不朽のディズニー・アニメーションをディズニー自身が完全実写化した『美女と野獣』(公開中)が、世界興収10億ドルを突破(4月13日時点)するという異例のヒットを記録中だ。ベルと野獣のロマンティックな愛の世界とその忠実なる再現、「ハリー・ポッター」シリーズでハーマイオニーを演じたエマ・ワトソンのベル像など、あらゆる要素がファンを中心に支持されているが、何と言ってもディズニー音楽の名匠アラン・メンケンが手掛ける楽曲の数々を抜きに『美女と野獣』は語れない! 彼の手がける音楽は、どうして人々のハートを射抜くのか、来日したアラン・メンケン氏に名曲が生まれるまでの秘話などをインタビュー。

――まずエマ・ワトソンが実写版のベル役にぴったりでしたね! キャスティングについてのご感想は?

アラン・メンケン

最高だったよ! 心からそう思うよね。それは最初から感じていたことで、エマがベル役に決まったということを聞いた時から、これ以上のキャスティングはないと思ったよ。映画を観ても、最高だと思った。もちろん、そこにいたるまでにはやるべきことがたくさんあって、さまざまなことを学ばなくてはいけなかっただろうし、歌い手としての自信もつける必要があったように思う。そこで、監督のビル・コンドンが大活躍した。エマとコラボレーションしたことで、いいパフォーマンスが生まれたんだ。

――アニメーション版は1991年で、エマやアリアナ・グランデが生まれた頃だったと思いますが、この歌い継がれていく名曲という事実について、ご自身ではどのように感じていますか?

それはもう、うれしいの一言に尽きるよね。若い人たちの間で評判になって、それがきっかけで舞台版が生まれたりね。作品に強い想いを寄せてくれる新しい世代たちのおかげで、自分の曲の数々が支持されていることは、本当に幸せに感じるよ。

――アラン・メンケンさんの曲は、全世代の人々にすっと入っていく名曲ばかりです。作曲をする際に、どういう想いで向かい合っているのでしょうか?

僕はいつもストーリーに対してキャラクターは"純粋な通り道"であろうと、可能な限り努力している。それと同時にキャラクターに対して、音楽的なボキャブラリーを見つけようともする。どれほど小さくてもいいけれど、楽曲にはユニークな味も持たせたいと思っている。ただ、それ以外については、そういう曲が生まれる理由についてはわからないかな(笑)。才能に恵まれているかもしれないけれど僕は毎回、自分の頭に質問をぶつけていて、曲を書く際はこっちの脳(心臓を指さして)で書くんだ。そうすると、いい曲が生まれてくるんだ。

――今回の実写版は、全世界で記録的な興行収入を記録している最中ですが、その勝因について、どのようにお考えですか?

愛され続けているミュージカルだと思うし、アニメーションのファンのノスタルジーもあると思う。どういう実写版になっているか、興味を持ってくれたからだとも思う。ただ、それだけでは、ここまでの大ヒットにはならないよね。僕たちの仕事というものは、美しく良質なものをきちんと作り上げることだったからね。何がヒットするかなど、フタを開けるまで誰にもわからないことで、その方程式がわかれば最高だろうけれどね(笑)。今回、公開後に多くの人たちの熱意が、ムーブメントになっていったわけだよ。

――今回の実写版では「ひとりぼっちの晩餐会」のシーンなど、素晴らしい場面がたくさんありました。ご自身のお気に入りのシーンは、どこになりますか?

僕がすごく気に入っているシーンは、ラストシーンだね。すべてのものが、元通りになっていくシーンは観ていて本当にすごいと思ったし、監督やスタッフ、キャストの力がひとつになって、素晴らしいシーンに仕上がっていると思うよ。

――さて、『美女と野獣』の根強い人気は、まだまだ続きます。2020年には東京ディズニーリゾートに『美女と野獣』エリアが誕生しますが、そのことへの期待感はいかがですか?

フロリダのウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートで作ったみたいに、ちょっとババリア地方的なエッセンスを感じさせる村の構築は、すごく上手だったので、東京にも同じようなものを期待したい。白雪姫であれシンデレラであれ、すごくおとぎ話的なルックスを、うまくわたしたちに体験させてくれた。そういうものを観て育っている僕たちの中には、白雪姫やシンデレラがすでに暮らしているわけだ。そこにまた、僕たちが訪れることができるようになることが魅力だと思うので、東京ディズニーランドの『美女と野獣』エリアについても皆がホームと呼べるような、かつて作品を経験した想いに立ち戻れるような、そういうグッドフィーリングを与えてくれるようなエリアを期待したいよね。

――"100年歌い継がれるエンターテインメント"ということで、特に若い世代には、どのようにアピールしたいですか?

本当に素晴らしい映画になっていると思う。僕自身、観ている間に何度も涙したし、すごくエモーショナルな心に訴えかけてくる旅を経験できると思う。観ていて美しく、古典的なミュージカルでもある。極上のラブストーリーでもあるので、ぜひ観てほしい。アニメーション版の『美女と野獣』、舞台版の『美女と野獣』、ディズニーのファンの方であれば、クラシックの名作と呼ばれている作品の実写化なので、ぜひ観てほしい。

■プロフィール
アラン・メンケン
1949年生まれ、アメリカ合衆国、ニューヨーク州出身。幼少期よりクラシック音楽を学び、大学卒業後に舞台音楽の作曲家を志す。1982年、ミュージカル「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」の音楽で脚光を浴び、ディズニーと契約後の1989年、長編アニメーション『リトル・マーメイド』の楽曲が、アカデミー賞の作曲賞、歌曲賞を受賞。以後、1991年の『美女と野獣』、翌1992年の『アラジン』、『ポカホンタス』、1996年の『ノートルダムの鐘』など数々の名曲を生み出し、アカデミー賞に8度ノミネート、作曲賞・歌曲賞をそれぞれ4度受賞するなど、稀代の作曲家として不動の地位を獲得する。今回の実写版では、「ひそかな夢」など、3曲の新曲を影響。オリジナルの世界観を補完する新作として評価を得ている。

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