現在TVアニメが放送中の『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』。主題歌の「DEAREST DROP」とヒロインのクトリ・ノタ・セニオリス役を担当しているのは声優の田所あずさだ。今回は、4月26日発売の6thシングル「DEAREST DROP」について、たっぷりと話を聞いた。

田所あずさ(たどころあずさ)。1993年11月10日生まれ。茨城県出身。ホリプロ所属。主な出演は『アイドルマスター ミリオンライブ!』最上静香役、『アイカツスターズ!』二階堂ゆず役、『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』クトリ・ノタ・セニオリス役、『sin 七つの大罪』アスタロト役など

難関の「ドゥロップ!」

――6thシングルの「DEAREST DROP」は、現在放送中のTVアニメ『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』(以下:『すかすか』)の主題歌。疾走感のなかに切なさを感じさせるような、これまでとは一味違った楽曲ですね。

儚いイメージがありますよね。「DEAREST DROP」は作詞・曲をQ-MHzさんに担当してもらっています。これまでQ-MHzさんに提供していただいた楽曲は複雑で激しくて、難しい感じが多かったんですけど、今回はストレートな楽曲! という印象でした。

――レコーディングで心に残っている出来事はありますか?

レコーディングではQ-MHzさんから畑亜貴さんと田代智一さん、田淵智也さんが来てくださいました。歌詞については畑亜貴さんから、曲については田代さんと田淵さんがアドバイスをくださるという、素晴らしくてありがたすぎる環境で歌えたんです。

――たとえば歌い方についてはどういうアドバイスを。

まず、全体的に切なく歌って、儚さを残しつつ、力強く歌ってほしいと言われました。"どうしたら あなたに愛を刻めるんだろう?"の"あ"のフレーズを絞り出すように意識するなど、言葉を大切に歌いました。あと、Dメロは「母のように歌ってくれ」とか。

――母! それはスッと表現できました?

意外と想像しやすかったですね、お母さんをイメージして。「包み込むようにあたたかく歌ってほしい」とのことでした。

――結構細かくアドバイスされていたんですね。

細かくアドバイスを受けつつも、全体的にのびのびやらせていただきましたね。まず、最初に感情的な部分を思うように歌ってみてから、技術面に関しての指導を受けました。楽しく心をこめて歌えたと思います。

――一番苦労したポイントは?

苦労したのは「DROP」の発音ですね。田代さんから「ドゥロップ!」って何度も言われて、がんばって何度もやり直しました(笑)。一番歌い直したんじゃないかってくらい、難関でした。

――MVについてですけど、5thシングル「運命ジレンマ」、4thシングル「1HOPE SNIPER」が動だとすると、「DEAREST DROP」は静のイメージです。

綺麗な雰囲気の中で歌いましたね。これまで以上にイメージシーンを撮影したので、演技をすることが多くて新鮮で楽しかったです。何度も金魚の水槽の中に手を入れました(笑)。「目をつぶって。ここで開けて」とか、細かく指示されて、「何に使うんだろうな~」って思いながら演技をしていたんですけど、実際に見てみたら、楽器が印象的に鳴る部分などで使われていて、すごく素敵でした。青い魚を自分の内面に例えて、それを大切に抱え、最後に持ち出す。内面を捨てずに大切に持っているというシーンです。

――そのあとにTRUEさんのMVとのコラボシーンも出てきますね。

そうなんですよ。水槽をTRUEさんに渡しに行くんです。

――あとは、魚の入った丸い水槽を持って笑っているシーンが印象的でした。

うれしい~。あそこは「愛おしそうに」って言われたので、ぜんぜん浮かび上がってこない魚を愛おしそうに見ていました(笑)。


――今回のMVは白を基調に、青を差し色として使われていて、とても幻想的ですよね。田所さんが出演されている『すかすか』のクトリも白い服装に青い髪なので、そこもリンクしているのかなと。

多分そんな気がしています! ありがたいですよね。

――田所さんは、『アイドルマスター ミリオンライブ!』の最上静香や『アイカツ!』の霧矢あおいなど、青いキャラクターを演じることが多いですね。自身のイメージカラーでもありますし。

縁があるんですよ。気付けば青が多いな―ってのは自分でも思います。個人的にも好きな色ですし、ラッキーカラーなのかもしれないですね。

――牛柄と青色だとどっちが好きですか?

あ~~~! あ~~迷うな~~~! うーん、でもカラーと柄だから同率ですね!

歌い方で素敵な発見があった

――2曲目の「残存エレジー」はどこか懐かしさを感じる曲調ですね。

はい。最初にデモを聴いたときに「時代を感じる曲だな」と思って、ピンクレディーさんっぽいという印象を受けました。ちょっとジャジーな感じですね。

――歌うときにリズムが取りにくそうな感じもします。

そうなんです。「こうやってリズムを取るんだよ」ってディレクターさんに教えていただきました。でも、リズムが見えてくると、流れに乗りやすい楽曲でしたね。今回は歌い方で素敵な発見があったんですよ。

――お、どのような?

Bメロからサビに向かって、"やぶれかぶれ はぐれ"、"大体 悩んで抗うだけ 時間の無駄ってもんでしょ"というフレーズがあるんですけど、最初は普通に歌っていたんです。でも、「クレッシェンドでつなげて歌ってみたら」と言われたんですよ。難しくて何度もやらせてもらったんですけど、実際に聴いてみるとよりパワーが出て、格好良くなったんですよ。あの歌い方は発見でしたね。

――新たな歌い方を見つけられたんですね。

はい! あと、ラストの方の"グッド/バッド?"という歌詞も最初はロングトーンで歌っていたんですけど、メロディの「ダダダダ」という楽器の音に合わせてビブラートをかけながら歌ってみるように言われて、そんなことやったことないと思って(笑)。でも、これも出来上がりを聴いたらめちゃくちゃ格好良かったんです。こんな見せ方があったんだという面白さがありました。いつもと違う楽曲だからこそ、遊びもたくさん入れられたので、楽しかったですね。

――歌詞の部分はいかがでしょうか。格好良い女性のイメージですよね。

迷っていたり、ウジウジしていたりする人に対して、「そんなのしなくていいでしょ、私を見なさい!」と言っているような格好いい女性が主人公なんです。私はそれを言われる側の人間なんですけど(笑)。でも、「ほんとうはそうしたいのに」という部分では共感できましたね。いつか私も我が道をゆく女性になりたいです。やっぱり周りの目がきになっちゃうので(笑)。