「酒を売る犬 酒を造る猫(Dog sell sake, Cat make Sake)」のキャッチーな商品名とともに、酒の席に隣り合って座る1匹と1頭が描かれたラベルの日本酒が話題となっている。製造元は新潟県の宝山酒造。明治18(1885)年創業の歴史ある酒蔵だ。その5代目となる蔵元、渡邉桂太さんが、東京農業大学の同級生である若松秀徳さんとともに造り上げた初めてのお酒こそ、件の一本なのである。

「酒を売る犬 酒を造る猫」※クランドクラブの夏限定日本酒。写真は2016年のもので2017年のものは、2017年4月現在未発売

看板猫から自分を猫、人懐っこい営業マンが犬

猫、犬それぞれのモデルは渡邉さんと若松さん。猫好きな渡邉さんが、大学の飲み会で隣の席に座った若松さんに、「一緒にお酒造らない? 」と問いかけたところからスタートする、ストーリー仕立てのシリーズなのだとか。

渡邉さんによると、その問いに対して「いいよ」と即答した若松さんは、動物に例えると犬。ラベルに描かれている通りの人懐こさが魅力とのことで、現在は宝山酒造で営業マンとして働いているという。

左が渡邉さん、右が若松さん

しかしなぜ、ふたりのエピソードをラベルに落とし込むアイデアが生まれたかというと、日本酒の通販・店舗運営サービス「KURAND(クランド)」の会員限定サービス「KURAND CLUB(クランドクラブ)」の頒布酒として限定酒を造ってほしいと依頼されたことがきっかけだ。

「お話をいただいた時、このエピソードをラベルにするのはどうだろうと思い付いたんですが、それだけではキャッチーにならないので、宝山酒造にいる看板猫ミー太をかわいがっている自分を猫に見立て、営業中の態度や雰囲気が犬に似ている相方を犬に据え替えることに決めました」(渡邉さん)。

おしゃれな色使いにも注目!

ミー太とは、今から8年ほど前に宝山酒造に住み着いたにゃんこ。もともとは野良猫だったというが、蔵に遊びにくる度にごはんをあげていたら、そのまま居ついてしまったのだとか。そして今やすっかり蔵の人気者で、蔵人たちの癒やし役としての役割もしっかり果たしてくれているというのだから頼もしい限り。

シンプルなデザインはどんな食卓にも合うのが魅力

全員20代という日本酒も

それにしても気になるのが、同シリーズの今後の行方。渡邉さんによると、「おおよそ決まってますが、リリースしてからのお楽しみです。味も毎年違うものにする予定ですよ」とのことなので解禁日が待ち遠しい。

それまで待ちきれな~い! という大の日本酒ファンは、まずは宝山酒造の全てのラインナップを試してみるのはいかが? 全て新潟県産にこだわった原料で造られているお酒が、フルーティなものからキリッと辛口のものまでバラエティ豊かにそろっている。

注目は、埼玉の蔵から引き継いだ、関わる人全員が20代という日本酒「二代目 二才の醸」。ただ残念ながら、「二代目 二才の醸」は1月にリリースして既に売り切れとなっている。2018年にはまた別の蔵に引き継がれるというが、このお酒の行方を追うのも、日本酒ファンにとっては一興であろう。

「二代目 二才の醸」は1月にリリースして既に売り切れ

そしてラストに渡邉さんからのメッセージ。「宝山酒造は新潟県の田舎でお酒を造っている小さな蔵です。無料で酒蔵観学をおこなっているので、お酒を造っている環境や関わる人のことをぜひ知ってください」。

新潟旅行の予定があるなら、蔵の見学もぜひプランに組み込んでみて。