2016年3月31日にオープンした「東急プラザ銀座」、同年9月24日にオープンした「銀座プレイス」に続き、銀座エリアに新たなランドマークが誕生した。

J.フロント リテイリング・森ビル・L キャタルトン リアルエステート・住友商事の4社により3月20日にオープンした「GINZA SIX(ギンザ シックス)」は、銀座6丁目の2街区を丸ごと使ったエリア最大級の大型施設だ。今回は、その中身の一部を紹介しよう。

巨大商業施設「GINZA SIX」、どんなところなんだ!?

2街区一体化の巨大施設

地下3階・地上13階の「GINZA SIX」が位置するのは、銀座6丁目の中でも中央通り・三原通り・交詢社通り・みゆき通りに囲まれたエリアだ。

元はあづま通りが中央を貫く2つの街区(10番街区と11番街区)だったが、今回の開発によって2街区が一体化した複合商業施設に生まれ変わった。といってもその通りは消えたわけではなく、歩行者も自動車も通過できる私道として残されている。交通の流れはそのままに、「中央通りの賑わいを内部に引き込む」ような作りになっているという。

元々2街区を隔てていた通りはそのまま通過できるつくり

建築を担当したのは、鹿島建設と建築家の谷口吉生氏だ。外観は、日本の商店の伝統的な意匠である「ひさし」と「のれん」をイメージ。店舗や流行が変化しても、"のれん"を掛け替えることで時代に容易に対応するシンプルな器であることを目指した。

外観の模型。上部は「ひさし」を、下部の商業ゾーンでは「のれん」をイメージしてデザイン

巨大吹き抜けには日本のアートを

中に入ると真っ先に目に入るのは巨大な吹き抜け空間だ。6階天井部には和紙を素材に用いており、森美術館が監修するインスタレーションを時期によって替えながら演出。2月末までは、草間彌生氏の作品を見ることができる。

見えている天井部は6階。現在は草間彌生氏のインスタレーションを見ることができる

施設の航空写真。中央の吹き抜けが上の写真の部分だ

地下3階は「観世能楽堂」、地下2階は食物販、地下1階は美容物販のフロア、1階~5階はファッションやライフスタイルアイテムの物販フロアとなっている。6階には「蔦屋書店」とカフェやレストランなどの飲食店、13階にはレストランと上顧客専用のラウンジが入り、その上には屋上庭園が広がる。

7階~12階はオフィスフロアとなっており、銀座エリアではオフィスとしても最大級の面積を誇る。企業の誘致により、銀座に新たな人の流れを生み出す狙いもあるそうだ

美容・ファッションは大充実

気になるテナントの紹介に入ろう。まず、地下1階には「Dior Beauty GINZA(ディオールビューティギンザ)」「CHANEL FRAGRANCE&BEAUTY(シャネル フレグランス&ビューティ)」などハイエンドな美容ブランドがずらり。

1階~5階のファッションフロアでも、1階の路面店「SAINT LAURENT(サンローラン)」「Van Cleef&Arpels(ヴァン クリーフ&アーペル)」をはじめ「MOSCHINO(モスキーノ)」「rag&bone(ラグ&ボーン)」「junhashimoto(ジュンハシモト)」など、男女問わず国内外の有名ブランドがそろう。

ファッション・美容の物販店は190店舗以上。ゆっくりショッピングを楽しもう

アートとグルメにあふれる6階

6階には「蔦屋書店」が入る。書籍や雑誌にとどまらずライフスタイルの総合提案を行う蔦屋書店だが、ここ「GINZA SIX」では特に「アートのある生活」を提案。「アート」と「日本文化」を主題に商品と空間の構成を行い、書籍や雑誌は6万冊をそろえる。

6階の「蔦屋書店」では「アートのある生活」を提案

吹き抜けスペースで展示などのイベントも行う

店内に併設された「スターバックス」では、通常のカフェスペースのほかに「STARBUCKS RESERVE BAR」も備える。希少な豆と抽出機を用いたコーヒーや、クラフトビールのような泡に包まれた日本初の「Nitro Cold Brew Coffee」などプレミアムなメニューを提供。こちらも、銀座らしい特別感にあふれた空間になりそうだ。

併設の「スターバックス」では日本初のドリンクも楽しめる

ほか、祝いの宴席やパーティーなど幅広く使えそうな店が、オーストラリア発のレストラン「Salt grill & tapas bar by Luke Mangan(ソルト グリル アンド タパス バー バイ ルークマンガン)」だ。102席の広々とした店舗には、バーカウンターやラウンジ、ダイニング、プライベートルームなどさまざまな席種がそろい、用途に応じた使い分けに対応する。

「Salt grill & tapas bar by Luke Mangan」では2面を大きな窓に囲まれた席も。予約して使いたい!

看板メニューの「オーストラリア産 パスチャーフェッドビーフ"ピナクル"のグリル」(200g・4,800円/予定価格)などのグリル料理のほか、素材を生かしたシンプルなタパス料理も展開。第1回バカルディレガシーカクテルコンペティション日本大会で優勝を果たした櫻井将人氏が監修を務めるカクテルの数々も魅力的だ。

オーストラリアの素材を生かし、グリル料理やタパス料理を提供(写真は試食用に取り分けたもの)

櫻井将人氏監修のカクテルも楽しめる

6階の注目店としてはほかにも、フルサービス型のフードコート「銀座大食堂」がある。出店店舗は、ステーキの「Ishida」やうなぎ・天ぷらの「銀座 かつら」、すき焼き・牛しゃぶの「松重」など名店ぞろい。報道陣への事前公開はなかったが、上質なグルメを肩肘張らずに楽しめそうな、個人的にも注目したいスペースだ。

