佐藤琢磨選手が「インディ500」で日本人初優勝を成し遂げた。佐藤選手のマシンにエンジンを供給したのが本田技研工業だ。自動車メーカー、とりわけホンダにとって、モータースポーツに挑戦することはどういう意味を持つのか。これを機に考えてみたい。

インディ500で日本人初優勝の快挙を成し遂げた佐藤選手

技術と人を磨くレース活動

5月の最終日曜日、米国で開催された「第101回インディアナポリス500(インディ500)」において、佐藤琢磨選手が日本人ドライバーとして初優勝を果たした。佐藤選手のマシンにエンジンとエアロキットを供給したホンダは、執行役員でブランド・コミュニケーション本部長を務める森山克英氏を通じて、「世界3大レースのひとつであるインディ500で日本人初優勝という快挙を成し遂げた琢磨選手と、応援して下さっているファンの皆様に心より感謝を申し上げるとともに、この快挙達成の喜びを分かち合いたい」とコメントした。

「そしてホンダとして、琢磨選手のレーシングドライバーとしてのキャリアと共に歩み続けてこられたことを大変誇りに思います。今回のインディ500制覇により、世界のモータースポーツ界に大きな足跡を残すことになった琢磨選手のさらなる活躍を祈ります。琢磨選手、本当におめでとう!」。森山氏は喜びのコメントをこう締めくくった。

佐藤琢磨選手は、ホンダが子会社を通じて運営しているドライバー育成機関「鈴鹿サーキットレーシングスクール」の出身。かつてはホンダのドライバーとして「F1」にも参戦していた。その佐藤選手が米インディカー・シリーズに転進し、メインのインディ500で悲願の優勝を遂げただけに、ホンダとしての喜びもひとしおということだろう。

佐藤選手とホンダの付き合いは長い(画像はインディ500表彰式の様子)

ホンダは創業者の本田宗一郎氏以来、レース活動における技術研さんと人材育成が自社製品の品質向上につながるとの考えを持つ伝統がある。「レースはホンダのDNA」とも言われてきたのだ。

世界3大レースで最も伝統があるインディ500

インディ500は、日本では比較的知名度が低いが、アメリカン・モータースポーツのインディカー・シリーズでは最大のイベントに位置づけられている。F1の「モナコGP」と「ル・マン24時間レース」と共に世界3大レースに数えられているが、世界で最も伝統のあるレースであり、1日に最も多くの観客を集めるレースでもある。

筆者は2003年、インディ500の視察と取材で開催地の米インディアナポリスを訪れ、オーバルコースでの熱戦を目の当たりにした。全米から観客が集まり、インディ500一色に染まったインディアナポリスの雰囲気には圧倒された思い出がある。実は、この時に優勝したのがトヨタ自動車のエンジン搭載車だった。ちなみに、トヨタは後にエンジン供給から撤退している。