自転車の動力を計測するパワーメーターで存在感を放つパイオニア。今夏、業界最大手のシマノが同じくパワーメーターを発売する。パイオニアを脅かす存在となるかもしれない。ここまで3回に渡ってお届けしてきたパワーメーターの話、最終回となる第4回は巨人シマノにどう立ち向かうのかを分析する。

話を伺ったサイクルスポーツ事業推進部 藤田隆二郎氏(左)とサイクルスポーツ事業推進部 碓井純一課長(右)

パイオニア、危機のシナリオ

パワーメーターひと筋のパイオニアのサイクル事業にとっては危機かもしれない。業界最大手のシマノがパワーメーターを開発し、今夏に発売するからだ。価格、機能、ブランド力を比較すると、悲観的なシナリオも描けてしまう。

パイオニアが開発したパワーメーター(センサー部分)。パワーメーターは自転車をこいだときの動力を計測する機材。シマノが同様の製品を今夏に発売する

価格面(センサー部分)から見ていこう。シマノが税別127,398円であり、パイオニアは同129,600円とほぼ同額。シマノがパイオニアを意識したのでは? と思わせるような価格だ。

次にブランド力だ。パワーメーター市場におけるパイオニアのブランド力は高いが、それを凌駕する可能性があるのがシマノだ。パワーメーターは、競技志向の高い人にとって欠かせない高価な機材である。こう考えると、トッププロが実戦で使用し、信頼度の高いものほど間違いのないものとなる。つまり、おのずと選択されやすい。

パイオニアも世界に18チームしかないワールドチームに供給するが、ワールドチームへのパイプはシマノのほうが圧倒的に強い。仮にシマノのパワーメーターを使った選手がビッグレースで活躍すれば、シマノが注目される。「シマノ製品なら勝てる」と思わせる機会に恵まれたのがシマノというわけだ。