赤ちゃんが離乳食を食べてくれない……栄養不足にならない? 対処法は??

離乳食を始めたばかりの赤ちゃん、なかなかスムーズに食べ始めてくれる子は少ないですよね。気長に見守ろう……と思っていても、食べてくれない日が続くと、不安になってしまうパパ・ママは多いのではないでしょうか。また、母乳やミルクしか飲んでくれない場合、栄養はきちんととれているのでしょうか。

今回は、離乳食ストライキの対処法について、自身も子育て中の小児科医・竹中美恵子先生にお答えいただきました。

Q.離乳食をきちんと食べてくれるようになるまで、母乳とミルクだけで栄養は足りますか?

母乳の中の栄養は、産後6カ月以降、減少していくといわれています。そのため、その時期からは、離乳食を始めてほしいです。鉄分や葉酸、DHAなどは、母乳やミルクからではとりきれません。特に鉄分が不足すると、ひどい場合には鉄欠乏性貧血になり、その状態が続くと免疫や神経の発達に影響が出るおそれがあることが、分かってきています。

Q.偏った食べ方、いわゆる「●●ばかり食べ」をする赤ちゃんでも、ちゃんと成長できますか? きちんと食べられるようになるまで、それを続けてもいいですか?

「●●ばかり食べ」をさせてあげることで、赤ちゃんは満足します。一時的なもので、いつかはブームが去るでしょう。あまり心配しすぎないようにしてください。ただ、バランスよく食べて、しっかりと栄養をとることは、やはり重要。よく食べる食材に、食べない食材を分からないように混ぜたり、食べられる食材の中から、栄養が偏らないようなメニューの組み合わせを考えたりして、工夫してみましょう。

Q.離乳食を食べてくれるようにするために有効な方法はありますか?

環境を変えるというのは有効な方法です。離乳食を与える人や、食べる場所を変えてみると、子どもの気分も変わるからです。

また貧血を防ぐために、鉄鍋や鉄製のフライパンなどを使って調理をすると、少しですが、鉄分が摂取できます。劇的な効果が期待できるというわけではありませんが、どうしても食べてくれない子には、試してみてもいいかもしれません。

Q.先生ご自身もお子さんがいらっしゃいますが、離乳食についての経験談を聞かせてください。

私の子どもの場合、家では離乳食を全く食べてくれませんでした。しかし、保育園の先生が1さじずつから始めてくれて、食べてくれるようになりました。きっと保育園で周りの子どもたちがおいしそうに食べているのを見て、自分も食べようと思ってくれたのでしょう。

また「●●ばかり食べ」にも悩まされました。ごはんにお豆腐やシラスを子どもが気づかないくらいのふりかけ状にし、混ぜて食べさせるなど、工夫していました。それも一時的なもので、今ではしっかりごはんを食べてくれるようになりました。

Q.赤ちゃんがあまりにも離乳食を食べてくれなくて、不安な場合はどうすればいいですか?

1人で抱え込まずに、周りの人に相談することが大切です。もしも健康状態で不安なことがあれば、小児科に来ていただいてもいいと思います。血液検査や体重測定など、健康状態を調べることはできますし、お薬が必要な場合は処方することもできます。

離乳食を食べてくれないのは、ほとんどの場合が一時的なもの。お母さんやお父さんが精神的に疲れない程度に、取り組んでもらいたいと思います。

※未就学児童の症状を対象にしています
※画像と本文は関係ありません

竹中美恵子先生

小児科医、小児慢性特定疾患指定医、難病指定医。
アナウンサーになりたいと将来の夢を描いていた矢先に、小児科医であった最愛の祖父を亡くし、医師を志す。2009年、金沢医科大学医学部医学科を卒業。広島市立広島市民病院小児科などで勤務した後、自らの子育て経験を生かし、「女医によるファミリークリニック」(広島市南区)を開業。産後の女医のみの、タイムシェアワーキングで運営する先進的な取り組みで注目を集める。
日本小児科学会、日本周産期新生児医学会、日本小児神経学会、日本小児リウマチ学会所属。日本周産期新生児医学会認定 新生児蘇生法専門コース認定取得
メディア出演多数。2014年日本助産師学会中国四国支部で特別講演の座長を務める。150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加する「En女医会」に所属。ボランティア活動を通じて、女性として医師としての社会貢献を行っている。