年内にもジャパンディスプレイが子会社化することになるJOLEDは、21.6型4K有機ELパネルを発表した。

JOLEDがサンプル出荷を開始した21.6型4K有機ELパネル

すでに2017年4月から、サンプル出荷を開始。6月からは、ジャパンディスプレイ内に設置した石川技術開発センターの4.5世代開発試作ラインで、月2300枚体制で生産を開始する。21.6型であれば、1枚の基板から3枚取りができるという。

JOLEDは、ソニーとパナソニックの有機ELディスプレイパネルの開発部門を統合し、2015年1月に発足した企業だ。いよいよ「日の丸有機EL」が本格的にスタートすることになる。

大型はサムスン、小型はLG電子が強い有機ELパネル市場

有機ELは、各画素に形成した素子自身が発光する自発光デバイスであり、高い表示品質を実現。液晶パネルに比べて、薄型化や軽量化が図れるほか、高速な応答速度、コントラスト比が高いといった特徴がある。

スマホなどに使用される10型以下の小型パネルでは、サムスンが圧倒的なシェアを持っている。ここでは、FMM-RGB蒸着法が採用されており、高精細のパネルを生産できる。だが、真空環境で1色ずつ成膜するために、大型化においては設備投資の課題や、均一な膜を形成することが難しいために歩留まり率が低下するといった問題が発生し、10型以上のパネル生産は、技術的な難しさがある。

これに対して、55型以上の大型パネルでは、LG電子が先行。5月に入って、ソニー、パナソニックが相次いで発表した有機ELテレビにも、LG電子から供給を受けた有機ELパネルが採用されている。

ここで採用されているのが、白色EL蒸着法であり、EL層を重ねて生まれる白色光を、カラーフィルターを通してRGBに単色化するという仕組みを採用している。だが、開口率に制限があったり、省電力化にも課題があるなど、中型や小型パネルの生産には適していない技術である。

中型に参入を図るJOLED

これに対して、JOLEDが採用しているのがRGB印刷方式。これは、大型化に対するプロセス上の技術的制約がないこと、省電力化でも性能上の技術的制約がないこと、高精細化でも構造上の技術的制約がないことが特徴で、とくに、10~32型の中型パネルの生産には適している。

また、RGB印刷方式は、有機EL材料を印刷により、塗布、形成する技術であり、大気中で印刷してEL(発光)層を形成できるため、真空環境が不要であったり、マスクが不要であったりといったように、製造プロセスにおける投資が少なく、メンテナンスも容易であるという特徴を持つ。JOLEDでも、印刷方式のほうが、蒸着方式に比べて、15~20%も生産コストが低いと試算する。