【レポート】

東急東横線の今と昔--東白楽~横浜を中心に廃線・廃駅を巡る旅

1 東横線にかつて存在した"幻の駅"、東横線にも神奈川駅が

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鉄道の廃線・廃駅と聞けば、多くの人は地方のローカル線で、採算がとれずに廃止になった路線を思い浮かべるのではないか。もし、東京と横浜という大都市間を結ぶ路線に廃線区間があると言えば驚くかも知れないが、実は渋谷駅と横浜駅の間、24.2kmを結ぶ東急東横線には複数の廃線区間が存在する。今回は、東横線の廃線・廃駅を探訪する旅へと出かけよう。

東白楽~反町間にある地下区間への開口部付近を走行する東横線

東白楽~横浜の地下化による廃線跡へ

まず向かうのは、横浜駅から渋谷方面に2駅先の「東白楽」駅だ。以前は東横線の運行形態はシンプルで、「普通」と「急行」しかなかったが、現在は「特急」「通勤特急」なども運転されている。目指す東白楽駅は普通電車しか停車しないので、乗り間違えないように注意しよう。

横浜駅から次の「反町(たんまち)」駅へは所要時間1分、反町駅から東白楽駅へは2分ほどで、あっという間に着いてしまう印象だ。東白楽駅は高架駅になっており、地上に降りたら、まずは目の前を通る県道(横浜上麻生道路)を渡ろう。昔はこの県道を横浜市電六角橋線が走っていたが、昭和47(1972)年に廃止になった。

反町駅以南が全て地下化されたため、東横線の地上駅としては最南端になった東白楽駅

東横線の高架をくぐった先の路肩に周辺の案内板があり、他のいくつかの遊歩道とともに「東横フラワー緑道」が地図で案内されている。この東横フラワー緑道こそが、平成16(2004)年の東横線とみなとみらい線との直通運転開始に伴い地下化された、東白楽駅~横浜駅間の地上線の廃線跡で、東白楽駅から緩やかな弧を描くようにして、横浜駅に向かって伸びている。この緑道を歩いて、横浜駅を目指すことにしよう。

神奈川土木事務所により設置された緑道の案内板の地図

かつて存在した"幻の駅"の跡も

東横線の線路に沿うようにして歩いていくと、やがて前方に地上を走る東横線の線路が地下へと潜り込む開口部が見えてくる。この開口部をまたぐように、歩道橋が架けられており、橋の上からは電車が地下に吸い込まれたり、地下から吐き出されたりする様子が眺められる。

地下区間から地上に出てきた東横線の車両

ここから先は地下を走る東横線の真上に緑道が整備されており、時折、換気口から地下を通過する電車の音が聞こえてくる。歩道橋から200mほど歩くと緑道を横切る道との交差点に道標が立っていて、左へ進むと「神奈川区総合庁舎」と示されている。

うっかりすると見逃してしまうが、実はこの場所は東横フラワー緑道の見所のひとつなのだ。交差点の角のマンションの植栽の中に、駅の乗り場案内のプレートをモチーフにした小さな案内板があり、「新太田町駅跡」と書いてある。

「幻の駅」とも言われる新太田町駅跡。この案内板を除けば、他に駅の遺構らしきものは見当たらない

新太田町駅というのはかつて存在した東横線の駅で、昭和20(1945)年に空襲で焼失後、昭和21(1946)年に廃止された。その後、昭和24(1949)年に開催された日本貿易博覧会の会期中のみ、「博覧会場前」駅として復活したことから"幻の駅"とも言われるが、現在は案内板を除けば、周囲を見渡してもかつての駅の痕跡は何も見当たらない。

最大の見所「高島山トンネル」へ

さて、散歩を続けよう。この道は、"フラワー緑道"というだけあり、さまざまな草花が植えられていて色彩豊かだ。取材に訪れた日はちょうど桜が見頃を迎えており、チューリップなど春の花も咲いていた。また、足元を見れば、部分的にではあるがボードウォークにレールがはめ込まれている箇所もあり、"廃線旅"の雰囲気が味わえるのも楽しい。

緑道には部分的にではあるがレールが埋め込まれており、「廃線旅」の雰囲気が味わえる

新太田町駅跡から300mほど歩を進めると前方に階段が見えてきて、緑道は階段の上へと続いている。ここは反町駅の手前で、かつては東横線が国道1号線をまたいでいた場所で、鉄道の架道橋がそのまま、「東横フラワー緑道反町橋」として整備されているのだ。

鉄道の架道橋がそのまま、「東横フラワー緑道反町橋」として整備されている

橋を渡って先へ進むと、レンガでレールが表現された歩道が続き、やがて前方に「高島山トンネル」の入口が見えてくる。この鉄道トンネルをそのまま再整備した全長約174mのトンネルこそが、東横フラワー緑道の最大の見所かもしれない。

ちなみに、高島山トンネルが貫通する高島山は、新橋~横浜間に日本で初めて鉄道を敷設する際に、横浜の海の埋め立て工事を請け負った横浜の実業家・高島嘉右衛門(1832~1914)が別邸を構えた場所として知られている。緑道から少し外れるが、トンネルの西側から住宅地の中の石段を登った先にある「高島山公園」には、嘉右衛門を顕彰する「望欣台(ぼうきんだい)の碑」がある。

高島山トンネル。列車がすれ違うには、トンネル内径がやや狭く感じるが、老朽化したトンネルを内側から補強したためのようだ

公園からは川崎・東京方面の景色を一望でき、また、公園から少し歩いて丘の反対側の斜面に行けば、横浜駅西口の繁華街を見渡せるポイントもある。もし時間が余裕があるなら、高島山散歩もオススメだ。

案内板には明治初年の現在の横浜駅西口エリアの写真が掲示されており、「今」の風景と見比べることができる

東横線にも神奈川駅があった

緑道に戻り、高島山トンネルを通り抜けた先の左手には、植栽されたちょっとしたスペースがある。ここは、かつて存在した東横線の「神奈川駅」の跡だ。開設当初の神奈川駅はここから少し離れた場所にあり、その後、トンネル出口付近に移設されたので「二代目神奈川駅跡」ということになる。

また現在、京浜急行線にある神奈川駅とは、距離的には近いが別の駅である。東横線の神奈川駅は、東横線が建設された大正15(1926)年に暫定の終着駅として設置され、その後、昭和25(1950)年に廃止されるまで存続した。

さて、トンネルから200mほどの「台町入口」の交差点で緑道は終点になっている。緑道を歩くだけなら、東白楽からここまで、ゆっくり歩いても1時間はかからない。ここから横浜駅西口までは、直線距離で500mもないくらいだが、初めて訪れる際はこちら側の緑道の入り口は探すのは難しいかもしれないので、東白楽駅側から歩くのをオススメしたい。

神奈川区役所が設置した緑道の案内板の昭和34(1959)年に写された写真には、トンネル出口付近にプラットホームらしきものが写っている

現在の高島山トンネル出口付近

●information
高島山トンネル
アクセス:東急東横線「反町」駅から徒歩3分
通行可能時間 6:00~21:30

横浜駅に到着したら、JR根岸線で次なる目的地「桜木町」駅へ向かうことにしよう。

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インデックス

目次
(1) 東横線にかつて存在した"幻の駅"、東横線にも神奈川駅が
(2) 車窓から廃線跡を眺める - 家系ラーメンの老舗で小休止
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