最上階のレストランでは特別な時間を

最上階となる13階には、特別な日に楽しみたいファインクラスな店舗がそろう。その一部を紹介しよう。

「てんぷら 山の上 Ginza」は、神田駿河台「山の上ホテル」の直営レストラン「てんぷら 山の上」の銀座初進出店舗だ。注目商品は、銀座限定のテイクアウトメニュー「ばら巻」(3,800円・税別)。季節の素材を組み合わせて揚げた「天ばら」を海苔巻きに仕上げたオリジナルメニューとなっている。お世話になった人への手土産に喜ばれそう。

「山の上ホテル」直営の「てんぷら 山の上 Ginza」

「ばら巻」(3,800円・税別)は銀座限定のおみやげだ

広尾のフレンチレストラン「a nu retrouvez-vous(ア・ニュ ルトゥルヴェ・ヴー/aはアクサングラーヴ付き)」の姉妹店である「L'homme du Temps signe a nu(ロムデュタン シニエ ア・ニュ/signeのeはアクサンテギュ、aはアクサングラーヴ付き)」も注目店だ。

フレンチレストラン「L'homme du Temps signe a nu(ロムデュタン シニエ ア・ニュ)」

シェフはスーシェフとしてア・ニュを支えてきた30歳の蓑原祐一氏、支配人は31歳の新井哲成氏が務める。ランチには「シェフおまかせコース」(7,000円)、ディナーには「プリフィクスコース」(1万3,000円/共に税・サービス料10%別途)を用意し、それぞれにワゴンから好きなだけデザートをサーブしてもらえる「ワゴンデセール」も付く。クラシカルなスタイルを貫きながらも、若いスタッフによる現代的で軽やかな感性が通底するレストランだ。

「プリフィクスコース」(1万3,000円/税・サービス料10%別途)の前菜の1つ「毛ガニとメロンのスープ」

好きなだけデザートをもらえる「ワゴンデセール」は、支配人の新井哲成氏も思い出に残っているというクラシカルなスタイルだ

最後にもう1店。13階でユニークな存在感を放っているのが、ミカフェートによる旗艦店「GRAND CRU CAFE GINZA(グラン クリュ カフェ ギンザ/CAFEのEはアクサンテギュ付き・以下同様)」である。バースタイルでコーヒーを楽しめる同店では、コーヒーハンターとして知られる川島良彰氏による「Grand Cru Cafe」12銘柄と新シリーズ「RESERVA」2銘柄をラインアップする。

「GRAND CRU CAFE GINZA(グラン クリュ カフェ ギンザ)」

店内はバースタイル

おもしろいのは、この店の注文システムだ。コーヒー豆はシャンパンボトルに入っており、オーダーもボトル単位で行う。「Grand Cru Cafe」シリーズの価格は100gのハーフボトルで1万円(税別)。1本で同時に6人分までのコーヒーが抽出可能で、飲みきれなかった分の豆は2週間までのボトルキープもしくは持ち帰りができるようになっている。

シャンパンボトルに詰まった、選び抜かれたコーヒー豆。注文もボトル単位で行う

持ち帰りの際はバリスタから抽出のアドバイスを受けることもでき、同店での体験だけでなく、その後のライフスタイルを豊かにできるのも特徴だ。

屋上と地下には気軽に立ち寄ろう

天気のいい日には、屋上に広がる「GINZA SIX ガーデン」にもぜひ足を運んでほしい。「東急プラザ銀座」のように飲食店があるわけではないが、折々に色づく植物で四季の移ろいを楽しめる「江戸の庭園文化」と、人が集まり憩いの場となる「西洋の広場文化」を融合させた空間はリフレッシュにぴったり。レストランが混み合うピークタイムには、ここに立ち寄ってしばらく休憩するのも良さそうだ。

屋上の「GINZA SIX ガーデン」。奥にも通路が続いており、季節の草花を楽しみながら散策もできる

地下2階の食物販も、気軽に立ち寄れるフロアとなっている。スイーツやベーカリー、ワイン、日本伝統食材など39軒の専門店が軒を連ね、目移りしながら歩くだけでも楽しいエリアだ。

筆者の注目店は「ISHIYA GINZA」。北海道の銘菓「白い恋人」の製造元である石屋製菓の道外初の旗艦店で、本場・北海道でも手に入らない銀座だけの商品を多数そろえる。「抹茶ミルク」や「北海道ワイン」「北海道チーズ」などのフレーバーをラインアップする「サク(ラング・ド・シャ)」(各12枚入り・1,296円/税込)は、"大人の白い恋人"とも言うべき味わいで、世代を問わず喜ばれそうだ。

地下2階「ISHIYA GINZA」では、さまざまなフレーバーのラング・ド・シャを販売している

地下3階には、能楽界を代表する観世流の発信拠点「観世能楽堂」が開場する。銀座における日本の伝統文化の発信拠点の1つとして、外国人観光客に向けた多言語対応システムも導入予定となっている。

地下3階は「観世能楽堂」

生まれ変わリ続ける銀座の象徴になるか

4月17日から、音楽家の椎名林檎氏とロックバンド「ウルフルズ」ボーカルのトータス松本氏のデュエットによるスペシャルムービーのTV放映も始まった「GINZA SIX」。ムービーの最後にある「Where Luxury Begins」のフレーズ通り、日本の「上質さ」「豊かさ」を再定義し発信する基地のような存在になりそう。

「GINZA SIX」スペシャルムービー「メインストリート」篇より

2020年のオリンピックイヤーを前に、ランドマークの生まれ変わりが続く銀座の街。エリア最大級のプロジェクトである「GINZA SIX」からどんなうねりが起こるのか楽しみにしたい。