皮膚が小さく盛り上がって、押すとぷにぷにとやわらかい――。そんなおできのような凹凸物を発見したら、もしかしたらそれは「粉瘤(ふんりゅう)」かもしれない。粉瘤とはいったいどんなもので、どのように治療すればよいのかを、皮膚疾患に詳しいメンズヘルスクリニック東京の竹中洋史医師にうかがった。

粉瘤とは

粉瘤とは、皮膚の下に袋(嚢腫: のうしゅ)ができ、古い角質(垢)や皮膚の脂がその袋の中にたまってできる腫瘍のことを指す。皮膚から半球状に数ミリほど盛り上がっているものがあったら、それは粉瘤かもしれない。強く押すと、袋の中で膿状になった角質や皮脂がどろりと出てくることもある。

  • 垢や皮脂が皮膚の下の袋にたまる腫瘍のことを粉瘤と呼ぶ

腫瘍といっても悪性のものではないが、たまった角質や皮脂は袋の外に出られないため、どんどんたまって少しずつ大きくなっていくこともある。

「角質や皮脂がたまらないように、毎日清潔にしていれば粉瘤にならないのでは…… と考える人がいるかもしれませんが、清潔さと症状につながりはなく、老若男女問わず誰でも、体のどこにでもできます。特に顔や首、背中、耳の後ろにできやすいのですが、どうして皮膚の下に袋ができてしまうのか、その原因はわかっていません」

粉瘤の治療方法

粉瘤ができても、痛みやかゆみがない場合が多いので、そのまま放置しておく人も少なくないという。良性腫瘍なので、袋が小さいままであれば特に問題はないそうだが、大きくなると炎症を起こす可能性もある。そのため、できるだけ小さいうちに治療するのがお勧めだと竹中医師は話す。

粉瘤の手術に要する時間は?

手術ではなく薬での治療を望む人もいるだろうが、残念ながら粉瘤を治す飲み薬や塗り薬、漢方薬はないとのこと。粉瘤を完治させるための治療法は、手術での除去のみなのだ。

ただし、手術という言葉からイメージされるような仰々しいものではない。粉瘤の周りに麻酔を注射したら、粉瘤の袋を丸ごと取り出し、縫合を終えたら手術は完了となる。そして、一度取り除いたら再発することはないので、同じ部位の治療のために何度も病院に通う必要もない。

「一般的な治療法は手術で取ってしまうこと。部位や大きさにもよりますが、局所麻酔で10~20分。日帰り手術で完了します」

また、手術自体は局所麻酔を打ったうえで行うため、痛みはほとんどない。手術後は痛み止めの薬を処方してもらえるので、痛みの心配も必要ない。手術による痛みよりも、粉瘤を放置して炎症を起こした後の痛みの方がつらいはず。そのため、皮膚に何らかのふくらみを感じたら、小さいうちに手術で取ってしまうのがよいだろう。