【レポート】

声優たちが生バンドで演奏する、ブシロードライブの新しい風景 - 横浜アリーナ「ブシロード10周年ライブ」

ブシロード10周年ライブが2017年4月30日、横浜アリーナにて開催された。同ライブは第1部を「ブシロード10周年ライブ」、第1.5部を「スクフェス4周年記念ステージ」、第2部を「ライブ ミルキィホームズ横濱行進曲」として行う壮大な構成。本記事では第1部「ブシロード10周年ライブ」を中心に紹介する。

第1部「ブシロード10周年ライブ」には、STARMARIE、どうぶつビスケッツ×PPP(けものフレンズ)、Poppin'Party、三森すずこ、めがみめぐり、Raychell、Roseliaが出演した。

まずは開演前の第0部的に行われた新プロジェクト発表会の模様を軽く紹介しよう。声優の森嶋秀太が司会となって行われた発表会では、アニメとミュージカルを同じキャストが演じる新プロジェクト『少女☆歌劇 レヴュー・スタァライト』が発表され、メインキャスト陣がステージに登場。ダブル主演はミュージカル『美少女戦士セーラームーン』でセーラーマーキュリー役を演じた女優・小山百代と、声優としてはもちろんアーティストとしても活躍する三森すずこが担当。ほかにもミュージカル『ギャラクシーエンジェル』でミルフィーユ桜葉を演じた富田麻帆や、相羽あいな、伊藤彩沙といったブシロードアニメでおなじみの声優陣も登場して大歓声を浴びていた。展開としては、まず2017年9月22日~24日にAiiA 2.5 Theater Tokyoにてミュージカル『少女☆歌劇 レヴュー・スタァライト -The LIVE-』を開催。三森によれば第一部はミュージカル、第二部はサイリウムもOKのライブステージという構成になるとのことだ。

さて、ライブ本編をレポートをしていこう。ブシロードの10周年を飾るライブのトップバッターは、『バンドリ!』よりPoppin'Partyが登場して「ときめきエクスペリエンス」を披露した。力強く客席を煽るギターボーカル・愛美のキラキラした存在感に目が行きがちだが、気持ちの赴くままにステージを飛び回るようなダイナミックなステージングを見せる大塚紗英、身体を目一杯前後にそらしながら生き生きと演奏する西本りみの華やかなベースプレイなど、フロント3人それぞれに攻めの姿勢が感じられる。最高の笑顔でドラムを叩きまくるという至難の技をあくまでもさらっとこなしているように感じさせる大橋彩香、プロジェクトスタート時はキーボード未経験だったとは信じられないほど流麗な指さばきを見せる伊藤彩沙と、本当にバンドとして魅力的な5人だ。

自己紹介と流れるような宣伝を挟むと、3rdシングルより「ティアドロップス」へ。ロックテイストの強い楽曲に愛美のボーカルも絶好調。大塚と愛美の迎え合わせのセッションプレイは恒例だが、今日はその向こうで西本がジャンプ&一回転! 横浜アリーナという特別な場所に、全員のテンションがアガリまくっているのが伝わってくる。「STAR BEAT!~ホシノコドウ~」は『バンドリ!』屈指の人気曲だが、先日最終回を迎えたアニメ『バンドリ!』では、Poppin'Party5人の絆をつなぐ楽曲として新たな意味を獲得した。アニメではこの曲をきっかけに最後のメンバーになった山吹沙綾を演じた大橋は、普段の笑顔よりもう一段上の、満面すぎる笑顔でステージの楽しさとこの楽曲の特別さを伝えていた。メインスクリーンに映し出されるアニメのPoppin'Partyの映像と比べても、今の大橋のドラムプレイはもっと感情が伝わってくる激しいものだし、ステージ狭しと動き回る今日の西本の動きは映像にはないもの。映像をステージで"再現"するのではなく、その先に向かって走り続けるのがPoppin'Partyなのだろう。ラストは前列の3人が揃って天に向けて指先を突き上げ、アリーナの天井と空の向こうにある満天の星を指していた。

MCでは8月21日に開催される『バンドリ!』日本武道館ライブの正式名称が「BanG Dream! 4th☆LIVE Miracle PARTY 2017 at 日本武道館」に決定したことが発表され、会場は祝福の大歓声に包まれた。

