【レポート】

好決算だったKDDI 2017年3月期決算 - しかし契約者数の減少など、課題も浮き彫りに

KDDIは11日、2017年3月期決算を発表した。営業利益は前年同期比でプラス9.7%となる9,130億円。登壇したKDDI 代表取締役社長の田中孝司氏は「好決算だった」としつつ、今後の課題についても言及した。本稿では質疑応答、囲み取材で論点になった事柄について紹介していきたい。

2017年3月期決算を発表するKDDI 代表取締役社長の田中孝司氏

好決算だったが、今後の課題も浮き彫りとなった

au契約者数が減少

2017年3月期決算では、au契約者数の減少が進んでいることが明らかとなった。この原因について聞かれると、田中社長は「総務省のタスクフォースの影響を受けている。大手3キャリアの間で競争が膠着化、利用者が流動しなくなったので新規ユーザーが減った」と解説した。

総務省のタスクフォースで、MNPを利用したキャッシュバックが禁止された。これによりユーザーは通信会社を乗り換えるメリットが少なくなった。この結果、同じキャリアにとどまるユーザーが増えた(新規ユーザーが獲得できなくなった)という理屈だ。また、MVNOへ流出する動きも加速している。

その一方で、KDDIのネットワークを利用するMVNO利用者数も増えているため、KDDIでは今後、au契約者数とMVNO契約者数の合算である「モバイルID数」の拡大に努めていくとしている。

総務省のタスクフォースの影響で、新規ユーザーの獲得が難しくなった。KDDIでは今後、au契約者数とMVNO契約者数の合算「モバイルID数」の拡大に努めていく

囲み取材では、au利用者だけに提供されているサービスをKDDIのネットワークを利用するMVNOの利用者にも開放すれば収入は伸びるのではないか、といった質問があがった。これに対して田中社長は「考えていかないといけない。2017年は色んな意味で変化があると思っている」と回答。その真意については明らかにしなかった。

ライフデザイン戦略が成長のカギ

KDDIでは中期目標の達成に向けて、ユーザーに対して体験価値を提供するビジネスモデル「ライフデザイン戦略」を推し進めていく。従前の通信サービスだけに留まらず、EC事業、エネルギー、生保損保、住宅ローン、IoTなど幅広い分野で、利用者に便利なサービスを積極的に提供していく方針だ。田中社長はその中でも重要な位置を占めるEC事業について言及した。

中期目標の達成に向け「ライフデザイン戦略」を推し進めることで「au経済圏」の最大化を目指す

通信サービスを軸としながらも幅広い分野でサービスを提供していくという

KDDIでは、EC事業としてau WALLETを中心とするポイント事業、および2017年3月に開始した「Wowma!」を展開している。田中社長によれば、この2サービスをライフデザイン事業の柱にしていくという。「例えばau WALLETのポイントを貯めていただいて、その使い道として、弊社が関係する事業の中で使っていただく。そんな風に持っていきたい。au WALLETカードの出荷は順調に伸びており、黒字になっている。Wowma!とセットでやっていく」と同氏。なお、2016年末にKDDIが買収したBIGLOBEの利用者にもライフデザイン商材を売り、全体の売上増を確保していくといった考えも明らかにした。

ポイント事業ではau STARギフトの商品追加やau WALLETが利用可能な店舗を拡大するなど、ポイントを使える場所を増やしていく

Wowma!は、auショッピングモールをリニューアルしたサービス

ライフデザイン事業の課題について聞かれた田中社長は「まだ基盤が確立していない。準備不足で、通信事業のステイをリカバーできるところまではいっていない」と回答。このためKDDIでは150億円もの投資を行い、ライフデザインに向けた関連ショップをそろえていくという。

また、拡販するための宣伝などに100億円を使う。「これをしていかないと、持続的な成長が望めない。成長の基盤をつくっていきたい」と田中社長。ちなみにKDDIでは、この他にも顧客還元に250億円を費やす見込み。その多くはau STARや、サービスの料金値下げなどに使われるようだ。KDDIはこの総額500億円を"戦略的投資"として2018年3月期の決算に盛り込んでいる。

テザリングオプションは有料になるの? ドコモのプランに対抗策は?

このほかにも、いくつかの質問が寄せられた。先ごろ「スーパーデジラ」向けのテザリングオプション無料キャンペーンについて、2018年3月まで延長することが発表された。本来なら月額1,000円がかかるとされるテザリングオプションだが、同様のキャンペーンを実施しているNTTドコモやソフトバンクモバイルも含めて、「月額1,000円の根拠」が不透明との指摘もある。

「月額1,000円の根拠」について質問されて田中社長は「あまり深く考えていなかった」と率直なコメント。さらに2018年4月以降も無料化を継続するのか聞かれると、「マーケットの変化に合わせてやっていく。現状では、有料化してもネガティブな効果しか出ないことが予想される。市場も変化してきている。もう少し考えさせて欲しい、というのが今日の時点での当社のスタンス」と答えるにとどまった。また、NTTドコモが月額980円のシンプルプランを出したが、という質問には「いろいろ考えていかないといけない。まとまったら発表したい」と答えた。

端末の総販売台数が落ちてきていることを指摘されると「スマホについては、前年同期比で3.8%落ちている。端末の総販数は、新規契約と機種変更の数で決まる。機種変のお客さんは(キャンペーンなどにより)増やすことができる。ただ新規のユーザー獲得は(3社間で流動がなくなったため)難しく、コンシューマに関しては大幅に減っている」と説明した。なおau 2017夏モデルについては、例年通り発表の場をもうけるようだ。

2018年3月期の決算には、設備投資に5,300億円がかかる見込み。これについて5G通信のための設備投資か? と問われると田中社長は「5G通信のための本格的な設備投資は、2019年ころからスタートする。現段階では700MHz、3.5GHzといった4Gのための設備投資になる」と回答した。

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