コニカミノルタは3月23日(現地時間)、ドイツ・ベルリンのUmspannwerk Alexanderplatzにおいてグローバルプレスイベント「KONICAMINOLTA SPOTLIGHT」を開催した。同イベントにて同社はオフィスのITインフラを1つに統合する企業向けIoTプラットフォーム「Workplace Hub(ワークプレイス ハブ)」を発表した。発売は2017年秋から順次行われる予定。

グローバルプレスイベントの会場となったドイツ・ベルリンのUmspannwerk Alexanderplatz

働き方を改革する同社初の複合機と一体化したIoTビジネスプラットフォーム

新製品は3つの形態で提供し、複合機と一体(従来は紙トレイとして使用していた複合機の下部のスペースにラック型の「Workplace Edge」を搭載)になった製品「Workplace Hub」、スタンドアローン型とラック型の「Workplace Edge」を用意した。Workplace Hubとラック型のWorkplace Edgeは2017年秋、スタンドアローン型のWorkplace Edgeは2018年春の発売開始をそれぞれ予定している。

同社では、これらの製品を新たに注力していくIoTビジネスのベースとなるプラットフォームとして位置づけ、ITサービスの分野において常に進化する顧客ニーズに応えることを目的に開発したという。

左からラック型「Workplace Edge」、スタンドアローン型「Workplace Edge」、「Workplace Hub」(大型)、「Workplace Hub」(小型)

新製品は一般オフィスに加え、生産現場や医療、教育機関など、さまざまな業種・規模の職場における顧客業務のデジタル化を、将来を見据えた形でサポートするための設計がされており、企業のITインフラ(ツール、サービス、装置など)を効率的・効果的に管理することができるという。

また、常に変化するリアルタイムデータを分析し、ITインフラの使用パターンを可視化することで、顧客のITインフラ管理コストの削減、ビジネスプロセスの効率化を図るソリューションとして提供する。さらに、IoTビジネス領域でAIやエッジコンピューティング、ディープラーニング技術を用いて人とデータを結び付け、オフィスでの意思決定や問題解決の支援を実現するとしている。

コニカミノルタ 社長兼CEOの山名昌衛氏は、自社のイノベーションについて次のように説明した。

コニカミノルタ 社長兼CEOの山名昌衛氏

「われわれのイノベーションの推進力は、過去の意思決定を呼び出せるシステムと、会社の将来について最良の決定ができるように手助けしてくれる開発を、必要に応じてタイムリーに促すシステムとなります。そして、これら2つはIoT時代におけるコーポレートビジョンでもあります。イノベーションは、ただ単に上位機種を開発し、つなげることだけを意味することではありません。イノベーションはインテリジェントに分析したデータをもとに人と人をつなげることです。そして、われわれは職場における個別のニーズに合わせたソリューションを提供し、デジタル問題を解決することで効果的な意思決定ができるような価値を提供していくことが求められています」(山名昌衛氏)

そのような状況を踏まえ、山名氏は新製品について「優れたインプットデバイスにクラウドとコスト効果の高いインテリジェントなエッジIoTの戦略を組み合わせたプラットフォームにより、顧客はデバイス、データ、意思決定、結果に対するコントロールを持つことができます。Workplace Hubは、従来にない新しい製品・サービスに位置づけられ、人・デバイスをつなげ、高付加価値サービスをデジタル時代において提供します。最新の技術を用いたことで、スマートなオフィス環境とカスタマーソリューション、意思決定、個別のオフィスのエコシステム、個別のワークスタイルを支援します。また、クラウドとエッジを橋渡しするとともに、データのリアルタイムの収集と分析を可能とし、顧客が正しい決定を正しいときに行うことができます。われわれのビジネスを変え、顧客のビジネスも変えることができると自信を持っています」と、意気込みを語った。

同社では新製品の成長戦略の一環として、マイクロソフト、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)、ソフォスとのグローバルパートナーシップにより、ハードウェア、セキュリティ、ITソリューションを提供する。さらに、英CanonicalやオーストリアのBraintribeとの協業において、オープンソースを活用したデータ管理機能を備えたサービスを提供し、ビジネスでのデジタル化を効果的にサポートするとしている。

これにより、新製品のプラットフォームとエコシステムの開発を加速し、より幅広いアプリケーションの利用を可能にしていく。山名氏は「将来の業務は接続されたインテリジェントシステムで定義されることになり、人々の創造力を開放し、顧客の発展の一助になり得ると確信している」と、期待を口にしていた。

現在、同社ではグローバルにおいて200万社の顧客を有しており、多くが中小企業が占めていることから、新製品のターゲットは中小企業がメインとなるが、大企業にも積極的に拡販を進めていくという。

そして、同氏は「職場環境構築のための、デバイスとサービスで構成したオフィスにおけるITソリューションの開発に焦点を当てています。また、これまでIoTやAI、マシンラーニング、ロボティクス技術への対応を推進しており、一環として2014年に日本、米国、英国、シンガポール、中国の5つの地域にビジネスイノベーションセンター(BIC)を設立しています。今後は職場の将来を定義し、得られた価値を顧客に提供していきます」と胸を張った。