独フォルクスワーゲン(VW)の日本法人であるフォルクスワーゲン グループ ジャパン(VGJ)は、主力小型車「ゴルフ」を約4年ぶりに刷新し、発売する。輸入車のベストセラーとしての地位を長きにわたり堅持してきたゴルフも、昨年は排ガス不正問題の影響もあって、BMW「ミニ」にトップの座を明け渡したという経緯がある。VGJが反転攻勢のカギを握るクルマと位置づける新型ゴルフは、再び販売台数トップの座を獲得できるか。

新型「ゴルフ」

ハッチバック型コンパクトカーの先駆け

1974年に初代が登場したゴルフは世界的なベストセラーカーで、VWの累計生産台数は3300万台を超える。日本では1975年の発売以来、累計で85万台以上を売った人気車種だ。新型ゴルフ発表会に登壇したティル・シェアVGJ社長は、ゴルフはハッチバック型のコンパクトカーというジャンルを確立したクルマだと表現した。

「ゴルフ ヴァリアント」も刷新

ゴルフはモデルチェンジごとに各時代で最先端の技術を取り入れ、多くの人に新しい技術との接点を作ってきたモデルでもあるという。例えばアンチロック・ブレーキシステム(ABS)やエアバッグといった設備は、ゴルフが競合他社に先駆けて取り入れてきたとシェア社長は語る。

「デジタル化」と「トラフィックアシスト」が売り物

新型ゴルフは、7世代目となる現行ゴルフのマイナーチェンジ版ということになる。今回は、「ゴルフ」「ゴルフ ヴァリアント」「ゴルフ オールトラック」の全てが新しくなった。新型で導入となった技術はいくつかあるが、VGJが強調したのが「デジタル化」と「自動運転を見据えた運転支援システム」だ。

デジタル化の分かりやすい例が、ゴルフでは初採用となる「デジタルメータークラスター」だ。スピードメーターなどをグラフィックとして映し出す12.3インチの大型ディスプレイは、VWのカーナビゲーションシステムと連動して地図や経路を表示することもできる。

大型ディスプレイにスピードメーターを映し出すデジタルメータークラスター

運転支援システムで特筆すべきは、VWがコンパクトシリーズで初めて導入した渋滞時追従支援システム「トラフィックアシスト」だろう。これは、車線を逸脱しないようドライバーをアシストする「レーンキープアシストシステム」と、自動で加減速して先行車を追従する「アダプティブクルーズコントロール」を組み合わせたシステムだ。

トラフィックアシストは時速30キロ以上の走行時で、ドライバーがステアリングに両手を置いているという条件下でのみ使用可能。時速0~60キロの範囲で自動的に加減速を行い、先行車と一定の車間距離を保ちつつ、車線も維持する。これにより、渋滞走行時のドライバーの疲労軽減が図れるという。

7世代目ゴルフに新規技術が加わり、エクステリアデザインも変更となった今回の新型ゴルフ。価格設定も魅力の1つで、入門しやすい輸入コンパクトカーという立ち位置を確立しているゴルフだが、新型で価格は維持できているのだろうか。