説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『アドレス末尾が「.mac」のiCloudメールがあるの?』という質問に答えます。

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はい、あります。Appleのクラウドサービス「iCloud」は、現在の形になるまでサービス内容と名称を何度か変更していますが、以前提供していたドメイン名を引き継いでいるため、メールアドレスの「@」より右側の文字列(ドメイン名)にバリエーションがあるのです。

Apple初のクラウドサービスは、2000年に提供開始された「iTools(アイツールズ)」です。Macユーザを対象に、オンラインストレージサービス(iDisk)やホームページサービス、メールサービスなどを提供していました。そのときユーザに割り当てられたメールアドレスのドメイン名が「mac.com」です。

iToolsは、2002年に有償サービスの「.Mac(ドットマック)」へ移行します。容量が100MBに増えたiDiskや各種ユーティリティソフトが提供されたほか、メールサービスの継続も行われました。このときのドメイン名も「mac.com」です。

このサービスは2008年に「MobileMe(モバイル・ミー)」に衣替えされます。オンラインストレージの初期容量は20ギガバイトに大幅増量、カレンダーや連絡先をクラウド経由で同期する機能も提供開始されました。メールサービスはプッシュ通知に対応し、新規発行されるアドレスのドメイン名は「me.com」に変更されています。

ただし、MobileMeでは「mac.com」のアドレスを持つユーザに対し、同じアカウント名(「@」より左側の文字列)を持つアドレスを追加提供しました。たとえば、「mynavi-news@mac.com」というアドレスを持つユーザは、「mynavi-news@me.com」もあわせて利用できるようになったのです。

2012年にサービス開始された現在の「iCloud」もこの方針を踏襲し、以前からのユーザに対しドメイン名が「icloud.com」のメールアドレスを追加提供しています。つまり、iTools/.Macの頃からのユーザは、ドメイン名が「mac.com」と「me.com」、「icloud.com」のメールアドレスを保有していることになります。メールアドレスはたびたび変更する性質のものではありませんから、ドメイン名を見ればApple製品ユーザとしての長さをある程度推測できることでしょう。

iToolsの頃からのユーザは、このようにドメイン名が異なる(アカウント名は同じ)iCloudメールを複数保有しています