2017年4月18日からの2日間、カリフォルニア州サンノゼで開催されたフェイスブックの開発者会議F8。拡張現実、仮想現実といった目新しく派手な表現のプラットホームを披露する一方で、基調講演でより大きな注目を集めていたのがMessengerだ。

12億人が日々利用するFacebook Messengerは、Facebookユーザー同士で文字・写真・音声とビデオ通話を実現することができる独立したアプリだ。このメッセージアプリへの注力は、フェイスブックにとって、どのような意味を示すのだろうか。

AIの活用も進むプラットフォーム2.0でMessengerはどう変わるか。どんな役割を帯びるか

Snapchat対策

フェイスブックが現在、最も注視している存在はSnapchatだ。若者層に拡がりを見せるSnapchatに対して、フェイスブックはInstagramを通じて露骨な対応策を講じている。

その理由は、Snapchatが誇る1日に占めるアプリ占有時間の長さだ。Snapchatユーザーは、1日に25分をSnapchatアプリ内で過ごし、6割のユーザーがコンテンツを投稿している。他方、Instagramはより閲覧が重視されるアプリで、占有時間もInstagramの半分となる15分に留まる。

Facebookアプリの占有時間は35分で、YouTubeの40分に次ぐ台2のソーシャルサービスとなっているが、新興のSnapchatに追い上げられている点から、対策を急ごうとしている。

Facebook本体のアプリでもカメラ機能を強調し、拡張現実(AR)を取り入れることで、Snapchatとは異なるコンテンツ投稿体験を作り出す方向へと舵を切った。特に視聴時間が写真よりも長くなるビデオやライブ配信に注力している理由も、Facebookアプリでの滞在時間を引き延ばす効果を狙っている。

その上で、Instagramからも、Snapchatを追撃する姿勢を見せている。Snapchatの目玉機能となった24時間写真やビデオを公開できる「ストーリー」機能をInstagramにも導入し、日間のユーザー数で、Snapchatの1億6100万人を上回る2億人を突破した。

Instagramの日間ユーザー数はそれより多い6億人であり、そもそものユーザー数ははるかに多い。それでも、Snapchatを狙い撃ちする同種の機能で、Snapchatそのものの勢いを削ごうと躍起になっている。