台湾ASUSTeK Computerは5月29日、恒例となっているCOMPUTEX前日のプレスイベントを開催し、今後発売予定の新製品を紹介した。PC、モバイル、ロボットと賑やかだった2017年に比べると、今回発表されたのはPCのみ。全体的にやや地味目な印象ではあるものの、気になった新製品について紹介してみよう。

2017年も各国から大勢の報道関係者が集まったASUSのプレスイベント。今回のテーマは「The Edge of Beyond」

プレゼンターはご存じ、同社の名物会長Jonney Shih氏。新製品が少なくてもShih氏のテンションは変わらない

10.9mmまで薄くなった新型Flip

今回、発表されたのはノートPCの5モデルで、内訳は「ZenBook」シリーズが3機種、「VivoBook」シリーズが2機種。いずれもCPUは第7世代Core i7が搭載可能である。このうち、筆者が個人的に最も注目したのは、同社のJonney Shih会長が最初に紹介した2in1ノート「ZenBook Flip S」(UX370)だ。

「ZenBook Flip S」。画面サイズは13.3型だ

高級感のあるデザイン。Zenbook 3と同様にエッジ部分は金色に光っていた

ZenBookの特徴ともいえるのはその薄さであるが、ZenBook Flip Sではさらに進化。現行モデル(Flip)の13.9mmから、Flip Sでは10.9mmまで薄くすることに成功しており、重さも1.1kgと軽くなった。この薄型化・軽量化により、タブレットモード時に手で持ったときの違和感は大幅に軽減されるだろう。価格は1,099ドルから。

Shih会長は片手で持って軽さを強調

競合機種と比較して薄さをアピール

こちらはパフォーマンスの比較だ

タブレットモード時もこの薄さ

また「ZenBook 3」の上位モデルとして、「ZenBook 3 Deluxe」(UX490)が登場。2017年1月にアメリカ・ラスベガスで開催されてCES 2017ですでに展示されていたモデルだが、こちらも最初にアピールしたのは薄さで、この12.9mmというのは、14インチのノートPCとしては世界最薄だという。

「ZenBook 3 Deluxe」。厚さは12.9mm、重さは1.1kgと薄くて軽い

Thunderbolt 3を搭載しており、外付けグラフィックスも利用できる

また画面には「ゴリラガラス5」を採用したとのことで、Shih会長は「強さと美しさのバランスがパーフェクト」と紹介した。価格は1,199ドルから。

そしてさらにパフォーマンスを追求したのが「ZenBook Pro」(UX550)である。新モデルでは、内蔵GPUをGeForce GTX 1050 Tiに強化。それでいて、厚さは18.9mm、重さは1.8kgと、従来より薄型軽量になっている。価格は1,299ドルから。

一方、低価格向けのVivoBookシリーズでは、上位モデルの「VivoBook Pro 15」(N580)と下位モデルの「VivoBook S15」(S510)が登場。特に注目はVivoBook S15の価格で、Shih会長から「499ドル」と公表されると、プレスからも驚きの声が上がった。VivoBook Pro 15は799ドルから。

「VivoBook S15」。アルミボディを採用し、GeForce 940MXを内蔵

上位モデルの「VivoBook Pro 15」はGeForce GTX 1050を内蔵する

なおASUS日本法人によれば、いずれのモデルも、日本国内での発売は未定とのこと。ただ、スリムノートは日本での人気も高く、発売される可能性は高いのではないだろうか。

ちょっと変わったルーターも

イベントの会場では、上記のノートPC以外の展示もあった。それらについても、ここで簡単に紹介しておこう。

オールインワンPCの新製品は、「Zen AiO」(ZN242)と「Vivo AiO」(V241)の2種類。両モデルの特徴は、幅2mmという狭ベゼルのディスプレイを採用したことで、そのため外観はよりスタイリッシュな印象となった。説明員によれば、ZN242は9月発売で、価格は未定。V241は5月発売で、価格は699ドルからとのこと。

上位モデルの「Zen AiO」(ZN242)。画面サイズは23.8インチだ

ベゼルの幅は2mm。ただし、その内側にも非表示エリアがある

背面のロゴ部分がヒートシンクになっており、ここから排熱する

こちらは下位モデルとなる「Vivo AiO」(V241)だ

面白いと思ったのは、外観がユニークなWi-Fiルーターの「Blue Cave」だ。名前の通り、"青い洞窟"のような中央のホールがデザイン的な特徴となっており、ぱっと見てもこれがルーターであるとは誰も思わないだろう。「AiProtection」技術によるセキュリティ性能の高さも特徴。価格は179ドルになる予定とのことだ。

「Blue Cave」。アンテナは内蔵しており、外からは見えない

背面を見るとルーターであることが分かる。有線LANも装備

また会場では、日本でも発表済みの「ZenFone AR」の展示コーナーが設けられており、体験できるようになっていた。ZenFone ARは、GoogleのAR技術「Tango」とVR技術「Daydream」に対応するスマートフォン。プレスからの注目も高いようで、大勢の記者が体験する様子が見られた。

ARの体験コーナー。自動車のCGが実際の背景に合成されている

これでVRを体験。頭の動きに対する追従は非常にスムーズだった

HTCのViveが買えそうな価格はやや気になるものの、PC無しで、どこでもAR/VRを楽しめるのは大きな利点だ。特に、モーショントラッキングカメラや深度カメラによる高精度なARはZenFone ARならでは。今夏と言われる発売が楽しみなところだ。

モーショントラッキングカメラ、深度カメラ、メインカメラの3つのカメラから構成される「TriCam」を背面に搭載している