さまざまな趣向で位置情報を活用したサービスやソリューションが展示されていた「2017 Japan IT Week春」(5月10日から13日開催)。そのなかで、筆者の興味を惹いたのが地図業界のパイオニア、ゼンリンデータコムのブースだ。“地図”という強みを活かし、そこにプラスアルファの技術・サービスを加え、新たな価値を提案していた。

ゼンリンデータコムブースでは、位置情報にまつわるサービス・ソリューションを展示していた

ブース内では、説明員にソリューションの詳細を求める来場者の姿でごった返していた

「最高のマーケティングデータを、すべての人に。」というキャッチコピーが目を惹いた「Market Platform“マケプラ”(以降、マケプラ)」だ。この「マケプラ」は、日本全国のあらゆる施設・業種・エリアの商圏情報を閲覧、分析できるというエリアマーケティングツールだ。

こちらが統計ビッグデータのクラウド型BIツール「マケプラ」のコーナー

マケプラ公式サイト

エリア分析や"商圏診断"、店舗出店計画や販売促進戦略の策定、新規顧客開拓や既存顧客分析など、エリアマーケティングは今や企業活動と切っても切れない関係にある。この流れは、コンビニエンスストアチェーンのような大手に限らず、例えば、「郊外ではあるが初めて出店したラーメン屋も大繁盛。この大波に乗って二号店を出店したい!」といった中小企業の経営者にも「マケプラ」が大いに役立ってくれるのだ。先ほどの例で話を進めるならば、現在出店しているエリアの商圏特性を分析し、繁盛に繋がった仮説を導き出す。そして、その仮説に合致する二号店出店場所を検討していく、といった重要な決断を後押ししてくれるマーケティングデータが手軽に得られ、経営課題解決の一助となってくれる、というわけだ。

「マケプラ」の魅力は多彩な切り口でのデータを閲覧することが可能なこと。現状の分析でも、新たな戦略の策定にも活用できる。しかも、この「マケプラ」はここまでの機能を有していながら比較的安価に導入できることも強みと言えるのではないだろうか。詳しくは「マケプラ」Webサイトよりチェックしていただきたい

機能も充実しており、任意で設定した地点のエリア情報が閲覧できる「ピンポイント分析」、スーパーマーケットやドラッグストアといった複数の店舗を持つチェーン店で各店舗の立地特性や商圏特性が比較できる「チェーン分析」など多彩なツールが用意されている。なかでも、各種条件に合致するエリアを検索する「ターゲット検索」は面白い機能だと感じた。例えば、「500m商圏内に総人口50,000人以上かつ昼間人口70,000人以上かつコンビニエンスストアが3件以下の駅は?」のように、非常に細やかな条件で、しかも日本全国から合致するものを検索することができる優れモノ。ここまでのデータ収集が簡単な操作で行えるこの「マケプラ」は、マーケティング従事者以外でも存分に活用することができそうだ。

また、参考出展というカタチではあったが「ゼンリンビジネスサポートナビ」も興味深いサービスだと感じた。本サービスは、ゼンリンが圧倒的優位性を持つ地図を基盤に、モバイル機器やクラウド技術を組み合わせ業務情報の管理、無駄なくスピーディな移動をサポートしつつ、業務報告も行える業務効率化を促進させるというソリューションだ。

ゼンリンならでは! と感じさせられたのが、確実に訪問先へ導けるよう「ゼンリン住宅地図」が閲覧できるということ。目的地を中心に200m四方がスマートフォンの画面上に表示されるので、訪問先の入り口まで確実にナビゲートしてくれるのは心強い。説明員の話では、例えばガスや水道メーターの検針を行うフィールドスタッフ、宅配便のドライバーなどのサポートが行えればとのこと。

「ゼンリンビジネスサポートナビ」のコーナー

こちらのPCに表示されている画面はオフィスシーンでの業務情報管理画面。地図情報を中心に、「誰が・どこへ・何時に・訪問予定か」などを確認可能だ

営業スタッフやフィールドスタッフが所持するスマートフォンで訪問先情報を確認できるほか、もちろん「いつもNAVI」で蓄積された高精度なナビゲーションを行ってくれる。しかも、訪問先を確実に見つけ出せるよう住宅地図まで閲覧することができるのはゼンリンならではのポイントだろう

“地図”という情報基盤をもとに、クラウドやモバイルデバイス、「マケプラ」で用意されているようなさまざまな統計データなどを組み合わせることによって、新たなビジネス、新たなサービスを創造していくゼンリンデータコム。「21世紀の羅針盤(コンパス)」としてこれからどのような道を指し示してくれるのか目が離せない。