セキュリティ製品「アバスト2017」などを展開するAvast Softwareは6日、日本市場への本格参入を発表した。近日中に国内で日本法人を設立。オフィスを国内に構え、日本市場向けの業務を展開する。同社CTO(最高技術責任者)のオンドレイ・ヴルチェク氏の来日戦略説明会の中で明かされた。

Avast Software CTO(最高技術責任者)のオンドレイ・ヴルチェク氏

国内シェアや認知度拡大へ、日本語サポートも予定

Avast Softwareの日本市場における戦略

Avast Softwareは1988年に設立され、チェコ共和国のプラハに本社を置く企業。インターネット黎明期から、基本機能を無料とし、高機能版を有料で提供するというフリーミアムモデルを展開し、日本も含めワールドワイドでオンライン販売を進めている。2016年には競合のセキュリティベンダ・AVGと合併。2017年現在はワールドワイドで4億以上のデバイスへのインストール、7億米ドル以上の売上規模となっている。

Avast Softwareの会社概要

日本でも"精度の高い無料ウイルス対策ソフトウェア"としてネットユーザーを中心に知られているが、今回同社は「日本のコンシューマ向けセキュリティ市場にコミットする」と強調。「販売方法などの詳細は検討中」としながらも、オンライン販売だけでなく、ディストリビューターや量販店を通じた一般販売も検討し、国内での認知度やシェア、売上の向上を図るとした。

Avast Software製品のグローバルシェアは、最多が北米の5,800万、次いでブラジルの4,400万、次いでフランスの2,100万、次いでロシアの2,000万となっている。他方、日本のユーザー数は470万となっており、「他の地域と比べると小さい。この市場を大きく伸ばしていきたい」とヴルチェク氏は説明した。

Avast Software製品のワールドワイドにおける利用者数

カントリーマネージャーの高橋実氏は、「ワールドワイドでは、販売店を間に挟んでセキュリティ製品を売るベンダは少数。しかし日本のコンシューマ向けセキュリティ市場は、量販店でのパッケージ販売が強い。日本市場は、オンライン販売だけではシェアや認知度の拡大が難しい部分がある」とコメントした。量販店でのパッケージ販売となる場合、フリーミアムモデルではなくなる可能性もあるが、高橋氏によると「当面は継続する」とする。

日本法人の設立は現在準備中。2週間~1カ月後をめどに設立する。ローカルでのビジネスに即したコンテンツ、マーケティングを意識して展開していくという。

日本法人は当初、少人数でのスタートとなる。高橋氏は「公式販売ページやサポート、FAQ、ブログなどで、きちんとした日本語Webページを提供し、日本ユーザーが安心して使える環境を整えていきたい。基本的なところから進めていく」と力強く語った。

カントリーマネージャーの高橋実氏

アバスト2017

「アバスト2017」は、2017年2月にAvast Softwareがリリースした、セキュリティソフトの最新版。同社が2016年にインターネット上で脅威とみなした、IoT機器への攻撃やランサムウェアの進化、ハッキングによるID・パスワードの流出、ソフトウェアの脆弱性といった課題に対処した新製品となる。

アバスト2017の特徴

具体的には、基本的なウイルス・マルウェア対策機能に加え、ユーザーのホームネットワークを自動的にスキャンし、ルータおよびルータ接続機器の脆弱性を検知する「Wi-Fiインスペクター」、Windows/Mac向けの「パスワード管理」機能などを備えている。また、有料のPro版/Premier版では、疑わしい行動を継続的に監視・検出する「挙動監視シールド」を搭載。マルウェアによる銀行アカウントの不正利用やランサムウェアによる不審な挙動などを"ふるまい検知"する。ほか、Premier版では主要なソフトウェアの脆弱性を自動アップデートする機能も搭載する。

ラインナップは、基本機能を備えた無料版「Avast Free Antivirus」、高機能の有料版「Avast Pro Antivirus」(税込3,480円/年)、全機能を備えた有料版「Avast Premier」(税込5,980円/年)、無料版にインターネット脅威対策機能を追加した有料版「Avast Internet Security」(税込4,480円/年)の4製品。Mac版は2017年夏の提供を予定する。