あのデーモン閣下が最近、いわゆるガラケーからスマホに機種変更したという。それもハイレゾ再生を売りにするオンキヨー「GRANBEAT」。アーティストという本業や啓蒙活動に、話題の高音質スマホはどのように関わるのか? その背景を探るべく、閣下に直撃インタビューを試みた。

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――最近、ガラケーからGRANBEATに機種変更されたばかりとお聞きしています。使ってみていかがですか?

デーモン閣下 いい音のスマートフォンということでGRANBEATを選んでみたのだ。実際、非常に満足度の高い音楽再生ができている。電話もEメールの送受信もできるし、1台でなんでもできるということで便利に使っているぞ。

実は、吾輩は何年もタブレット型携帯端末も従来型携帯電話と併用して使ってきたのだ。だからアプリケーションを使ってどうこう、ということには慣れているのだ。強いて言うと、アイコンが小さいからなんとか大きくできないものか、とは思うが。

――通話以外でどのような機能を利用していますか? 使ってみたいアプリはありますか?

デーモン閣下 音楽再生を除けば、ほとんどがEメールの送受信とWeb検索だな。使ってみたいアプリケーションか? 知り合いのミュージシャンがスマートフォンで音楽を編集したりアレンジしたりするのを横目で見ているが、あれはいい。音楽編集はぜひやってみたいぞ。

そういえば、「スポナビライブ」というスポーツ番組を中継するアプリケーションがあるだろう? 大相撲三月場所で、稀勢の里の優勝が目前という非常に大事な日の夕刻にショウの本番が入っていて、テレビの前にいることができなかったのだ。慌てて侍従のスマートフォンにスポナビライブをダウンロードさせ、それでどうにか見ることができたのだ。

時間を溯って再生する機能、あれはタイムシフト再生というのか? 幕の内の優勝争いに関わる結果が知りたいのだが、その再生では序の口から映像が提供されていて、全部見ている時間はなかったので、6時間分くらいスクロールしてやっと終りの方を見ることができたのだ。チャプターを作ってくれるとありがたいのだがな (笑)。いずれにせよ来場所までには吾輩のGRANBEATにも導入せねばな。

オンキヨー「GRANBEAT」とパイオニア「SE-CH5BL」。これが閣下の愛用セットだ

――レコーディングや収録のあと、あるいは移動中にGRANBEATをどのように活用していますか?

デーモン閣下 目下のところ、吾輩はコンサートツアー「DEMON'S ROCK "EXISTENCE" TOUR, DC19」の準備中でな。毎回の練習はすべて録音し、翌日までに修正ポイントをまとめるといった作業を繰り返す……。一日練習して夜の8時9時にリハーサルが終わったところで、翌日の昼までにすべてを聴き直すのだ。ここはまとまりがよくない、ここはこういうアレンジにしよう、などと毎日調整を続けているわけだ。

コンサートは音楽だけをただ順番に演奏するものではないのだ、吾輩の場合はな。この曲とあの曲の間にSEを入れよう、こんなBGMで語りを入れてみようとか。他のメンバーに「こんなBGMはどう?」とか、音楽をEメールに添付してやり取りすることは日常茶飯事だし。今後はSDカードを使った音楽の受け渡しも考えたいところだな。

ミュージシャンは、レコーディングスタジオで少しづつ曲作りを進めていくものだが、目の前で音が重なった状態を聞き、楽器や声の左右のバランスをもう少し変えてみよう、楽器の聴こえ方のバランスを調整するためにイコライジングしてみよう、エフェクターをかけてみよう、などと本当に細かく調整するのだ。そして最終的な音はスタジオで決めるのだが、その音が世の中で一番いい「その曲の音」なわけだ、当たり前の話だが。農家で採ったばかりの野菜が一番美味しいのと一緒で、製品化されてユーザーが手にするのは吾輩がスタジオで聴いた音より微々たるものだが音質は低下しているのだ。

だが今回、GRANBEATでハイレゾリューション音源を聴き比べたとき、スタジオで聴いた音にものすごく近いな、と感じた。先ほどの野菜のたとえになるが、最終的にこうしようと決めたときの楽曲の音はヘッドホンで判断するものではないのだ。ほとんどは高品質なスピーカーからの音で、基本的にどの曲も同じ環境で決めるわけだが、GRANBEATで聴く音は、そのスタジオの現場の音に相当近い。

GRANBEATは、通常の3.5mmヘッドホン端子だけでなく、2.5mmバランス接続端子を持つ。バランス接続に対応したSE-CH5BL (右) のような、イヤホンやヘッドホンを組み合わせると、ハイレゾ本来の表現力をより引き出してくれる

(撮影 : 高嶋一成)