米国の報道では、Appleが、将来のiPhoneやiPadなどのデバイス向けに、人工知能や機械学習を専門的に処理するチップを開発しているという話だ。Bloombergによると、Apple社内で、それは「Apple Nural Engine」と呼ばれており、AI専用チップによってiPhoneのバッテリー持続時間の向上などが期待されているという。バッテリー持続時間の向上は、AI専用チップの最も分かりやすい効能であるため、ピックアップされているのではないか、と思われる。

iPhoneは、デバイスの中に閉じて、デバイスが収集した様々な情報を処理し、パターンを見出し、ユーザーが便利に使えるよう、「裏で準備」をしてくれている。例えば、iPhoneで写真を撮っていくと、写真に写っている同じ顔の人を自動的に分類し、風景や被写体が何かを解析してタグ付けしてくれる。これにより、「写真」アプリやSiriで「犬」と検索すれば、犬が写っている写真を見つけ出してくれるのだ。

「写真」アプリで「橋」と検索すると橋の写真を見つけてくれる

Appleは、他のウェブ系の企業とは異なるプライバシーポリシーを掲げて話題になったことがある。つまり、iPhoneの中の情報は、iPhoneの外に持ち出さずに解析して、前述のような被写体へのタグ付けを行えるようにしている。Googleフォトであれば、こうした解析はGoogleのクラウド側で処理されるため、手元のデバイスの処理能力やバッテリー残量を気にする必要がない。しかしiPhoneの場合は、iPhoneの中で処理しなければならない。そのため、前述のようなAIの処理に特化したチップを搭載し、少しでもメインのプロセッサの負担を減らし、すなわち人工知能や機械学習の処理に関わるバッテリー消費を抑えようとするのだと考えられる。