平井一夫社長体制として2回目の中期経営計画となる「第二次中期経営計画」では、最終年度となる2017年度の経営数値目標として、ROE10%以上、営業利益5000億円以上を掲げている。

平井社長は、「2017年度は結果にこだわる重要な年である」と宣言し、中期経営計画の経営数値目標の達成を最重点テーマに位置づける。

先頃発表した2016年度の連結業績では、営業利益が前年比1.9%減の2887億円。2017年度の営業利益5000億円に到達するには、前年比73.2%増という高い成長率を達成しなくてはならない。2000億円以上の上乗せが必要だ。

平井社長は、ソニーが営業利益5000億円を突破したのは、1997年度に5257億円を計上したときの一度だけであることを示しながら、「これは、20年ぶりの利益水準であり、経営陣や社員にとっては大きな挑戦である」とコメントする一方で、「この5年間の取り組みにより、この目標を十分に狙えるだけの力がついてきた」と自信をみせる。そして、「社員が目を輝かせ、未来に向けて、新たなことに挑戦する自信と元気に満ちたソニーが戻ってきた実感がある」と付け加えてみせた。

営業利益5000億円達成に向けては、全部門での黒字化を前提とするのはもちろん、それぞれの事業において、力強く成長戦略を達成する必要がある。

それは、主に5つの事業分野における成長戦略の実行に集約されよう。

PSのネットワークビジネス 有料会員サービスの強化の成長がカギ

ひとつめは、「利益成長を牽引する最大のドライバー」と平井社長が位置づける「ゲーム&ネットワークサービス分野」で、前年比25.4%増の1700億円を見込んでいる点だ。

平井社長は、「プレイステーションビジネスは、引き続き好調であり、PS4 Pro、PS VRの導入にも成功した。2017年度はPS4で1800万台の販売を予定し、2017年度末には7800万台の累計販売台数に達することになる」と語り、「1993年に生まれたこの事業が2兆円の売上げ規模となり、収益でもグループの柱に成長したことは、ソニーグループの大きなマイルストーンである」と自信をみせる。

PS4は、2014年2月の発売以来、3年を経過し、「プラットフォームが収穫期を迎えている」(平井社長)なかで、従来のプラットフォームと異なるのは、ソフトウェアタイトルによる収穫だけでなく、ネットワークサービスによる収穫が加わっている点だ。

平井社長が明らかにしたプレイステーションネットワークの月間アクティブユーザー数は7000万人。PS4だけでみると、プラットフォーム上での全アクティブユーザーの1週間の合計滞在時間は6億時間以上になるという。

平井社長は、「ネットワークビジネスの収益拡大が、事業全体の安定した収益創出に貢献することになる。その大きな鍵となるのが、有料会員サービスのPS Plusになる。この会員数を伸ばすために、サービス内容を強化する。ロイヤルカスタマーの拡大を中心としたエンゲージメントを強め、PS4のエコシステムを拡充することで、収益に貢献することを期待している」と語る。