントをさせていただいているのですが、リリース当日にもイベントがあり、リリース後の週末には、東京と兵庫でスペシャルイベントが開催されます! スペシャルという以上、スペシャルな何かがあるのかな(笑)? そのあたりを想像していただきつつ、ぜひ会場に遊びに来ていただけるとうれしいです。

――7月には渋谷でライブもあります。

夏なので"祭り"にしようと上から言われていて……"祭り"って何? と思ったんですけど(笑)。夏になると毎年"祭り"って言われるんですよ。

――今年の"牧野祭"はどうしますか?

シングル1枚の中に、作品のオープニングとエンディングが収録されるというのは、自分自身久しぶりなので、ある意味"祭り"かなって思います(笑)。タイトルは「Reset & Happiness」で、"Reset"した先に幸せがあるよ……みたいな感じになっています。公演は15日のみの予定だったのですが、ありがたいことに翌16日の追加公演も決まりましたので、皆様、ぜひ足をお運びください。

――さて、「Reset & Happiness」ということで、"Reset"については先行上映会などでお話になっていますので、ここでは"Happiness"についてお尋ねします。最近、"幸せ"だなって感じたことってありますか?

別作品の話ですが、先日開催された「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 5thLIVE TOUR」の石川公演で、普段ではなかなか立たない位置に立たせていただいたのですが、チームを引っ張っていくようなポジションだったので少し不安になる部分があったんですよ。小さい頃からピアノをやっていて現在もソロのアーティストとして活動していることもあり、「ステージに立ったら結局一人で何とかするしかない」みたいな、ある意味腹を括っている部分があったのですが、今回のステージでは仲間に頼ってもいいんだって、あらためて感じることができました。これまでは「全部自分の責任だし全部自分で回収していくしかない」という意識が強く、仲間に頼るという感覚がほとんどなかったのですが、そのときは不安が大きくなってしまい本番前に泣いてしまって……。

――これまでには感じなかったプレッシャーがあったのでしょうか?

直前に行われた公演もすごく素敵なものだったのを知っていたので、はたしてその役割を自分が成し遂げられるのかという不安がずっとありました。でも演出の方に「全部一人で背負い込む必要はないんだよ」と言ってもらったときに、自分の中でも何か腑に落ちた部分があって、思わず泣いてしまいました。ある意味、安心の涙……という部分もあります。その泣いた姿を何人かに見られてしまったこともあって、ハグしてくれたり、手を握ってくれたり……ステージ前のスキンシップが、こんなにも安心させてくれる"幸せ"なものなんだって、あらためて感じさせられました。これまでもその作品のステージに立つたびに、「仲間っていいな」とは思っていたのですが、今回はより強く感じました。

――それでは最後になりますが、発売を楽しみにしている方へのメッセージをお願いいたします。

今回、『サクラダリセット』という作品には村瀬陽香という役で声優としても関わらせていただきつつ、「Reset」というシングルの中では、歌はもちろん歌詞を書かせていただいたり、ピアノを弾かせていただいたりしています。本当にこの一つの作品に、「牧野由依とはこういう人なんだ」ということをわかっていただける要素をすべて詰め込むことができたと思っておりますので、ぜひアニメの放送を楽しんでいただきつつ、CDのほうもすり減るまで、もう時代的にすり減らないですけど(笑)、聴いていただきたいと思っております。よろしくお願いします。

――ありがとうございました。

「Reset」(左から初回限定盤A、初回限定盤B、通常盤)

■プロフィール
牧野由依(まきの・ゆい)
1986年1月19日生まれ。三重県出身。アミューズ所属。14thシングル「Reset」が6月7日にリリース。Yui Makino Live「Reset&Happiness」が、東京・渋谷のAiiA 2.5 Theater Tokyoで開催(7月15日17時開場・17時30分開演、7月16日16時30分開場・17時開演/チケット一般発売日は6月17日から)