2017年度は有機ELテレビでトップシェアを取る――。ソニーマーケティングの河野弘社長は、今年度の成長戦略に自信をみせる。2011年7月の地上デジタル放送への完全移行に伴う旺盛なテレビ需要の反動を受けて、市場低迷が長期化しているなか、いよいよ回復の兆しが見えてきた。

ソニーマーケティングでも、2010年度の以来7年ぶりとなる増収増益の計画を打ち出した。4Kテレビ、デジタルカメラ、ハイレゾオーディオという、ソニーが付加価値を創出する3つの領域に注力することで成長戦略を描く。そして、有機ELテレビの国内投入も同社の成長に追い風となりそうだ。ソニーマーケティングの河野弘社長に話を聞いた。

ソニーマーケティング 代表取締役社長の河野弘氏

――ソニーマーケティングの2017年度の事業方針を聞かせてください。

河野氏 2017年度は、「成長」にこだわっていく1年になります。4Kテレビ、デジタルカメラ、ハイレゾオーディオという3つの領域に注力していく姿勢は、前年度から変更はありません。ただ、4Kテレビについては、ソニーが今年1月のCES 2017で発表した有機ELテレビを、国内市場向けに投入する予定ですから、それに合わせて新たな顧客層を獲得したいと考えています。発売時期については明確には示せませんが、有機ELテレビは2017年の重点製品に位置づけており、当社のビジネスにおいても、大きなインパクトがあると考えています。いまから、そうした姿勢を打ち出している点からも、それほど遅くない時期に投入する可能性があることはわかっていただけると思います。

ソニーのテレビのフラッグシップはあくまでも液晶テレビですが、それにプラスして、有機ELテレビで新たな顧客をどれだけ獲得できるかが鍵です。有機ELテレビの画質には強い自信を持っています。それは、有機ELパネルそのものが持つ表現力だけに留まらず、ソニーが独自に開発したシステムLSIの「X1 Extream」による高画質を実現できるからです。他社の有機ELテレビと比較してもらえば、その差ははっきりとわかります。むしろ、量販店の店頭で比較展示をしてほしいと思っているほどです。有機ELの良さを感じてもらえる画づくりを生かした、積極的なマーケティングを行っていきます。

CES 2017で発表された有機ELテレビ「BRAVIA OLED A1E シリーズ」。その国内投入も近い