「働き方改革」というかけ声をよく耳にするようになった。日本は高度経済成長時代より、“モーレツ社員”という言葉に象徴されるように、長時間残業をいとわない就業スタイルが浸透していた。だが現在、このスタイルによる歪みが噴出している。

プレミアムフライデーのシンボルマーク

こうした歪みを少しでも解消しようと、政府は対策に乗り出している。そのシンボルともいえるのが「プレミアムフライデー」だろう。これは、毎月最終週の金曜日には15時で仕事を切り上げ、飲食やショッピング、あるいは土日の旅行の準備に充ててもらおうという施策だ。

残念ながら、「月末の金曜日に業務を減らせるわけがない」「飲食や旅行にまわせるお金がない」といったビジネスパーソンの声をよく耳にする。プレミアムフライデーは今年2月から始まった施策だが、早くも“空振り”の様相をみせている。

確かに就業時間を短縮することは、ビジネスパーソンの負担を軽減するひとつのアプローチだろう。だが、本当に必要とされているのは“身体と心”のケアだ。そうしたビジネスパーソンの悩みを、チャットでより手軽に解決できるサービスを行っているのが「iCARE」だ。

健康がビジネスパーソンの能力に必要

iCARE 代表取締役 CEO 山田洋太氏は、「働く人にフォーカスして、その方々の健康を高めることで、結果的に日本の生産性を高めていきたい」と話す。身体や心の悩みを抱えた状態では、各ビジネスパーソンが持ちうる能力を発揮できず、生産性になんらかの影響が出るということだ。

山田氏は、こうした状況を防ぐために2つのアプローチでビジネスパーソンをケアしなくてはならないと指摘する。

ひとつは「カンパニー・ケア」。これは文字どおり、企業が従業員に対して行わなくてはならないケアを指す。健康診断やストレスチェックはもちろんのこと、残業時間の管理、産業医との“パイプ”といった役割だ。

そして、こういった下地があることを前提に、「セルフ・ケア」が大切になるという。これは“自分で自分の健康を管理する領域”だが、各個人が実践するのは、かなり難しいと山田氏は指摘する。「お酒も飲みたければ、タバコも吸いたい。夜にはラーメンを食べよう」といった欲求は、なかなか個人では抑制できない。

アメリカでは、「このままの食生活では『○○ガン』になりますよ」と指導されても、食生活・健康行動を改めない人がほとんど、という研究結果が出ているのだそうだ。