【レポート】

「しかるべき理由」がなくても在宅勤務OK - 製薬会社・MSDに聞く働き方改革

1 情シス部門が1カ月在宅勤務に挑戦、その成果は

  • <<
  • <

1/2

2016年4月から、在宅勤務制度を日数の制限なく利用可能にした製薬会社のMSD社。制度改定以降、内勤部署の社員のうち毎月2~3割近くの社員が制度を利用し、1人あたりの利用日数も月平均2.5日以上に伸びたという。

そこで今回は、同社人事部門人事グループマネージャーの萩原麻文美氏と、情報システム部門システム技術サービスマネージャーの三澤龍志氏に、テレワーク(在宅勤務)を中心とした働き改革の取り組みや運用実績についてお話を伺った。

左から、MSD 人事部門人事グループマネージャー 萩原麻文美氏、情報システム部門システム技術サービスマネージャー 三澤龍志氏

「しかるべき理由」がなくても在宅勤務OK

――2016年4月に在宅勤務を日数制限なしにされてから約1年経ちましたが、実際の利用実績はいかがですか?

萩原氏:4月以降、利用者は右肩上がりに増えています。制度拡充前の2016年1月に比べて、利用者数は12月の時点で約1.5倍です。1人あたりが月に在宅勤務を行う日数も増えており、1月の1人あたりの平均利用日数は2.0日でしたが12月は2.6日。月に3日、4日利用する社員が多くなりましたね。

あとは、8月も利用者が多いです。お子さんが小学生だと、夏休みの間、家に居てあげたいという方が多いのです。また、8月というのは夏季休暇を取る人も多く、社内も人がまばらになりますので、それならば自分も在宅勤務にという気持ちになるようです。8月は450人ぐらいの社員が在宅勤務を取得しました。

――周りで在宅勤務を取得する人が増えたので、自分もやってみようという感じで広がっていったのですか?

萩原氏:そうですね。弊社はもともと在宅勤務を利用する人が多く、前年の2015年も年間約600人が利用していました。それが2016年4月以降、日数に制限がなくなってさらに使いやすくなったということですね。

――社員の方からはどういった声が聞かれますか?

萩原氏:それまでは週1回までは事由に関係なく在宅勤務が可能でした。それが、4月以降はいつでもどんな理由でも使えるようになったことで、例えば子どもが熱を出してしまって週に何日も自宅で仕事をしなければならない時にも使えるとか、子どもの学校行事と住宅の設備点検が同じ週に重なってしまったとか、そういう「いざという時」にも仕事を休まずに済むので安心だという声が出ています。

社員には、本当にしかるべき理由がなくてもどんどん在宅勤務を活用してほしいと伝えています。例えば、冬に寒いので外に出たくないという理由でも大丈夫です。大切なのは、自分らしい働き方を実践することによって生産性を上げ、より高いパフォーマンスにつなげること。オフィスに来ることや上司の前で仕事をすることが重要なのではなく、働く場所はどこであっても結果を出すことが重要なのです。昨年の4月を境に、特に理由はなくても在宅勤務をうまく活用しようと、社員のマインドがものすごく変わったように思います。

情シス部門が1カ月在宅勤務に挑戦、その成果は

――社員の方は4月から急に在宅勤務を積極的に利用しようというモチベーションに変わったのでしょうか?

情報システム部門システム技術サービスマネージャー 三澤龍志氏

三澤氏:いや、私のチームではすぐには制度を活用するというふうにはなかなかならなりませんでした。やはりチームのメンバーも在宅勤務のパターンというのをそれまでも自分なりに決めていて、例えば別の部門の人と会う時にはやはり出社し、対面で話をしなければ、などの気遣いがあって、せいぜい週に1回程度で、何日も取得するということはありませんでした。

そんな中、チームの会議で話している際に、「せっかくの制度拡充だから、思い切ったことをやりたいよね」という話がでてきました。そこで、2016年の主要な仕事は11月までに全部終わらせて、残りの12月は全て在宅勤務で翌年のプランニングに充てようということを5月の時点で決めました。チームのメンバーは皆喜んで、12月を心待ちにしていました。

その後、6、7、8月と「今年の仕事を11月に収められる?」と毎月確認しました。その結果、11月までに主要な仕事はすべて終わって、12月は約束どおりプランニング業務に集中することが可能になり、全員取れるだけ在宅勤務を取ろうということになりました。

――チームの皆さんからの声は?他部署から何か言われたりしなかったのでしょうか?

三澤氏:メンバーから「うちのチームだけ全部在宅にして大丈夫なんですか?」「他のIT部門の人から苦情はないんですか?」という声もありましたが、事前に他のITのマネージャー全員に話をしていましたので何も問題なかったです。むしろ、「そんなことやるんだね」「やったあとの皆の感想を聞かせて」と彼らの協力も得られたりしました。

実際に取り組みが終わった後は、チーム全員が期待していたとおりの結果を得ることができ、すごく喜んでいましたね。自分で仕事のコーディネートを自由にできるし、まさに"ワークライフバランス"をうまく調整でき、プライベートの充実で業務効率がすごく上がるということを実感できました。やってみてよかったと思います。

特に、年末の1カ月を集中してプランニングに充てるというのは、昨年に限らず、今後も引き継いでやっていこうと話しているところです。今回の在宅勤務制度の拡充というきっかけがなければ、思い切ってやり方を変えるということは難しかったと思います。

  • <<
  • <

1/2

インデックス

目次
(1) 情シス部門が1カ月在宅勤務に挑戦、その成果は
(2) 勤怠管理に「顔」は必要ない
関連キーワード


人気記事

一覧

イチオシ記事

新着記事