PTAだけじゃなかった!! 小学校入学で感じる「小1の壁」座談会

子どもが小学校に上がり、親の仕事の継続が難しくなるケースなどを指す「小1の壁」。学童保育やPTA活動など、子どもを保育園に通わせていた共働きのパパ・ママたちにとって、未知の世界が待っているわけだが、実際にはどのようなことが大変になるのだろうか。

マイナビニュースでは、東京都江戸川区で、働きながら子育てをしている保護者が作るネットワーク「えどがわ学童保育フォーラム」のメンバー3人に集まっていただき、座談会を開催。

前回は「学童保育の悩み」を中心にお伝えしたが、今回は、それぞれが感じた「小1の壁」について、ざっくばらんに語っていただいた。


座談会の参加者

Aさん
小学2年生の男の子、年少の女の子を育てる2人の子どものママ。自身は時短勤務、夫はフルタイム勤務で働いている。
Bさん
小学3年生の女の子を育てるママ。子どもの小学校入学のタイミングで転職し、今は17時終業の会社で働いている。
Cさん
小学2年生の女の子、年中の男の子を育てるパパ。自身はフルタイム勤務、奥さまはフレックス制度を使って働いている。

PTAは「1年生でやるべきだった」

――PTA活動には、どれくらい参加されていますか?

Bさん: 娘が2年生の時に校外委員をやりました。小学校生活の中で、2回は委員をやらないといけないという、暗黙のルールがあるので、自分の仕事と兼ね合わせて、いつやるべきか、イメージしていたのですが……。とにかく、予想以上の仕事量でした。

防犯マップを作ったり、子ども110番の家(緊急時に子どもが駆け込める家)のマークをラミネートで作ったり、一軒一軒、110番の家の方に「今年もお願いします」とあいさつをしに行ったり……。個人情報を扱う内容だと、学校でないと作業ができなかったりするので、大変です。


Cさん: PTAは本部役員やクラス役員、それに広報委員や環境委員などがあり、組織が複雑ですよね。トータルすると、相当な人数の役員がいるはずなのですが、うちの学校ではそれでも仕事量が多くて、人が足りない状況です。年度末になると「役員やりませんか?」と勧誘の電話がかかってきます。


Bさん: 専業主婦の方が中心となっているので、平日に作業があり、結局休みをとって参加していました。でも、PTAの仕事によっては、1週間に3日も作業が入ることがあって……。その時は、週に1日だけ参加し、「この日にできることをやります。ごめんなさい」とアピールして、なんとか対応させてもらいました。

例えば、学校で開かれるお祭りの委員は「お祭りが終わったら仕事はない」と思って安易に引き受けがちですが、お祭り前の準備がすごく大変ということもあります。その委員がどのような仕事をするのか、事前のリサーチはすごく大切だと思います。


Cさん: うちの学校ではサマーキャンプというイベントがあって、グラウンドにテントを張って1泊するのですが、PTAの努力たるもの、すごいです。食事の手配からテント張りまで、すごく熱心です。ありがたい反面、それを見てしまうと、役員を引き受けにくいというのもあると思います。


PTAの仕事は事前のリサーチが大事!!

――Bさんは、なぜ娘さんが2年生の時に、委員を引き受けられたんですか?

Bさん: 今では「1年生の時にやっておけばよかった」と感じていますが、とにかく早めにやった方がいいと思い、2年生にしました。子どもが入学して、親もPTAに入ったばかりだと、重責はかからないんですよ。委員の中でも、書類を出したり、本部役員とのやりとりが必要な委員長や副委員長は、学年が上の親がやることが多いです。大変な役割なので、私は難しいかなぁと思ってしまいます……。


Cさん: クラス委員を決めるときの保護者会、苦痛だそうです。


Bさん: 誰も手を挙げないから、「今日決まらなかったら、また集まってもらいますよ」って先生が言い出して……それで、どうしよう、みたいな。


Cさん: 手を挙げれば保護者会が早く終わるのは分かっていますが、挙げてしまったらヤバイ……という葛藤をみんな抱えながらじっとしている、みたいな感じですよね(汗)。


意外と大変で重要な、保護者会への参加

Cさん: クラスの保護者会も、平日の昼間にやるんですけど、午後1時半開始などだと、仕事をしていると出席しにくいです。


Aさん: 勤務地が遠いと、午後休とっても間に合わないから、結局丸1日仕事を休むという人もいますよね。


Cさん: 1学期は保護者会が2回ありました。1日の真ん中の時間に開催しないでよ……と思うのですが、先生の都合もありますしね……。1回仕事を中抜けして、保護者会に出た後、また職場に戻る、というのをしたことがあります。


――保護者会は、やっぱり出たほうがいいんですか?

