パナソニックは4月10日、新・アルカリ乾電池「EVOLTA NEO」の性能をアピールする実証実験「乾電池EVOLTA新チャレンジ」を発表。EVOLTA NEOで動くロボット「エボルタくん」で、ノルウェーのフィヨルド、1,000m登頂を目指す。EVOLTA NEOは、「パナソニック史上No.1長もち」を実現した、同社としては9年ぶりの新しいアルカリ乾電池。オープン価格で、26日に発売される。

パナソニックは、新・アルカリ乾電池「EVOLTA NEO」(26日発売)で駆動するエボルタロボットで、フィヨルドの1,000m登頂を目指す実証実験を行う

新製品EVOLTA NEOの特徴

これまでもパナソニックは、ロボットクリエーター・高橋智隆氏の手がけるエボルタくんを使って、様々なチャレンジを行ってきた。2008年にはグランドキャニオンの断崖絶壁(530.4m)に挑み、6時間46分31秒で登頂成功。その後、24時間耐久走行、東海道五十三次、トライアスロンなどに挑戦して成功させてきた。今回は9年ぶりに刷新した新製品で、ノルウェーのフィヨルド登頂を目指す。そもそもEVOLTA NEOは、どのような特徴をもった乾電池なのだろうか?

これまでも様々なチャレンジを成功させてきた、高橋智隆氏によるロボット、エボルタくん。パナソニックの電池で駆動する

発表会に登壇したパナソニック エナジー&ライフソリューション商品部の堀健平氏は、EVOLTA NEOの開発について「3つの革新」を強調。ひとつは「材料の革新」で、乾電池内で発生するガスを約30%削減することで液もれしにくくした。2つめ「工法の革新」によって、乾電池内の隙間として存在していた無駄な空間を排除し、電池材料を増量。さらなる長もちと高い保存性能を実現した。そして3つめ「構造の革新」によって、強度を維持したまま薄型化することに成功。工法の革新と同じく、乾電池のボディに詰め込める電池材料が増えたことで、長もち性能がアップしている。

【左】パナソニック エナジー&ライフソリューション商品部の堀健平氏 【右】3つの革新

材料の革新で液もれしにくい乾電池に(左上)。工法の革新で長もちと高い保存性能を実現(右上)、構造の革新で長もち性能をアップ(左下)

チャレンジはさらに厳しい条件に

この後、ゲストに高橋智隆氏を招いたトークセッションが行われた。今回のチャレンジはノルウェーのリーセフィヨルド・シェーラグ山にて、7月上旬に行われる予定。断崖絶壁に張られた1,000mのロープを伝って、EVOLTA NEOの単3形乾電池×2本を背負ったロボット「エボルタ NEOくん」が登っていく。

現在の心境について聞かれた高橋氏は「これまで以上に厳しい条件となりました。ワクワクするとともに、大きなプレッシャーも感じています」と素直な気持ちを語った。また、挑戦の舞台がフィヨルドになった理由については、「パナソニック史上No.1長もちの特徴を分かりやすくシンプルにお伝えできるよう、2008年と同じ『登頂』というスタイルを選んだため」(掘氏)とした。

ロボットクリエーター 高橋智隆氏(左)。エボルタ NEOくんは身長17cm、動力源のEVOLTA NEO乾電池を積んだときの体重は169g、登るスピードは約1.26m/分となっている(右)

2008年に挑んだグランドキャニオンと比較すると、登るべき高さが倍近くも伸びている。これについて高橋氏は「さらなる耐久性、信頼性、軽さ、省エネ性能が求められる。自重のほか、風でも引っ張られるでしょう」と。まだ開発途中というエボルタ NEOくんの登るスピードは、現在のところ約1.26m/分。

したがって、1,000mの登頂を成功させるには、13時間以上の安定した電池駆動が必須となる。実際には、どのような感じで登っていくのだろうか。会場となった東京・丸の内KITTEでは、垂直に張られた20mのロープを登るデモが行われた。

東京・丸の内KITTEでは、垂直に張られた20mのロープを登るデモが行われた

会場のモニターに大映しとなったのは、両腕と両足を伸び縮みさせてロープを必死に登っていくエボルタ NEOくん。「人間がロープを登る姿に似ているので、感情移入してもらいやすい」(高橋氏)。

今回のチャレンジには、追跡システムも導入される。パナソニックの公式ホームページ・公式Twitter、およびニコニコ生放送で生中継する予定だ。パソコンからアクセスすれば、360度カメラの自由な視点で登頂の様子が楽しめるという。

登頂開始は7月上旬の(日本時間)AM11時30分頃から。日照時間が長い、ノルウェーの白夜を利用する。高橋氏は「乾電池を積んだ小さなロボットが、雄大な自然に挑戦します。チャレンジを通じて、電池が大幅に進化したことをアピールできれば。登頂成功を目指して頑張ります」と意気込んだ。

今回のチャレンジは、追跡システムを使って生中継される予定。パソコンからニコニコ生放送にアクセスすれば、360度カメラの自由な視点で登頂の様子が楽しめる

単3形アルカリ乾電池、たったの2本で、果たして1,000mの山は登頂できるのだろうか。今夏の挑戦を楽しみに待ちたい