レコード会社・エイベックスと声優事務所・81プロデュースが合同で開催した「アニソン・ヴォーカルオーディション」。2012年7月、その合格者6名によって結成された声優とアイドルのハイブリッドユニットのi☆Risは、2016年に日本武道館で単独公演を果たすなど大躍進を遂げている。だが、i☆Risの一員として活動するかたわら、デビュー当時から「ソロデビュー」というギラギラした野望に燃えているメンバーがいた。それが芹澤 優だ。

芹澤 優(せりざわゆう)。1994年12月3日生まれ。東京都出身。エイベックス・ピクチャーズ、81プロデュース所属。主な出演は『プリパラ』南みれぃ役、『双星の陰陽師』音海繭良役、『実は私は』白神葉子役、『犬とハサミは使いよう』秋月マキシ役など
撮影:西田航(WATAROCK)

i☆Ris結成当初から「なぜ優のソロデビューじゃないの」と首を傾げていた芹澤。そこから約5年の歳月が経ち、2017年4月26日に念願だった夢が実った。ミニアルバム『YOU&YOU』でのソロデビューが決定したからだ。今回は、ソロデビューを果たした芹澤 優にインタビューを実施。当時の心境からミニアルバムの楽曲に至るまで、余すところなく話を聞いた。

「ソロデビューしたい」と言うのは、i☆Risにとってもマイナス

――とうとう4月26日に念願のデビューミニアルバム『YOU&YOU』が発売されましたね。

『YOU&YOU』が出来上がったときは、「みんな芹澤のかわいさにメロメロになっちゃえ!」ってくらい余裕だったんですけど、直前になってドキドキしてきました。当然なんですけど『YOU&YOU』には私の名前しか載らないんですよね。このミニアルバムの命運は私が背負っているという、責任みたいなものがあります(笑)。みんなミニアルバムを手にしてどう思うんだろうと。

――手にするファンに対して、いちばん何を届けたいですか?

今回『YOU&YOU』を制作するときに考えたのは、とにかく「ファンのみんなを喜ばせたい」ということです。それが私の「楽しい」とか「幸せ」につながると思いました。ファンの方が持っている期待を上回りたかったんです。

――ファンの方もすごく楽しみにしていると思いますよ。

でしょうね~!(笑)。

――芹澤さんって、いまはi☆Risとして活動していますけど、昔からソロデビューしたい願望があったじゃないですか。

ものすごい強かったです! そもそも私は団体行動がきらいだったんですよ(笑)。学校とかでもひとりでしたし。憧れている声優の田村ゆかりさんや平野綾さんもソロで活動しているので、i☆Risが異例だったんですよ。6人も集まって何をやるんだろうって、むしろそっちが謎だったんです。

――その気持ちはi☆Risとしてデビューした後もずっと持ち続けていたんですよね。

はい! ずっと「ソロデビューしたい」と思っていたし、周りにも言っていたんですけど、いつからか言うのをやめてしまいました。私は有言実行がモットーなので、言うからにはやりたいし、もし無理だったら格好悪いじゃないですか。でも、心のなかにはずっとあったんです。

――「デビューしたい」という想いを外に出さなくなったのって時期的にはいつごろですか?

そうだなぁ~。『プリティーリズム・レインボーライブ』が終わって、『プリパラ』が始まるちょっと前くらいですかね。

――2014年4月から7月くらいですね。

そのちょっと前に出演したラジオ番組で「2014年の目標を教えてください」と聞かれて、堂々と「ソロデビューがしたいです!」と言ったことがあるんですよ。そうしたら、周りが「マジ……?」みたいになって"空気がシケた"んです。ソロデビューしたいという私の夢に対して、「まだまだの子が何を言っているんだ」みたいになってしまって、ものすごく悔しかった。そこからファンの前や取材時には言わなくなりましたね。スタッフとか、マネージャーにはガンガン言っていましたけど(笑)。

――その時期って、『レインボーライブ』では福原あん、『プリパラ』では南みれぃとメインキャラクターを担当して、3rdシングルの「§Rainbow」では曲のコールで名前も呼ばれて、このころは芹澤さんがグイグイ来ているイメージがありました。でも、そんな気持ちは本人には。

なかったです!『レインボーライブ』は2013年4月からスタートして、夏には『犬とハサミは使いよう』のレギュラーも決まったんですけど、秋冬にはまたレギュラーが『レインボーライブ』だけになってしまったんです。2013年3月に新宿BLAZEで行われたi☆Risの2ndライブも埋まらなくて、グループとしてもかなりやばい状況だったんです。そんな中で私がひとりで「ソロデビューしたい」と言っている場合じゃないなって思っていました。i☆Risがグループとして波に乗れていない状況で、そんなことを言ってどうするんだ、と思ったんです。私が「ソロデビューしたい」と言うのは、i☆Risにとってもマイナスだなって。

――いまやi☆Risは日本武道館で単独公演(2016年11月開催)ができるまでに成長しましたけど、もういまや"胸を張って"ですね。

そうですね~!

