「ウルトラマン」シリーズにおける「怪獣・宇宙人」をテーマにした居酒屋として2014年に営業開始して以来、現在まで盛況を誇っている「怪獣酒場」(神奈川県川崎市)の新店舗が、5月21日より東京・新橋にて待望のオープンを果たす。その名も、「怪獣酒場 新橋蒸溜所」。

「怪獣酒場」バルタン店長と「新橋蒸溜所」のメフィラス店長

ウルトラマンや地球防衛軍たちと日夜戦い、地球侵略に精を出している怪獣や宇宙人が、夜な夜な憂さを晴らし、明日への活力を養う場所として密かに営業していたスペースを地球人向けにこっそり解放した……というコンセプトの「怪獣酒場」は、店内のいたるところに怪獣や宇宙人が利用していた痕跡(爪痕や武器の破片など)が残っていたり、怪獣や宇宙人をモチーフとした飲食メニューが充実したりと、「ウルトラマン」シリーズと怪獣・宇宙人が大好きな地球人にはたまらないサービス満点の店として知られている。

ついに都内へと初進出を果たした「怪獣酒場 新橋蒸溜所」は、怪獣たちがこだわりの酒を求めて研究を続けている「地下洞窟」に作られた秘密の蒸溜所を、そのまま酒場として地球人向けに営業を始めたというコンセプト。川崎の「怪獣酒場」ではバルタン星人が店長を務めているが、「新橋蒸溜所」ではメフィラス星人を店長に迎えている。

バルタン店長のシルエットを模したメインロゴは「新橋蒸溜所」でも健在。川崎の1号店と同じく、店内には「ウルトラヒーローに変身できる者、地球防衛隊やその関係者」は入ることができない。一般の地球人とそれらを見分けるべく「ジャミラの真実の口」が新橋にも設置されている。ジャミラの口に手を入れると、ジャミラが目を光らせ、独特なうなり声をあげればOK。もしもウルトラヒーローや防衛隊関係者が手を入れると、抜けなくなってしまうというウワサがある。

入口の両脇には、秘密の蒸溜所を守る2大怪獣「ゴモラ」と「ゼットン」をリスペクトした石像が置かれ、入店者を迎え入れている。

「怪獣酒場」でしか手に入らない限定グッズが多数置かれている物販コーナー。「新橋蒸溜所」オリジナル商品もある。オープン記念商品のひとつ「バルタン星人トング」は開発に長い期間をかけた自信作。その使い心地をぜひ試してほしい。

オープンに先がけ、マスコミ向け内覧会が19日に行われた。「新橋蒸溜所」の店長であるメフィラス星人と共に、川崎店の店長・バルタン星人も駆け付け、2大星人が自信をもって新店舗の魅力をアピールした。空想特撮シリーズ『ウルトラマン』では、メフィラス星人はバルタン星人やザラブ星人、ケムール人など数々の宇宙人を手下として操っていた実力者。何気ない仕草の中にも、そんな大物感が漂うメフィラス星人だった。ウワサによれば、メフィラス星人はまだ地球を手に入れるという野望を諦めきっておらず、地球人の「心」に挑戦しているという……。

グッズコーナーの反対側の壁には、大小さまざまな酒樽が見られる。樽にはそれぞれの蒸溜酒を開発した怪獣や宇宙人の顔や名前が刻まれているので、注意深くチェックしてみるのも一興。

ホールの中央には、巨大な蒸溜釜が置かれている。壁のイラストで説明されているとおり、まず素材の乾燥・発酵を行い、蒸溜釜にて純度の高いアルコールを抽出。その後、蒸溜された液体を樽に詰めて数年間にわたって熟成・貯蔵する。これらの工程を経ることにより、芳醇な酒ができあがるというわけだ。蒸溜釜を覗きに来たザラブ星人を交えて、バルタン星人、メフィラス星人のスリーショットが実現。当たり前だが、地球人が蒸溜釜に触れたり、乗っかったりするのは非常に危険なので固く禁止されている。

蒸溜釜の窓から見える、さまざまな怪しい素材。『ウルトラマン』第5話「ミロガンダの秘密」に出てきたグリーンモンスの幼体である「ミロガンダ」の赤い花や、『ウルトラマンタロウ』第31話「あぶない!嘘つき毒きのこ」に登場した怪獣マシュラに変貌する以前の「おばけキノコ」、そして『ウルトラセブン』第2話「緑の恐怖」で地球侵略を図ったワイアール星人のツル状触手(側には宇宙金属チルソナイト808が不気味に輝いている)などから、蒸溜酒が造られるのだ。

店内で忙しく働く店員たち。一見、気のいい若者風に見えるものの、その出で立ちは『ウルトラマン』第28話「人間標本5・6」に登場した三面怪人ダダを思わせる。しかし、地球人に上質のサービスを提供しようという姿勢が常に感じられ、好感度は極めて高い。

