航空関係者と話をしている時、「あのお店が全国の空港にもできればいいのに」という話が出てきた。"あのお店"とは、山口宇部空港国内線ターミナルビル2階に、ひっそりとお店を開く「角打 鍋島」のこと。世界にもファンを抱える山口の酒「獺祭」など、山口のおいしいものが朝からサクッと楽しめてしまう"罪なお店"なのだ。

「角打 鍋島」は山口宇部空港国内線ターミナルビル2階にひっそりとある

お酒もグルメも山口尽くし

角打 鍋島はお店の名の通り、酒屋の店頭で気軽にお酒が飲める立ち飲み屋。側には、「獺祭」や「貴」「雁木」などの地酒を始め、「萩ちょんまげ麦酒」などという地ビールなど、山口が誇るお酒を取りそろえたショップも控えている。

ちなみに、「鍋島」という店名は、海の守り神が祭られていた鍋島という無人島が宇部市の沖合にあったことに由来する。その鍋島は現在、山口宇部空港の滑走路拡張の際に他の場所に移設されたため、その歴史にあやかって、鍋島という名前が付けられたとか。

お土産は「やまぐちの地酒 鍋島」でどうぞ

角打で楽しめるお酒はというと、地ビール(650円)、地酒(500円~)、芋焼酎(400円~)、ふぐひれ酒(500円)など。獺祭は2割3分(1,500円)、3割9分(700円)、50(600円)と種類も豊富。お得に楽しむなら、好きなドリンク(生ビールや獺祭など)とおつまみ3種盛りがセットになった「晩酌セット」(1,000円)を選んでみるのもいいだろう。ちなみに、獺祭2割3分とおつまみ3種盛りがセットになった「プレミアム晩酌セット」も2,000円で用意している。

「晩酌セット」(1,000円)でお得に楽しむ

グルメももちろん、山口のものにこだわっている。お酒におつまみにぴったりの一品には、「蒲さし」や「粒うに」「きららえび」などを1品200円から展開。オススメおつまみを4種盛り合わせた「三種盛り」(600円)があれば、いくらでもお酒が進んでしまう。

実は4種盛られている「三種盛り」(600円)。蒲鉾さし、イカの塩辛、レンジョウ、きららえびがセットになっている

朝7時からお店が開いているのは、何も「朝から飲んでくださいね」ということだけが狙いではない。山口伝統の製法で作られたもっちり麺の「うどん」(400円~)や、山口産の米で炊き上げた「おむすび」(100円~)、「おむすびセット」(300円)というようなグルメも取りそろえている。「小野茶麺 にゅうめん」も1日20食限定で登場。20時まで、山口尽くしのおいしいものであふれている。

蒲さしとちくわは地元・宇部の名物(セットで200円)

地元の魅力発信とともに障がい者支援も

この角打が山口宇部空港に誕生したのは、2008年10月のこと。運営は社会福祉法人である南風荘が担っており、角打は山口県の味・技・観光の魅力を発信する拠点としてのほか、障がい者の自立支援の役割も果たしている。

2011年には国体・全国障がい者スポーツ大会を、2015年には世界スカウトジャンボリーを控えていた山口県では、全国に山口の魅力を発信するため、山口県の空の玄関である山口宇部空港での展開を構想していた。

その中で、障がいのある人々の働く場を生み出すプロジェクトに賛同した宇部市内の経営者たちが、地域で働き、夢を抱けるような環境づくりを目指したのが角打の始まりだった。オープンから8年半となる現在、地産地消を目指し、地元の新しい地酒や食材を導入するとともに、障がいのある人々が多くの仕事に従事できるよう、作業工程などの分析などを進めている。

ショーケースの中には山口のおいしいものがずらり

山口のお酒というと「獺祭」のイメージが強いかもしれないが、日本酒のほかにも焼酎があったり、ちょっとシュールなネーミングの「萩ちょんまげ麦酒」にクスッと笑ってしまったりと、意外な発見がここにはある。飲みながらスタッフのお母さんとまったり話をするのもまた一興。飛行機の待ち時間に手軽にお酒を楽しむ、という以上の魅力を実感できることだろう。

※価格は全て税込