"不思議な日本語"でブレイク中のモデル・滝沢カレン。その魅力を最も引き出していると言えるのが、フジテレビ系バラエティ番組『全力!脱力タイムズ』(毎週金曜23:00~23:30)だ。彼女が担当するのは、絶品グルメや美しい風景を紹介する「THE美食遺産」「THE絶景遺産」のナレーター。極めて独特な表現によるナレーションが、どんなに絵力の強い映像も差し置いて主役に躍り出てしまうという、これまでの常識を覆すVTRコーナーとなっている。

そこで今回は、このナレーション収録を終えたばかりの滝沢を直撃。コーナーにかける強いポリシーや周囲からの反響、そして、コンプレックスだったという"しゃべり"をきっかけにブレイクしたことに対する心境まで、たっぷりと話を聞いた――。


ナレーション収録を終えた滝沢カレン

――本番お疲れ様でした。今日のナレーション収録の手応えはいかがですか?

毎回毎回、自由にやらせてくれてる人たちがいるので、すごい助かってます。

――下読みとかはせずに、ぶっつけ本番なんですね。

そうですね。いつもその場しのぎでやってます。

――その方が、"素"の感情が出るのでしょうか?

私、練習しちゃう人なんで、結構ストイックなところがあるんです。だから直前まで見ない方が、自分には良いのかなと思ってます。

――今日の原稿で難しいところはありましたか?

いや、無かったですね。いつもはすごい難しい漢字とか入ってるんですけど、今日は無かったです。

――さすがです。台本のない「実況」の部分が、一番"素"が出ると思うのですが、ご自身で気をつけていることはありますか?

やっぱり今までの実況は、その人が感情を持ってかれてたと思うんですけど、私はそのまま自分の感じたことを言おうと思ってるんです。だって、いくら画面に「しょう油」って書いてあっても、本当にしょう油なのか分からないので、私は「うん」と言えないんです。そこで私が「しょう油」だって言ってしまったら、それがもしかしてすごい大ごとになっちゃうかもしれないから、なるべく「茶色い液体」とか、そういう風に言おうと思ってるんです。後々怖いんで。

――なるほど。ご自身が現場に行ってないために断定できないから、小麦粉や砂糖などが出てくると「これは大丈夫な白い粉です」という表現になるんですね。

そうです。自分で食べていないので、「この葉っぱは小松菜です」と言えないんだったら、「緑の葉っぱ」と言えば、誰も傷つかないと思ってます。

――普段の生活の中で、実況の練習などはしているんですか?

練習は絶対しないですけど、その日その日を振り返ってインスタグラムで一言でまとめてみたりとか、なるべくそのままのことを話すんじゃなくて、自分が知ってる全ての言語を使ってみようっていうやり方です。

――ポリシーがあるんですね。

あんまり私は縛られたくないので、本当に自分が思ったことをそのままに出してるんです。

――本編の放送は、よくご覧になっているんですか?

もちろん! 毎週見てますよ。大好きで、やっぱり有田(哲平)さんが面白すぎるというか、かなり目立っちゃってるじゃないですか、存在が。だから、全員有田さんに持ってかれちゃってるなぁって思って、いつも面白く見てます。

――最近は、このナレーションのコーナーも、Every Little Thingの伊藤一朗さんや、ラッパーのACEさんと、新たなメンバーが登場していますが、やはりライバルとして見ているんですか?

本当に悔しいですよ(笑)! だんだんこうやって広がってきちゃってるから、放送を見て笑わずにはいられなかったんですけど、やっぱり全部私がやりたい! でも、それもそれで、こっち(制作側)にもやり方があるかもしれないので、そこはもちろん口は出さないですけど。

『全力!脱力タイムズ』(フジテレビ系 毎週金曜23:00~23:30)
最新のニュースを元に、「全力解説員」たちが混沌とした社会情勢を鋭く斬っていくという、報道番組の体をなしたバラエティ番組。くりぃむしちゅーの有田哲平扮するアリタ哲平がメインキャスター、フジテレビの小澤陽子アナウンサーがキャスターを務める。

――これまでナレーションをされた中で、最も印象に残っていてるグルメはなんですか? 実際にお店へ足を運んでみたことなどは?

お店に行ったことは無いんですけど(笑)、私、食べ物の中では、ほぼほぼ天丼が一番大好きで、芸人さんの中で一番大好きなロバートの秋山(竜次)さんがスタジオにいたので、その回が一番印象に残ってます。秋山さんにツッコんでいただけるあの時間が楽しかったです。

――秋山さんのどんなところが好きなんですか?

私は、クリエイターズ・ファイル(※)のファンで、ああいう存在しない人間になりきったりとか、勝手に妄想でやってるのが好きです。

(※)「クリエイターズ・ファイル」…ロバートの秋山竜次が、架空の気鋭クリエイターになりきるフリーマガジン「honto+」の連載企画

――実際に共演はされているんですか?

2回くらいですね。実際に話してもいい人でした。何も発展しなかったんですけど…いや、恋愛とかそういうことじゃなくて(笑)、そこまで深く話し合うこともなく、仕事仲間って感じでやらせてもらいました。