フジテレビの新月9ドラマとして、17日よりスタートした、嵐・相葉雅紀主演のドラマ『貴族探偵』(毎週月曜21:00~)。武井咲、生瀬勝久、井川遥、滝藤賢一、中山美穂、松重豊、仲間由紀恵……と豪華なレギュラーメンバーと、”推理しない”探偵という斬新な設定で話題を呼んでいる。

原作者の麻耶雄嵩は、1991年に『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』でデビュー。ロジックを重ねながらも時に推理小説の枠組み自体を壊そうとする作風が特徴で、『貴族探偵』にも「そもそも探偵とは?」という命題が託されているという。麻耶は発売中の『小説すばる』5月号(集英社)で、現れただけで必ず事件が解決する貴族探偵は「水戸黄門」を意識したと明かす。

第1話が放送されると、視聴者からは「相葉くんが推理しないの!?」と驚かれたとともに、原作ファンからは「原作のコンセプトを踏まえていて最高」「世界観を理解してもらえている」「コメディタッチも良い」と絶賛の声が上がった。実写化にはファンの複雑な心情がつきものだが、なぜ幸せな関係を築けたのか。第1話放送の数日後、同局の羽鳥健一プロデューサーに話を聞いた。

■羽鳥健一
フジテレビジョン 制作局 プロデューサー。これまでに手がけた番組は『信長協奏曲』『ようこそ、わが家へ』『カインとアベル』など。

原作ファンの盛り上がり

――ついに第1話が放送されましたが、いかがでしたか?

世代別の視聴率を見るとまず、キッズ、ティーンが見ていてくれてホッとしました。嬉しかったのは、F3層(50歳以上の女性)が見てくれていたことです。F3層って、なかなか月9で視聴率が取れなくて苦労するところなんですけど、キッズからF3層まで3世代に渡って楽しんでいただけたのかなと思いました。あとは、このドラマって男性にも必ず刺さると思っているので、まだ響いていない男性にも見てもらえたらもっと盛り上がっていくと信じています。

――原作ファンの盛り上がりもかなりすごく、なかなか見ないくらい好意的な意見が多かったですよね。

原作を映像化するのにすごく悩んだし、すごく難しかったのですが、結果としてはとても楽しい作業になっています。原作の貴族探偵のキャラはそもそも立っているのですが、僕たちは映像化するにあたって、新しいキャラクターを作ったりして、貴族探偵の周りのキャラクターも際立たせたんですよね。

それを原作ファンの人たちが楽しんでくれたのが嬉しくて。原作ファンの方からすると「映像化できないだろう」と思っていた作品を振り切って映像化してみたのですが、「そういうことだよね」と言うご意見を多くいただいて、本当に嬉しかったです。

先生との約束事は、1つだけなんですよ。「それぞれの作品が持っているミステリの根幹は、ドラマの中でもきちんと描いて欲しい」と。「それ以外は好きにやってください」と言われました

――それは謎解きということですか?

そうですね。「謎解きの部分は忠実に演出してほしい。その方法に関してはお任せします」と。若干改変してる部分もあるんですけど、基本的な幹の部分は原作をベースにして忠実に描いています。