壁面には、宇宙人・怪獣連合の蒸溜酒を最初に完成させた「3星人」、バルタン星人、メフィラス星人、メトロン星人を称えたステンドグラス装飾。さらに店内には、ウルトラマンと戦った歴代ウルトラ怪獣のミニチュア展示をはじめ、ウルトラヒーローを苦しめた怪獣・宇宙人の雄姿を捉えた記念写真パネル、そしてウルトラヒーローがピンチを迎えた場面を厳選した映像モニターなどがあり、怪獣・宇宙人に優しい環境作りに努めている。通常は怪獣・宇宙人の来店はないが、川崎店同様、イレギュラーなイベントで怪獣・宇宙人が姿を見せることもあるらしい……。

美味い酒を飲ませる部分にこだわった『新橋蒸溜所』だけに、ドリンクメニュー、フードメニューも充実。『ウルトラマンレオ』第1話に登場した双子怪獣レッドギラス、ブラックギラスの必殺技・ギラススピンをイメージした「合体! ギラス兄弟 2色のラムチョップ」は、ラムの骨を双子怪獣のツノに見立てるなどハイセンスにまとめられたうれしいメニュー。川崎店で評判の高い、「ツインテールフライ」は形を変えて、「グドンも歓喜! ツインテールカツサンド」となった。地底怪獣グドンの大好物である"ツインテール"に似た味というエビを使った料理だが、おつまみとして気軽に食せるよう、サンドウィッチとして提供される。

グドンも歓喜! 特製ツインテールカツサンド(1,380円/税別)

合体! ギラス兄弟 2色のラムチョップ(1,880円/税別)

バルタン星人からの1品~熱々蟹味噌グラタン~(980円/税別)

ほかにも、バルタン星人のハサミを模した器に入った「バルタン星人からの一品~熱々蟹味噌グラタン~」、極彩色だが中身は正統派カレーという「ペロリンガ星人のサイケデリック・カレー」、スペインの代表的なタコ料理をアレンジした「ノンマルトの使者"ガイロス"のアリシア風」、クリーミィなドリア「ウルトラマン夕陽に死す ナックル星人ドリア襲来」など、ウルトラ怪獣の名場面が頭に浮かんでくるような個性的なメニューが用意されている。

ウルトラマンべリアルの「ダークサイド・ホップ」(数量限定スーベニアグラス付き、1,900円/税別)

地球征服ハイボール(630円/税別)

宇宙忍者バルタン星人の「ブルー・スペースシップ(600円/税別)

変身怪人ピット星人の「レイクサイド・スペースシップ」(600円/税別)

また、『新橋蒸溜所』オープンを記念して、「怪獣酒場」2店舗共通でスタートするドリンクメニューに、「スーべニアグラス付き! ウルトラマンベリアルの"ダークサイド・ホップ"」がある。持ち帰り可能なグラスにはウルトラマンベリアルをイメージした黒い模様が描かれており、赤いドリンクを注ぐとベリアルのボディカラーが完成する。

川崎店で好評を呼んでいる店内サービスは、もちろん『新橋蒸溜所』にも受け継がれている。来店者にはもれなくオリジナルコルクコースターをプレゼント。そして、1品注文するごとに怪獣コースターをプレゼントする(いずれも数種類ある絵柄をランダムに配布)。そして、来店1回ごとに1スタンプ捺印し、スタンプの数がたまるとさまざまな非売品グッズがもらえる「怪獣マイスターカード」も配布される。

ホールの奥にある「隠し部屋」は、誕生月の人しか入ることが許されない。ここでは、『ウルトラマン』第33話「禁じられた言葉」のワンシーンを再現した宇宙船内のセットに入って、メフィラス星人と対峙するサトル少年の気分を味わうことができる。暴力を嫌い、武力による侵略を無意味なものだというメフィラス星人は、地球人の「心」に挑戦した。果たして貴方はメフィラス星人に向かって「地球をあなたにあげましょう」と言うだろうか、それとも、強い意志を持って断固地球を守ろうとするだろうか?

JR新橋駅付近の売店では、5月19日から1か月の期間限定で『出張怪獣酒場』をオープン。『新橋蒸溜所』でも販売されている限定グッズ類はこちらでも購入することができる。

秋田英夫
主に特撮ヒーロー作品や怪獣映画を扱う雑誌などで執筆。これまで『宇宙刑事大全』『宇宙刑事年代記』『メタルヒーロー最強戦士列伝』『ウルトラマン画報』『大人のウルトラマンシリーズ大図鑑』『ゴジラの常識』『仮面ライダー昭和最強伝説』『日本特撮技術大全』『東映スーパー戦隊大全』『ゴーグルV・ダイナマン・バイオマン大全』『鈴村健一・神谷浩史の仮面ラジレンジャー大百科』をはじめとする書籍・ムック・雑誌などに、関係者インタビューおよび作品研究記事を多数掲載

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