5月15日午前11時40分ごろ、東芝からある通知が報道機関に寄せられた。題名には「本日の適時開示について:2016年度業績見通しに関するお知らせ」と書かれていた。

東芝から届いた通知の一枚目から、「決算作業を進めており、現時点で監査手続きは継続しております」との文言が目に入ってくる。2016年度第3四半期決算の公表を2度延期、その後4月には、独立監査人からの「四半期レビュー報告書の結論不表明」のまま、公表に踏み切った同社。今回の通期決算においては、どうなるか。手続きが適切に終了するだろうか、はたまた独立監査人を変更するのではないだろうか、などといったことがいわれていた。

東京証券取引所が求める「期末から45日の期日」を迎えるきょう15日。蓋をあけてみれば、「期末から45日を経過すること等も考慮したうえで、投資家をはじめとするステークホルダーの皆様に現時点の当社の業績見通しをお示しすることが重要であると判断」と、同社の責任において業績の見通しと見解を公表する旨を説明した。

正式な決算発表の時期については、一連の原発事業の巨額損失の原因となったCB&I ストーン・アンド・ウェブスター社に係る損失の認識時期の調査などを含めたグループ全体の決算手続が完了次第の発表になるという。

売上高は、前年比2848億円減の4兆8700億円。営業損益は前年の4830億円の赤字から7530億円改善し、2700億円の黒字に転換した。当期純利益については、前年よりも赤字幅が拡大し、9500億円の赤字となった。株主資本は、マイナス5400億の債務超過、純資産はマイナス2600億円だという。

売上高については、メモリとHDDの増収があったものの、円高によって2810億円のマイナス影響や、構造改革によるパソコン、テレビの事業縮小があり、減収。損益については、資産評価減や、構造改革費用、不採算案件の引当などの一時的費用などのマイナスを前年度に計上していたことや、賞与減額等の緊急対策があったことから、原子力以外の全ての事業において、対前年で改善の見通し。この9500億円の赤字は、すべて原発事業の損失によるものだ。

同時に発表された2017年度の業績の見通しは、売上高は、前年比1700億円減の4兆7000億円。営業損益は700億円減の2000億円。当期純損益は500億円の黒字だという。