NTTドコモは2017年度からの中期戦略となる「beyond宣言」を策定し、このほど公表した。その内容は従来から取り組んできたものも多く、目新しさは少ないが、宣言としてまとめたことには大きな意味があるようだ。

「beyond宣言」から何がわかるか

ドコモが策定した「beyond宣言」は2020年のさらに先を見据えて、ドコモが実行していくいわば"公約"となるもの。モバイル通信がライフスタイルを大きく変革すると言われて久しいが、その方向性がより具体的に伺い知れる。

内容に踏み込んでいこう。beyond宣言は6つから成る。うち3つがユーザーに関わるもので、残り3つがビジネスパートナーと関わるもの。それらの底流には。次世代の高速通信の5G、パートナーとともに新たなビジネスやサービスを生む"協創"がある。協創は「+d」とも呼ばれ、今後のドコモの動きを理解するうえで特に重要だ。

「beyond宣言」は6つの宣言からなりユーザーとビジネスパートナーに関わるものに分かれる

ユーザー向けの3つの宣言

それでは、この6つをさらに細かく見ていこう。まずはユーザー向けの3つの宣言だ。

  • マーケットリーダー宣言

ドコモのサービス、料金、ポイントの進化により、マーケットリーダーを目指す宣言。従来から取り組んできたスマートライフのサービス強化、お客様還元、料金プランの見直しなどの取り組みをさらに発展・継続させていくとともに、サービス、料金、ポイントの連携・融合を推進してドコモならではの"お得"を実現していく。

そのひとつとして、2020年度までにポイント付与・利用加盟店を300社以上にし、日本最大級のポイント発行額を目指す。

また、第一弾として、「シンプルプラン」「ウルトラシェアパック30」といった料金プランを新設、ドコモポイントのdポイント移行などが5月から行われる。

マーケットリーダー宣言では料金プランやお客様還元のほかポイントも取り組みの対象に。dポイントを2020年度までに日本最大級、300社以上の加盟店からなるポイントプログラムにするという

  • スタイル革新宣言

5Gの特徴を生かして、VR、AI、IoTといった先端テクノロジーの活用を進め、パートナーとともに「体感革新」「ライフスタイル革新」「ワークスタイル革新」を実現する。

わかりやすいのが、体感革新だ。いわば"わくわくする新しい体験"のこと。たとえば、音楽ライブなどをAR・VRによって、一体感と臨場感が時間・場所の制約なく、体験できるサービスを提供するという。ライフスタイル革新では、AIの活用により、個々のユーザーを深く理解する究極のパーソナルエージェントの実現を目指したり、投資やレンディングといった金融分野にも取り組んでいく。

スタイル革新宣言では全9つのチャレンジが行われる。先端テクノロジーによりどの分野での進化を図ろうと考えているのかが分かる

  • 安心快適サポート宣言

AIを活用してユーザーとの接点を進化させる。コールセンターでの対応だけではなく、スマートフォンや店舗設置のキオスク端末のようなもので問題解決を図る。いわば"最適なおもてなし"を実現するための宣言となる。

AI活用により安心と快適なサポートを実現する試みが進む。チャットボットや受付端末でのサポートを促進するようだ