フライト前後のスキマ時間にちょっと仕事を……という枠を越え、空港の中にオフィスをもてるサービスが、5月31日より羽田空港で開始された。この日本リージャスが展開する「リージャスエクスプレス羽田空港第1ターミナル」は、羽田空港国内線旅客ターミナルを管理・運営する日本空港ビルデングが進めているビジネスモールの第一弾となる。

羽田空港がビジネス拠点になる「リージャスエクスプレス羽田空港第1ターミナル」開業

約3,300平方メートルのビジネスモール

日本空港ビルデングが構想しているビジネスモールは、2018年夏にグランドオープンを予定している。具体的には、ビジネス利用が6割、年10回以上の利用者が旅客数の50%以上、年3回以上の利用者が旅客数の90%以上を目標に設定。今まで、第1旅客ターミナル5階のマーケットプレイスはレストランフロアとして利用されてきたが、このエリアにビジネスパーソンをターゲットとした複合商業施設を開発していく。

現在は「リージャスエクスプレス羽田空港第1ターミナル」だけを展開しているが、今後、この空間にビジネスモールが完成する

約3,300平方メートルのビジネスモール内に、「WORK」「REFRESH」「LEARN」「ACTIVE」「EMPOWERMENT」「EAT」「FASHION」「CULTURE」という8つのキーワードからなる施設を展開。今回の「リージャスエクスプレス羽田空港第1ターミナル」は約500平方メートルの敷地内に、レンタルオフィスや会議室、ビジネスラウンジなどのサービスを展開し、空港を拠点にして1時間~年間単位で活用できる拠点を提供する。

空港という展望の良さを生かすために、ガラスを多用した空間設計になっている

空港の中で仕事が完結

日本リージャスは、世界最大のレンタルオフィスプロバイダーであるリージャス・グループの日本法人であり、グループとして世界120カ国・3,000拠点を、日本国内には24都市・113拠点(2017年3月現在)を展開している。こうしたレンタルオフィスは、サテライトオフィスの展開や働き方改革の支援、また、災害時などにおける本社機能のバックアップオフィスなどと、さまざまな活用方法で注目を集めている。

ラウンジにはさまざまにくつろげるチェアを用意

特に今回、空港内に展開することで、例えば採用時期の面接兼オフィスや外資企業が日本進出するためのオフィス、また、航空会社の支店や空港内に出店している企業のバックオフィスとしてのニーズにも応えることを狙っている。オフィス機能のほかにも、1時間から利用できるラウンジや会議室も備えているので、従来であれば空港からオフィスやホテル等に出向いていたものが、空港から1歩も出ることなく、ビジネスをスムーズに進めることもできるようになる。

同社はすでに、2016年4月に関西国際空港内に出店しているが、今回は東京オリンピック・パラリンピック競技大会(東京2020)に向けて拡張が進む羽田空港に展開することで、関空よりもより多くの外資企業・外国人の需要を見込んでいる。また現在、羽田空港以後に関しても、複数の空港管理者と出店の話を進めているという。

「リージャスエクスプレス羽田空港第1ターミナル」の構造

単身でも会社丸ごとでも利用可能

では実際、羽田空港ではどのようなサービスを受けられるのか。通常、同社の展開では8時~18時を通常営業としているが、今回は空港ということで営業時間を延長し、年中無休の8時~20時で展開。日本語・英語に対応する常時スタッフが2~3人控えており、レンタルオフィス利用者向けのサービスとして、電話の取り次ぎなどもサポートしてくれる。

日本語・英語に対応するスタッフが常駐

オフィス部屋は37室、ワークステーションは87席、4~9人対応の会議室は5室を設置し、高速インターネット回線、WiFiなどのサービスを備える。また、オフィス機能として、プリンター/スキャナー/コピーやオフィスツール/ステーショナリー、プライベートロッカー、コンセント、また、コーヒーやお茶などのフリードリンクコーナーも設けている。

コーヒーもご自由に

プリンター/スキャナー/コピーやオフィスツール/ステーショナリーも

オフィス部屋は、完全個室のひとり部屋から、机をシェアできるコワーキングまでさまざまなタイプがあり、部屋の一部は壁を取り外して空間を拡大させることも可能。空港という展望の良さを生かし、すぐそばに飛行機を感じられるような開放的な空間作りがされているのもポイントだ。また、会議室には空の玄関である空港になぞらえ、「New York」や「Paris」「Sydney」「Ottawa」という遊び心があるネーミングもいい。

オフィス部屋

会議部屋

自由にドリンクが楽しめるラウンジでは特に飲食の物販はないものの、フォークやお皿などの備えがあり、自由に持ち込みもOKとなっている。そのラウンジの側に時刻表があるのを見て、「そうだ、ここは空港の中だったんだ」ということに気づかされた。

時刻表があることに、ここが空港であることを実感する

働き方にあわせて選べるプラン

ビジネスラウンジは1時間1,000円から、オフィスは1時間1,500円から、会議室は1時間5,225円から展開しており、レンタルオフィスは1カ月契約・年間契約での割り引きも用意している。また、同グループが展開している「ビジネスワールドメンバーシップ」の会員になれば、世界120カ国のビジネスラウンジやカフェが自由に使えるようになる。会員は、ゴールド(530円/日)とプラチナ(1,530円/日)、プラチナプラス(2,797円/日)の3種類があり、それぞれで特典内容が異なる。

空港でちょっと休みたい、という時にもぴったりだ

羽田空港第1ターミナルで展開するビジネスモールプロジェクトは、この「リージャスエクスプレス羽田空港第1ターミナル」が第一弾であり、今後も2018年夏のグランドオープンに向けて、ヘルスケアやリラクゼーション施設などを構想している。日本空港ビルデングは現在、羽田空港の機能強化の一環として、東京2020開催に伴う施設整備や空港機能強化を進めており、空港を通過する場所から滞在する場所へと変革を狙っている。今回の取り組みが、どのように人々の滞在のあり方、そして働き方改革につながっていくのか注目したい。