iPadは、Appleが2010年に生み出した製品で、タブレット市場では引き続き1/4のシェアを確保し、名実ともに同社をトップブランドにのし上げるのに貢献している。

しかし、Chromebookや、ディスプレイ部分を取り外し可能なデタッチャブルなどの新しい形態のデバイスにおされ、売り上げは次第に苦戦を強いられるようになってきている。苦戦の背景に、タブレット自体が中途半端な存在になりつつあるという状況があるが、その理由のひとつとして、大画面化したスマートフォンの存在は見逃せない。

現行のiPadのラインナップ

Appleは2017年第2四半期に、890万台のiPadを販売したと報告した。前年同期比、アナリストの予測、ともに届かず、低迷の色を濃くしてる。ただ、今回の決算では、品不足を指摘していた。

本連載でも触れた通り、該当四半期までのiPadの売れ筋は、9.7インチモデルのiPad Air 2であり、これを企業や教育機関が大量に導入したい、というニーズが存在していた。しかしラインアップが増えすぎたこと、そしてハイエンドモデルを優先したいとの思惑もあってか、ニーズのあるiPad Air 2の納期が大幅に遅れる傾向が目立っていた。

3月21日にiPad Air 2、iPad mini 2、iPad mini 4の一部のモデルを販売終了とし、その代わりに9.7インチでA9プロセッサを備え、329ドルとこれまでに内定価格を実現する第5世代iPadを発表した。

需要のあるモデルの生産が十分に行える体制を整えたことで、2017年第3四半期決算での変化を確認できるかどうかが注目のポイントとなる。