「こりゃソロデビューもするな」と思っていました

――そんな悲願でもあったソロデビューのお話はいつ浮かび上がってきたんですか?

「ソロデビューは無理でも、ソロライブはやりたい!」という話は散々していたんですよ。そうしたら、2016年の頭ごろに「12月にバースデーソロライブをやるよ」と話を受けました。

――2016年12月18日に開催された「Yu Serizawa Birthday Live ~Present Box~」ですね。

バースデーソロライブの話が進んでいくうちに「せっかくだから新曲も作ろう」という話になったんです。だいぶ前からSCREEN modeの太田雅友さんにソロデビューの夢を語っていたこともあって、それなら新曲も太田さんに作ってもらおうみたいな話に進んでいきました。実際にソロデビューについて聞かされたのは2016年の夏から秋ころなんですけど、太田さんと新曲の話が進行しているあたりから「こりゃソロデビューもするな」と思っていましたね(笑)。

――もう予感があったわけですね。ソロデビューについて聞かされるのって、もう大サプライズというか、ものすごいプレゼントのような話じゃないですか。それを聞かされたのが夏から秋ころということは、正確な日にちはあまり覚えていない?

そうなんですよ! i☆Risのスタッフって大事なことを適当なタイミングで言うので、よく覚えていないんです!(笑)。

――i☆Risが日本武道館公演を発表したときも同じようなことを言っていましたね(笑)。

そう! 気が付いたら12月のバースデーソロライブでソロデビューを発表するということになっていました。

――ははは。デビューに対して「やった!」みたいな気持ちは当然ありましたよね。

もちろん! でも、私がソロデビューという夢を忘れてi☆Risのためにがんばってきたご褒美がバースデーソロライブだと思っていたので、そこからさらにソロデビューまでしていいの!? とは思いました。うれしかったんですけど、いましていいの!? って。

――大きな夢がふたつも一気に叶ったんですね。バースデーソロライブの時期も大きな山だったと思います。11月のi☆Ris日本武道館公演と、12月の『プリパラ』クリスマスライブという大きなイベントに挟まれている。芹澤さんは2013年11月にi☆Ris初のワンマンライブと『犬とハサミは使いよう』の秋月マキシのワンマンライブが重なった時期が相当しんどかったと言っていましたけど。

いやー、バースデーソロライブの時期は、そのときを超えましたね。しかもバースデーソロライブって各出演作品のキャラソンがメインなので、ほとんどの曲が初披露なんですよ。『レインボーライブ』の「Sweet time Cooking magic~胸ペコなんです私って~」はフルでははじめてだったし、ほかの曲もアニメイベントで一回だけ歌ったことがあるくらいで、そのときは振り付けもなしだったけど、今回は全部の曲に振りがある。しかもピアノを弾き語りするというチャレンジもあるし、ライブの準備もi☆Risの日本武道館公演が終わってからという状況で、すっごいテンパっていました。

――i☆Risワンマンライブとマキシワンマンライブの時期は帰りのタクシーの中で泣いてしまうくらいのつらさでしたけど、今回はそういう精神的な部分は乗り越えられました?

前より迷いがなくて、一心不乱でしたね。ソロデビューを発表することも決まっていたので、バースデーソロライブを中途半端なものにしてしまったら、「芹澤がソロライブなんて無理じゃないか」と言われていまうと思ったからです。まず、バースデーソロライブをきちんと仕上げないと、ファンもスタッフも、i☆Risのメンバーも納得させられないし、ソロの芹澤を応援してもらえるわけがないんです。なのでこの時期は、一日に4つくらい仕事をこなして夜にエイベックスのレッスン場で練習してピアノを弾いて深夜に帰るみたいなスケジュールでした。やるしかない! という感じで。常に目がさえていました。

――進むべき道が決まっているから、あとは突っ走るだけ。

その分、終わったあとはヨレヨレでしたね(笑)。