Oracle Code Japan Tour in Fukuokaが、2017年5月29日、福岡市天神の日本オラクル九州支社で開催された。Oracle Code Japan Tourは、日本Javaユーザーグループ(JJUG)によって、日本各地で開催されているもので、Javaのエンジニアを対象に、Javaの最新技術動向やユースケース、技術情報などを共有するのが狙い。

Oracle Japan Tour in Fukuokaが開催された日本オラクル九州支社

東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪で開かれた「Java Day Tokyo 2017」にあわせて、5月18日に、東京でOracle Codeを開催。その後、Japan Tourとして、名古屋、大阪、岡山、広島、熊本でも順次開催しており、このほど、福岡で開催した。今後は、5月31日に福井、6月1日には仙台、6月3日には札幌でそれぞれ開催する予定だ。

Oracle Japan Tour in Fukuokaの様子

Javaコミュ@福岡のきしだなおき氏

午後7時から開始したOracle Japan Tour in Fukuokaには、九州地区のJavaエンジニアなど、約20人が参加。Java Championの一人であるSebastian Daschner氏や米オラクル テクノロジーネットワークのStephen Chinディレクター、NTTのOSSセンタ Javaテクニカルサポートエンジニアの久保田祐史氏が講演を行った。

福岡のJavaコミュニティであるJavaコミュ@福岡のきしだなおき氏は、「最近は、自然発生的に勉強会を開催する動きがあり、Javaコミュ@福岡としては、定期的な勉強会はやっていない。だが、今回のイベントは、福岡のJava開発者が集まる機会になり、東京で発信されるような最先端の情報発信を、福岡の地でやってもらえることはうれしい。新たなエンジニアの参加もあり、広がりが出ている」などとした。

日本オラクル クラウド・テクノロジー事業統括Fusion Middleware事業統括本部ビジネス推進本部担当シニアマネジャーの伊藤敬氏

冒頭、挨拶した日本オラクル クラウド・テクノロジー事業統括Fusion Middleware事業統括本部ビジネス推進本部担当シニアマネジャーの伊藤敬氏は、「Oracle Japan Tourは、Daschner氏とChin氏の2人が大型バイクで日本を周りながらセミナーを行うツアーとなっている。こうした機会はない」と、このツアーの意義を説明。

また、5月17日に、東京で開催した開催したJava Day Tokyo 2017の概要について説明。

「Java Day Tokyo 2017は、海外のJava Championが6人も講演を行う国際的なものとなった」としたほか、「Oracle Java & Developersというサイトを通じて、Javaの最新情報を提供している。エンジニアのみなさんにはぜひ活用してもらいたい」と述べた。

NTTのOSSセンタ Javaテクニカルサポートエンジニアの久保田祐史氏

続いて登壇したNTTのOSSセンタ Javaテクニカルサポートエンジニアの久保田祐史氏は、「Unified JVM Logging」と題して、JDK 9からJVMログが変更されることについて説明。運用面においては、生命線になりうる「ログ」がどのように変わるのか、どのように設定したらいいのかを紹介した。

「もともとは標準出力であったが、ファイルへの出力にも対応したり、タイムスタンプやより詳細な内容を出力するように改修。GCログやJITコンパイルログなど、出力される内容も増加。バージョンを重ねるごとにアドホックに改善されてきた。結果として、出力内容に一貫性がなく、設定が多種多様すぎ、さらに、レベルやカテゴリー制御がないという課題が生まれている。これらの数々の変更は、トラブルシューターの負担が増加することにつながり、死活問題でもある」と前置きし、「Java 9では、Unified JVM Loggingとして、フレームワークを導入することで一貫性を保ち、とくにGCログ周りに対して大幅に手を入れている。ログの設定方法は、シンプル化し、すべてXlogで設定できるようになる」とした。

続いて、全世界に約200人いるJava Championの1人であるSebastian Daschner氏が、「Cloud Native Java EE」をテーマに講演した。

Java ChampionであるSebastian Daschner氏

Daschner氏は、全世界には1000万人以上のJavaの開発者がおり、世界中に314のJavaユーザーグループ(JUG)があること、さらに、JCP(Javaコミュニティプロセス)における仕様策定プロセスにおいて、50以上のJUGが関与していることなどを紹介。

「日本には、優秀なJavaエンジニアがいる。もっと仕様策定に貢献してほしいと考えている」などとした。

また、Java Day Tokyo 2017の開催を前に、海外のJava ChampionとJJUGのリーダーが、合計約20人が参加して、2日間に渡り、下田プリンスホテルでアンカンファレンスを開催。温泉に入りながら、リラックスした環境で、Javaの技術などについて議論をしたことから、これを「JOnsen」と称したことを紹介。

「JOnsenは、2018年も開催する予定である。ぜひ参加してほしい。サイトに登録してもらえれば、ニュースレターを送信する」と語った。JOnsenは、日本の参加者にとっては、英語で議論をする場を体験する貴重な機会であったともいえ、Daschner氏は、このイベントに多くの日本人Javaエンジニアに参加してもらいたいと考えているようだ。

さらに講演では、その場でコーディングを行うライブコーディングによって、Java EEを用いて、DevOpsとしての活用や、マイクロサービスとしての利用などを通じて、クラウドレディなアプリケーションを構築する方法について解説。Java EEが、Dockerによるコンテナテクノロジーや、オーケストレーションに高い適応性を持っていることなどを示した。

米オラクル テクノロジーネットワークのStephen Chinディレクター

最後に登壇したのが、米オラクル テクノロジーネットワークのStephen Chinディレクター。「Raspberry Pi with Java 9」をテーマに講演。Java 9によるエンベデッドテクノロジーを紹介した。

ここでは、5月に都内で開催されたOracle Codeにおいて、Raspberry PiとJavaとの組み合わせによって、スマホアプリを通じて、自分の好みの味にコーヒー豆をブレンドしたり、プラスチック樹脂を自由なデザインに切り抜くことができるデモストレーションを行ったことを振り返ったほか、今回の会場では、ラジコンカーを用いて、これをRaspberry PiとJavaを用いて制御する様子をデモストレーション。会場内の床にテープを貼って、道路を作り、この上をセンサーを搭載したラジコンカーを走らせたり、障害物を見つけるとその前で止まるといった制御が可能になることを示した。

「日本でも安価に入手できるRaspberry Piを使用し、Javaプログラミングによって、様々な組み込み用途に利用できることを示した」とし、Java 9によるIoT対応や組み込み活用の広がりを提案してみせた。

なお、Oracle Code Japan Tourは、昨年は、NightHacking Japan Tourとして全国9カ所で開催しており、これが2回目。前回も同じく、Chin氏とDaschner氏が講師を務めていた。来年も同時期に開催することを検討しているという。