Aさん: 働いていると、普段同級生のお母さんに会う機会がないので、そこで顔を覚えたり、「私は悪いお母さんではないですよ」キャンペーンをしたり(笑)、大切な場所ですよ。


Bさん: ここで専業主婦のママと仲良くなっておくのも大事ですね。専業主婦のママ友は学校や子どものことをよく見ていて、何かあるとメールで教えてくれるので、貴重な存在です。


学校行事に参加するメリットも大きい

Bさん: いろいろと役割があって、大変なことは大変なのですが、学校での活動に参加することには、メリットもありますね。例えば当番制で回ってくる登校時の旗持ちも、地域の危険な場所や子どもの登校の様子を知ることができるので、大事なお仕事だと思いました。


Aさん: ボランティア活動やPTA、学校公開(授業参観)などで学校の中に入ると、子どもが何をしているのかが分かりますよね。保育園の時は、先生が管理してくれているので、あまり親が様子を見に行くということもないですが、小学校は、現場の子どもの様子を見て、直した方がいいことなど、親が家で働きかけることがすごく大切な気がします。


学校の中での子どもの様子を見ておくことも大切

Bさん: 親の目線から子どもたちやお友達の様子を見ていると、子どもから聞いている話とは状況が違うこともありますよね。ここは声かけしないといけないとか、実はここまでできているんだとか、そういう発見もあります。


Aさん: 他の子どもも見ることで、「うちの子はダメだなぁ」と思っていたところが、「他の子も同じか」と気楽に思えることもありますね。


子どもが宿題を忘れると……

――小学校に入ると、授業があって、宿題も始まるわけですが、大変だと感じることはありますか?

Cさん: 宿題をやらせるのは、本当に大変ですね。例えば教科書を音読する宿題があるのですが、子どもってたまにズルをして、1ページ飛ばして読んだりするんですよ(笑)。ですから親がちゃんと聞いておかなければなりません。先生が配り忘れたから、今日はプリントの宿題がないとか言うこともあります(笑)。


Bさん: 計算問題は、親の丸付けまでが宿題です。忙しくてうっかり丸付けを忘れると「ママが丸付けしなかったから、私が怒られた」と子どもに怒られたりして……(汗)。

帰ったらまず連絡帳をチェックして、宿題を確認して、一つひとつ「これはやった?」とチェックするのですが、たまに「連絡帳に宿題を書くのを忘れた」という日もあります。21時くらいになって、資料が必要な宿題があることが分かった時は、慌てて図書館まで自転車をこいで、資料を探し、コピーをとって持ち帰ったこともあります。帰宅時間が遅いので、宿題忘れに気づくのも遅くなって大変です。


Aさん: 私は帰宅するとすぐにお風呂に入るのですが、お風呂を出た後に、子どものランドセルに何も入っていないことが判明して……(笑)。髪の毛を乾かして、下の子をおんぶして、学校に電話して、一式を取りに行ったことがあります。子どもが宿題や連絡帳を学校に置いてくるのは慣れました(笑)。宿題を忘れたら自主課題を出すとか、連絡帳を忘れたら、教科書を全部持っていくなどして、対応する場合もあります。


困ったときの「プランB」が取れる体制づくりを

――最後に、これからお子さんが小学校に通うパパ・ママにメッセージをお願いします。

Bさん: 忙しさに追われる日々だと思いますが、子どもと視線を合わせることを大切にしてほしいです。自分に余裕がない時でも、「あなたを見ているよ」という子どもへのメッセージは伝わると思います。


Aさん: 働くママは孤立しがちなので、いかに情報をとるかが勝負です。現場・現実・現物を大事にしてください。自分たちだけでは絶対に大変なので、祖父母や先生、近所の人、ファミリーサポートセンター、シルバー人材センターなど、うちの子を気にかけてくれる存在を少しでも増やしておきましょう。困ったときの「プランB」が取りやすいと思います。


Cさん: 父親の育児の関わり方はさまざまだと思いますが、夫婦でシェアをしないと苦しくなってくるのは間違いないです。学校公開(授業参観)に一緒に行くとか、何かの行事に一緒に参加して、父親も当事者意識を持つことが大切ですね。


Aさん: 私も夫にがんばってほしいので、何かしてくれたときには「ありがとう」って言うようにしていますよ(笑)。


Cさん: やったという事実を認めてくれるのはうれしいですね。ちゃんと評価してもらえたら、パパもがんばれる気がします。


※画像はイメージで本文とは関係ありません

えどがわ学童保育フォーラム

東京都江戸川区で働きながら子育てをしている保護者のネットワーク。2012年、すくすくスクール学童クラブの「補食」(おやつ)が廃止された際、「おやつのない学童はありえない」と廃止反対を訴えるべく発足。その後も江戸川区に根強い働きかけを行い続け、2016年4月、希望する保護者による持参という形ではあるものの、「補食」(おやつ)を復活させた。江戸川区の働く親が、仕事を続けながら安心して子育てができるように、そして全ての子どもたちが学校が終了して家に帰るまでの時間を、心身ともに豊かに実り多く過ごせるように、活動を続けている。