Japan IT WEEK 春 2017(5月10日から13日開催)。今年も数多くの最先端技術が披露されるこのビックイベントは、同時に商取引の会場でもあり、開催する3日間はたくさんのビジネスマンの熱気で溢れかえっていたが好奇心を駆り立てられるブースも数多い。クラウド コンピューティング EXPOの中から、IoTセンサーによって変化するデジタルアートが光る「さくらインターネット」ブースについて紹介しよう。

IoTセンサーによって変化するデジタルアートが光る「さくらインターネット」ブース

今回、さくらインターネットのブースは、セミナーと展示品部分に大きく分かれており、ブースの担当者曰く「さくらインターネットは、インフラ事業なので使っていただいてるパートナーを多く紹介したい」というコンセプト。ブースの一角に大きくセミナールームを設け、パートナー企業のセミナーを3日間で22本も行うなど、自社製品よりも企業の製品とサービスの紹介を中心としている。

「さくらインターネット」ブースでのセミナーの模様。壇上では、マネーフォワードのセッションが行われた

その一方で、展示されている注目の製品は、4月より正式サービスが開始されたIoTプラットフォーム「sakura.io」だ。"だれもが、データを活かせる世の中へ"をコンセプトに、キャリアのLTE閉域網でネットワークに接続しデータを送受信する「単体方式」の「さくらの通信モジュール」とそれらを活用するための通信環境やデータの保存、連携などの一連のシステムをパッケージで提供する"さくらのIoTプラットフォーム"だ。セミナーブースのデジタルアートもこのIoTセンサーが利用されていた。今回、ブースでは、"めがねのまち"でも知られる福井県鯖江市で実際に「sakura.io」を利用したバスネットワークについての事例が紹介されていた。低価格で購入できるjig.jpのワンボードパソコン"IchigoJam"と"sakura.io"を用いたリアルタイム通信での公共バスでの乗降者データの集計は話題を呼んだ。

IoTプラットフォーム「sakura.io」の鯖江市でのバスネットワークの運営事例

さくら通信モジュール

さくら通信モジュールを使ったデジタルアート。赤外線センサーが反応したデータをサーバーに送信、映像として瞬時に看板部分に投影している

もう一つの注目の展示製品が、ディープラーニング用のGPUサーバーを時間課金で提供する「高火力コンピューティング」だ。このサービスは、機械学習研究用に用意されておりNVIDIA社製GPU搭載のQuad GPU Maxwellモデル、Quad GPU Pascalモデルや上位モデルであるTesla P40モデルとTesla P100モデルを1時間単位から利用できるというもの。時間あたり300円前後で高火力コンピューティングを利用できるのだ。同サービスは、すでに将棋AI「Ponanza」(ポナンザ)や昨年放映された「シン・ゴジラ」のCGのレンダリングなどにも活用されたという。

高火力コンピューティング!

また、さくらインターネットのもう一つの取り組みとして実践している子供向けプログラミング教室「Kids Venture」。これは、同社とビットスター、ナチュラルスタイル、jig.jpの4社が、将来のIT人材の創出に貢献することを目的に昨年6月に子供向けの電子工作とプログラミング教育を行う非営利団体として設立した非営利団体だ。展示ブースでは、教育にも利用されているプログラミング専用パソコン「IchigoJam」やダンボール製の組み立て式ロボット「paprika(パプリカ)」の展示と学習模様の映像が公開されていた。昔、学校でも習った鉱石ラジオではないが手軽にキットで楽しみながら技術を習得するのは大切だと思う。あの感動は今でも忘れられない。

子供向けプログラミング教室「Kids Venture」で活用されている組み立て式ロボット「paprika(パプリカ)」