Microsoft、Googleなどの企業がAIを活用した翻訳ソフトの開発に注力するなか、ソースネクストでもユニークな製品のリリースを予定している。

年内の発売を目標に開発している「ロゼッタストーン ポケット」は、スマホのような大きさのAI自動翻訳機。音声を入力すると翻訳して音声合成で発話するというから、同時通訳に使えるのかも知れない。製品の詳細は明らかにされていないが、おそらくデータ通信のできるSIMカードを挿入し、クラウドを通じて翻訳処理などを行うのだろう。80国語に対応するとあり、訪日外国人とのコミュニケーションに役立ちそうだ。

年内の発売を見込む「ロゼッタストーン ポケット」。スマホのような大きさのAIによる自動翻訳機だという

ここで松田氏は、一般論として次の2つの"来るべき世界"を紹介した。ひとつは外国語需要の高まりによって訪れる「外国語の習得者が増える未来」、ひとつは翻訳技術の高まりによって訪れる「言語学習が不要な未来」。相反する世界観だが、どちらが訪れるのだろうか。同氏によれば、企業の立場によってどちらが訪れるか主張が分かれるという。

外国語需要の高まりによって訪れる「外国語の習得者が増える未来」、ひとつは翻訳技術の高まりによって訪れる「言語学習が不要な未来」。どちらの未来が訪れる?

しかし、ソースネクストの答えは「両方が訪れる」だった。松田氏は「翻訳ソフトが出るから外国語を勉強しなくて良くなる、というのではなくて、むしろ翻訳ソフトが語学勉強のハードルを下げる。だから語学の学習者は増える。そして結果的に、日本人の語学力も上がっていくのではないか」といった見方を示した。

ソースネクストでは、外国語の習得者が増える未来、言語学習が不要な未来の双方に貢献するブランドを目指している

英語の音声メッセージが日本語のテキストに

このほか、ソースネクストの留守番電話サービス「スマート留守電」でも多言語対応を進めている。5月には音声認識エンジンを刷新、今夏には翻訳機能が実装される予定。これにより、例えばビジネスシーンなら、取引先の外国人社員が留守番電話に残した英語の音声メッセージを、日本語のテキストで確認できるようになる。外資系の企業などを中心に重宝されそうだ。なお直近の話として、5月中旬には留守電のメッセージをLINEに転送する機能が実装されると説明があった。

スマート留守電がLINEに対応。留守電のメッセージをLINEのテキストで受け取れるようになる

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最後は余談。いまでこそシリコンバレーに住んでいるという松田氏だが、20歳まで英語は全く喋れなかったという。つまり松田氏自身、大人になってから苦労して語学を習得したと想像できる。であれば、同氏がため込んだ語学学習のノウハウが、今後ソースネクストの新製品に反映されることもありそうだ。語学を学ぶ人の気持ちを汲んだ、これまでにない製品を発売してほしい。開発中のAI機械翻訳機がそうなるのかもしれないが、最近学習が伸び悩んでいる筆者としては、そのあたり大いに期待してしまうのだった。