東京・六本木。その由来は6本の木が並んでいたからとも、「上杉」「朽木」「片桐」といった“木”のつく大名・武家の屋敷が集まっていたからともいわれている。その六本木のランドマーク「東京ミッドタウン」が3月30日、10周年を迎える。

1980~90年のころの六本木は、東京を代表する歓楽街だった。ネオンがまぶしい、いわゆる“飲み屋”が軒を連ね、電話ボックスやガードレールには怪しげなチラシがあちこちに貼られていた。そのチラシは風や人の手ではがされ、歩道に散らかっていた。まさに“わい雑”という言葉がシックリとくる街並みだった。また、六本木を訪れる人々も、ある意味、前衛的なファッションで身を包み、歓楽を求め飲食店やクラブ(ディスコ)に集まってきた。

東京ミッドタウン

だが、2000年台に入ると六本木の様相が、少しずつ変わり始める。そのきっかけのひとつになったのが、2003年に開業した「六本木ヒルズ」だろう。広大なオフィスフロア、ホテル、レジデンス(住宅)、映画館、そしてレストランやショップが入居し、歓楽から「ビジネス」「レジャー」「ファッション」を連想させる街へと変わっていった。

そして2007年、東京ミッドタウンがグランドオープンした。オフィス311,200平方メートル、住宅96,500平方メートル、ホテル43,800平方メートル、商業71,000平方メートルといった巨大な“街”が現れた。

巨額な資金で土地を落札

もともと東京ミッドタウンの敷地は、防衛庁檜町庁舎があった土地だ。それを三井不動産が中心となり、全国共済農業協同組合連合会、安田生命保険、積水ハウス、富国生命保険、大同生命保険といった企業、団体が2001年に落札。落札額は約1,800億円、坪単価にすると759万円となる。