ウルトラマンシリーズの最新作『ウルトラマンジード』が、テレビ東京系6局ネットで2017年7月8日あさ9時より放送開始することが明らかになった。2013年の『ウルトラマンギンガ』、2014年の『ウルトラマンギンガS』、2015年の『ウルトラマンX』、2016年の『ウルトラマンオーブ』と、コンスタントに新作を生み出して子どもたちから好評を得ている「ウルトラマン」の世界に現れた、さらなる新ヒーロー「ウルトラマンジード」とは?

発表された情報によれば、地球人の青年・朝倉リクが変身アイテム「ジードライザー」と「ウルトラカプセル」によって、フュージョンライズ(変身)したのがウルトラマンジードとのこと。ウルトラカプセルには、ウルトラマンやウルトラマンベリアルなど、これまでに登場した歴代ウルトラヒーローの姿が確認できるが、おそらくは『ウルトラマンオーブ』と同じく、歴代ヒーローの力を取りこんでさまざまに姿を変え、悪い怪獣や宇宙人と戦っていくスタイルになると思われる。

朝倉リクを演じる濱田龍臣は、7年前に『ウルトラマンゼロTHE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』(2010年)でウルトラマンゼロの仲間となるジャンボットを操縦する少年ナオ役で出演したほか、東映の『海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン』(2012年)でゴーカイレッド=キャプテン・マーベラスの少年時代を演じた経験もある。当時はまだあどけなさの残る少年だったが、いまや年月を経てたくましい若者に成長。幼稚園時代からの夢だった「ウルトラマンになる」という願いを叶えることができたと喜ぶ、根っからのウルトラマンファンの濱田が、どのようなヒーロー像を表現するのかに期待したい。

本作の監督を務めるのは、『破裏拳ポリマー』(2017年5月3日公開)や『獣電戦隊キョウリュウジャーブレイブ』(現在ネット配信中)、『スペーススクワッド』(今夏劇場公開&ソフト発売予定)など、今や日本のキャラクターアクション作品になくてはならない存在の坂本浩一氏。

スタントマンとしてアメリカに渡り、『POWER RANGERS』シリーズでアクション監督、監督、プロデューサーとして活躍していた坂本氏は、2009年『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説THE MOVIE』で日本の特撮作品の監督を初めて務めた。坂本監督といえば、空間を自由自在にかけめぐるワイヤーワークや、本格カンフー映画を思わせるスピーディかつダイナミックな肉弾戦、そして女性の"美"を追求するフェティシズムに満ちたアングルを多用してのヒロインバトルなど、ヒーローやヒロインたちがもっとも魅力的に見えるシチュエーション作りに徹底的にこだわった"アクションの巨匠"として、多くの熱烈なファンを持っているが、その原点は『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説THE MOVIE』にあった。

この映画ではかつてないほどのデジタル撮影技術を駆使して、M78星雲光の国でのウルトラヒーローたちの凄絶なまでのバトルファイトや、100体の怪獣・宇宙人が合体して生まれた超巨大な怪獣ベリュドラの猛威などが描かれ、それまでのウルトラマンシリーズの流れを大きく変えた作品となっている。この映画に初めて登場したキャラクターこそが、"ウルトラセブンの息子"ことウルトラマンゼロ、そしてウルトラマン史上初となる"邪悪な意志を持つウルトラマン"ウルトラマンベリアルだった。

坂本監督にとって『ウルトラマンX』(5話分担当)以来約2年ぶり、さらにメイン監督としては『ウルトラマンギンガS』以来3年ぶりとなるウルトラマンシリーズだけに、キャラクター作りや物語展開にどのようなアイデアを盛り込んでいるのか、ファンなら誰しも期待が高まるというものだ。

一方で、『ウルトラマンジード』の設定でひときわ興味をひくのは、彼がウルトラマンベリアルの息子であるという部分だろう。子は親に似るものだが、確かにジードの目つきはベリアルにどことなくイメージが被っている。前作『ウルトラマンオーブ』では、2人の歴代ウルトラマンの力を組み合わせてフュージョンアップを果たすオーブのタイプチェンジのひとつに、ゾフィーとウルトラマンベリアルの力を借りた「サンダーブレスター」というものがあったが、オーブ本人が制御しきれないほど取り扱いが危険なそのたたずまいは飛びぬけた「強さ」を感じさせ、子どもたちから人気を集めていた。今回のジードにも、正攻法のヒーロー像というよりも、ベリアルゆずりのダーティなエッセンスが加わっており、スリリングな魅力を醸し出してくれるのではなかろうか。

新番組『ウルトラマンジード』は、現在放送中の『ウルトラマンゼロTHE CHRONICLE』の後番組として放送される。『~CHRONICLE』とは、これまでウルトラマンゼロが活躍してきた数々の劇場用映画、ビデオオリジナル作品を再編集し、ウルトラマンゼロとウルトラマンベリアルとの因縁やかけがえのない仲間(ウルティメイトフォースゼロ)との友情などを連続形式で見せていくシリーズで、『ジード』はこれに続く物語になるという。第1話放送に先がけ、7月1日には『ウルトラマンジード 直前スペシャル』が放送されるので、ここで新作に向けての予習を万全としておきたいものだ。

秋田英夫
主に特撮ヒーロー作品や怪獣映画を扱う雑誌などで執筆。これまで『宇宙刑事大全』『宇宙刑事年代記』『メタルヒーロー最強戦士列伝』『ウルトラマン画報』『大人のウルトラマンシリーズ大図鑑』『ゴジラの常識』『仮面ライダー昭和最強伝説』『日本特撮技術大全』『東映スーパー戦隊大全』『ゴーグルV・ダイナマン・バイオマン大全』『鈴村健一・神谷浩史の仮面ラジレンジャー大百科』をはじめとする書籍・ムック・雑誌などに、関係者インタビューおよび作品研究記事を多数掲載

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