ポピパラストの曲目は、アニメED「キラキラだとか夢だとか ~Sing Girls~」。全員にボーカルパートがある楽曲だが、実は愛美以外もとびっきり魅力的な歌声の持ち主が揃っているポピパの5人。順番に歌い継いでいくことで、気持ちも一緒につながっていく様子が伝わってくる。同時に愛美のボーカルの負担が少し減る楽曲なこともあってか、愛美とベースの西本が近づいて珍しい組み合わせのセッションプレイも。最後は大塚と西本がステージを走り回りながらの演奏から、愛美がオフマイクで感情を爆発させてステージは締め。全力で走り続ける青春感こそが『バンドリ!』の魅力なんだと感じるステージだった。

続いてのステージは今もっとも熱い作品のひとつ『けものフレンズ』よりどうぶつビスケッツ×PPP(ペンギンパフォーマンスプロジェクト・ペパプ)が登場。会場が「うー、がおー!」で声を揃える中、ステージ前段にどうぶつビスケッツ、上段にPPPが登場して、「ようこそジャパリパークへ!」を披露した。ミュージックステーションにも登場したフレンズたちのステージに、会場のテンションは最高潮だ。フルサイズで強く印象に残る「東へ吠えろ 西へ吠えろ世界中に響け サファリメロディ」のパートのスケール感は、横浜アリーナというステージの巨大さにぴったりとマッチするものだった。やはりこの曲は、楽曲と作品のことが大好きな観客でいっぱいの会場で体験するのが一番ハッピーだ。

『けものフレンズ』のわずか一曲だが鮮烈な野性解放の時間。その余韻を吹き飛ばす華のあるアーティストといえば、次に登場するのは三森すずこしかいない。すみれ色の美しいドレスで登場した三森は「ミライスタート」で会場をピンクに染める。きびきびとした動きとさわやかな歌声がとても心地よい。続く「サキワフハナ」は『結城友奈は勇者である -鷲尾須美の章-』主題歌。まっすぐに客席を見据えながらの凛とした佇まいと清涼な歌声は鷲尾須美をその身に宿しているような美しさだった。

ダークファンタジーな独自の世界を歌い踊るガールズユニット・STARMARIEは、まずはテレビアニメ『鬼斬』主題歌「姫は乱気流 御一行様」を披露。メンバーごとに特色のある衣裳をひるがえしながら、目まぐるしくポジションを入れ替える華やかなステージングを見せる。「ファンタジーワールドへようこそ!」から始まる独特の挨拶を見せると、ここで新曲のお披露目を宣言。その新曲「ナツニナレ!」が7月より『カードファイト!! ヴァンガードG NEXT』の新EDテーマになることを明かすと、会場は祝福ムードに包まれた。2曲目として披露された「ナツニナレ!」は1曲目とうってかわって夏らしい清涼感のある楽曲だが、5人が5人ともが全力で飛び跳ね全力で躍動する熱量は変わらず。予備知識がなくてもダンスの華で魅せられるステージは、流石はこの道の10年選手という感じだった。

カプコンのニンテンドー3DS用ゲームソフト『めがみめぐり』からは伊藤彩沙と尾崎由香が登場。会場を電車型のトロッコで一周しながら、伊藤が「めがみめぐり」、尾崎が「I'm サンシャインガール」を披露。2人はサイリウムを楽しそうに大きく振りながら、客席の間近で観客と笑顔をかわしあうようなパフォーマンスを見せていた。

暗転した舞台でバンドセットのセッティングが進むと、会場の期待感が爆発寸前の空気をびりびりと感じる。ステージに登場したのはもちろん『バンドリ!』で声優自身が生演奏するもうひとつのバンド・Roseliaだ。デビューシングルがオリコン週間シングルランキング7位となったニュースも記憶に新しいRoseliaだが、ライブ初出演となった「BanG Dream! 3rd☆LIVE Sparklin'PARTY 2017!」はサプライズ出演だったため、万全の観客に待ち受けられてのライブはこれが初めて。6月に控えるソロライブに向けて、今の仕上がり具合が問われる試金石のステージだ。

