着物姿を披露したジュウオウタイガー/アム役・立石晴香

2016年2月14日からおよそ1年間にわたって全国テレビ朝日系で放送された「スーパー戦隊」シリーズ第40作『動物戦隊ジュウオウジャー』の"その後"を描くVシネマ『帰ってきた動物戦隊ジュウオウジャー お命頂戴! 地球王者決定戦』のDVD&Blu-rayが、6月28日に東映ビデオから発売される。完成を記念し、5月6日には上映イベントが都内・ニッショーホールで行われ、ジュウオウジャーのメインキャスト6人と、Vシネマの悪役ゲストとして『笑点』でおなじみの落語家・林家たい平が登壇し、つめかけた満場の客席を笑いと興奮の渦に巻き込んだ。

Vシネマ『帰ってきた動物戦隊ジュウオウジャー お命頂戴! 地球王者決定戦』(竹本昇監督)は、テレビシリーズ『動物戦隊ジュウオウジャー』の最終回を踏まえ、人間界とジューランドが融合して人間とジューマンが仲良く共存している世界が舞台になっている。かつて宇宙の悪・デスガリアンと戦ったジュウオウジャーたちもそれぞれ平和に暮らしていたが、突然「地球王者決定戦」の案内状が届く。地球最強の王者を決める武道大会に意欲を燃やす大和、セラ、レオ、操。しかし主催者のポカネ・ダニーロには別な目的が……。ジュウオウジャーは、人間やジューマンの命を宝石に変える邪悪なポカネの陰謀を粉砕することができるだろうか? そして、地球の王者に輝くのはいったい誰なのか?

劇中では、テレビシリーズの設定やキャラクターを巧みに生かしながら、テレビでは観られないジュウオウジャーの意外なコスプレ作戦、そしてVシネマだけに登場するスペシャルなヒーローの登場など、さまざまな見せ場が満載された超娯楽作品がここに完成した。

上映前の舞台あいさつに登壇したメンバーは、今回のVシネマで見せたコスチュームを披露。アダルトタッチの衣裳や勇ましい道着姿など、いつものイメージと違った出で立ちにファンから大きな歓声が上がった。

ジュウオウイーグル/風切大和を演じた中尾暢樹は、劇中で闇カジノへ潜入するため、髪をオールバックにした上にギャンブラー風のスーツで渋めに登場。放送終了後、全国各地を回るファイナルライブツアーを行っていたメンバーとは約2週間ぶりの再会となる中尾だが、「今までずっとこのメンバーと一緒だったから、2週間会ってないだけで寂しかった」と素直な感想を語った。その上で「まだ会えてない期間が最長で2週間。まだ"ジュウオウロス"になる前ですね。これから、ふとした瞬間に仲間のことを思い出すのかもしれません」と、少し寂しそうな表情を見せた。

テレビシリーズでたびたび手合わせしたものの、決着がつかなかったレオとの真剣対決に臨むジュウオウシャーク/セラ役の柳美稀は、魅惑的なチャイナ服に身を包んで登場。アム役の立石とは「昨日の夜中までLINEしていて、今朝も『おはよう』ってメールで連絡取ってます」と、『ジュウオウジャー』で共に戦った女戦士同士の仲の良さをアピール。

手加減なしでの勝負を挑んでくるセラに対して、女性相手に本気を出せない優しさを見せるジュウオウライオン/レオを演じた南羽翔平は「今日またこのメンバーで舞台に立てたことがうれしい」と、改めて仲間との再会を喜んだのち、「今日は、操が『うわーっ、翔平さーん!!』みたいなテンションで来るんですよ。まあ、今までずっと会っていて、2週間も会わなかったのは初めてですから」と、仲間同士の絆の強さを明かしていた。道着姿のレオは、劇中で得意のアクションを存分に披露。果たしてレオは地球王者の栄冠に輝くことができるだろうか。

大和、アムと共に闇カジノへ潜入を図ったジュウオウエレファント/タスク役の渡邊剣は、緑のマオカラージャケットとサングラスでチャイニーズマフィア風に扮しての登場。「今までタスクはお坊ちゃんみたいな恰好していたのに、こんな風になって。今まで着たことのない衣装で、イメージが変わって新鮮でしたね」とはにかみながらコメントした。