1曲目は「BLACK SHOUT」。ステージ経験豊かなメンバーが多いRoseliaが、ゴシックイメージの豪奢な衣装でキメるとそれだけで圧倒的な華がある。Roseliaで練習を始めた時には鍵盤にさわるのはかなり久しぶりだったという明坂だが、今回のステージではさらに精度が増して感じられたことに練習量と熱意を感じる。また、所作のひとつひとつが初ライブよりもしとやかで美しく、役柄にさらに深く入りこんでいることが伝わってきた。

「BLACK SHOUT」にはメンバー全員のソロパートがあるが、限られたフレーズの中に遠藤ゆりか、櫻川めぐ、工藤晴香といったメンバーが磨き上げてきたボーカルの力が込められているのは贅沢すぎる。フロントチームで遠藤の"華"が果たす役割は大きく、ステージ中央から下手の端まで走り回りながらの奔放な演奏を見せた。工藤のギターは派手さよりは堅実さを感じるが、細心の注意と全身全霊をギターに注ぎ込む感じは彼女が演じる氷川紗夜を彷彿とさせるものがある。櫻川めぐのドラムも成長が顕著で、感情ごと叩きつけるようなスタイルはそのままに、自己紹介時のドラムソロの演奏の密度が明らかに上がっていた。

そしてボーカル・相羽の魂を込めたパフォーマンスは魅入られるほどの圧巻だっただけに、MCでの彼女が少し緊張した色を見せ、遠藤にフォローされている姿にはなんだか少しだけ安心してしまった。続くカバー曲「魂のルフラン」では、音数を減らしたイントロが響く中、横浜アリーナを相羽の歌の存在感が満たしていく。歌い出しでは重く深いボーカルを聴かせた相羽だったが、その後のサビ以外に関しては若干軽やかといってもいいぐらい。ここぞのサビに向けての溜めを作っている感じで、個人的には『ガルパ』の物語の中で、少しだけ硬さがとれた友希那の姿を連想した。

MCでは、Roseliaの2ndシングル「Re:birthday」が6月28日に発売されることが発表された。6月30日の単独ライブ直前のシングルリリースは彼女たち自身の力でつかみとったものだと言えるだろう。ラストナンバーはもちろん「Re:birthday」。その歌唱には『ガルパ』を通してメンバーと観客がRoseliaの物語を共有した想いと力が通っていて、相羽と友希那の成長を感じさせるものだった。

第1部の大トリはRaychell。新日本プロレスのレスラー、オカダ・カズチカの煽りVTRを受けて歌うのはもちろん『カードファイト!! ヴァンガードG NEXT』EDテーマ「Are you ready to Fight!」だ。Raychellは「行くぜ横アリ!」と高らかに宣言すると、強烈な存在感の歌声をアリーナに響かせた。驚いたのはサポートギターとしてPoppin'Partyのメンバー・大塚紗英が参加したこと。花園たえというキャラクターから一步離れ、一人のギタリストとしての姿を見せた。Raychellの大人のギターとセッションする大塚の姿には、ポピパの時とはまた違うダイナミックさと鮮烈さがあった。

「ブシロードライブ2017」については後日、第2部「ライブ ミルキィホームズ横濱行進曲」レポートも掲載予定なので、あわせてチェックしてほしい。

第1部「ブシロード10周年ライブ」セットリスト

【Poppin' Party (『BanG Dream!』)】
M-01 : ときめきエクスペリエンス!
M-02 : ティアドロップス
M-03 : STARBEAT! ~ホシノコドウ~
M-04 : キラキラだとか夢だとか ~Sing Girls~
【どうぶつビスケッツ×PPP (『けものフレンズ』)】
M-05 : ようこそジャパリパークへ!
【三森すずこ】
M-06 : ミライスタート
M-07 : サキワフハナ
【STARMARIE】
M-08 : 姫は乱気流☆御一行様
M-09 : ナツニナレ!
【めがみめぐり】
M-10 : めがみめぐり
M-11 : I'm サンシャインガール
【Roselia (『BanG Dream!』)】
M-12 : BLACK SHOUT
M-13 : 魂のルフラン
M-14 : Re:birth day
【Raychell】
M-15 : Are you ready to Fight!

※初出時、櫻川めぐさんの表記の間違いと、明坂聡美さんのピアノ経験について不正確な記述がございました。お詫びの上、訂正いたします。(5/4)

人気記事

一覧

イチオシ記事

新着記事