闇カジノへ潜入するにあたって、なぜか"女賭場師"を思わせる着物姿で登場したジュウオウタイガー/アム役・立石晴香は、「今回(の変装)では、アムの尻尾がないんです。なんでないのかはVシネマを観ていただくとわかるんですけれど、尻尾がないのでジュウオウジャーじゃないみたい。新鮮で楽しかったです!」とまぶしい笑顔でイメチェンの感想を語った。劇中では肩を露出しての色っぽい"壺振り"を披露しており、ここがVシネマの大きな見どころのひとつと言えるだろう。

Vシネマにおいて、まさかの"ロマンス"が描かれるジュウオウザワールド/門藤操役・國島直希は、テレビシリーズ第41話で着用していたジャージ姿で地球王者をかけての一戦に臨む。國島はこの衣裳について、「衣裳合わせのとき、みんなが楽しそうに選んでいるのに、僕だけテレビのときと同じ衣裳を着せられて……」と残念がっていた。

地球王者決定戦を主催しながら、密かに闇カジノを開いて荒稼ぎを目論んでいた宇宙マフィア、ポカネ・ダニーロを演じる林家たい平は、噺家らしく扇子を手にして登場。この扇子はVシネマ劇中でも効果的な小道具として使われている。

2週間ぶりに仲間と再会して喜び合っているジュウオウジャーのメンバーを前にしたたい平は、「君たちはまだ若いからいいよ。『笑点』だって2週間に1回収録なんですが、『あの人、生きてるかな』と心配になるんだから」とキツい冗談で会場を笑わせたのち、「実は、ゴルゴ松本に間違えられないよう苦肉の策で、襟巻き着けて、扇子も持たせられました」と、お笑いコンビTIMのゴルゴ松本との差別化を図ったことを苦笑いで明かした。

悪役を演じたことについては「楽しかったですね。いつもやっている落語では、あまり悪い人って出てこないんです。『笑点』の大喜利で隣に座っている"腹黒"だったら悪役として順当だと思うんですけど……」と、番組中で何かと張り合っている三遊亭円楽を暗にほのめかして笑いを取っていた。

「スーパー戦隊」シリーズ、および特撮ヒーロー作品に深い愛情を見せるたい平だけに、「僕は『秘密戦隊ゴレンジャー』(75年)の時代から「スーパー戦隊」を観ていますし、この世界の中に自分がいるというのが最高にうれしかった!」と出演を喜んだほか、変身後のポカネに声を吹き込む「アフレコ」についても、「落語家だからうまくできるかどうかわからないと、アフレコには3時間くらい取ってもらったのですが、わずか30分で終わってしまった。なんでそんなうまくできるんですか?って訊かれたけれど、だってずっと観てるんだから(笑)。時間が余ったので、帰りの駅のホームで2時間くらいボンヤリしていました」と、さすがの多芸ぶりをかいま見せた。

たい平は最後に「ポカネ・ダニーロとかけまして、神社で『宝くじが当たりますように』と願っている人とときます。そのココロは、どちらも『まったくかないませんでした』!!」と見事な"なぞかけ"を披露。ジュウオウジャーの6人も「おお~っ」と感心し、大きな拍手を贈っていた。

『帰ってきた動物戦隊ジュウオウジャー お命頂戴!地球王者決定戦』のDVD&Blu-rayは6月28日に東映ビデオよりセル&レンタルにてリリース。セル商品には通常版のほかに小学館編集の『動物戦隊ジュウオウジャー超全集』(約100ページ)が付属する「超全集版」も発売される。

秋田英夫
主に特撮ヒーロー作品や怪獣映画を扱う雑誌などで執筆。これまで『宇宙刑事大全』『宇宙刑事年代記』『メタルヒーロー最強戦士列伝』『ウルトラマン画報』『大人のウルトラマンシリーズ大図鑑』『ゴジラの常識』『仮面ライダー昭和最強伝説』『日本特撮技術大全』『東映スーパー戦隊大全』『ゴーグルV・ダイナマン・バイオマン大全』『鈴村健一・神谷浩史の仮面ラジレンジャー大百科』をはじめとする書籍・ムック・雑誌などに、関係者インタビューおよび作品研究記事を多数掲載

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